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Aerosmith(エアロスミス)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

Aerosmith(エアロスミス)は、1970年にボストンで結成されたアメリカを代表するハードロックバンドです。スティーヴン・タイラー(ボーカル)とジョー・ペリー(ギター)を中心とする5人組は、ブルースに根ざした骨太なロックサウンドと、華やかなステージパフォーマンスで世界中のファンを魅了してきました。50年以上にわたるキャリアのなかで生み出された名盤の数々は、アナログレコードで聴くことで、その生々しいエネルギーと重厚なサウンドを存分に体感できます。本記事では、エアロスミスのレコードコレクションを始めたい方に向けて、おすすめアルバムからオリジナル盤の見分け方、中古購入時の注意点まで詳しく解説します。

Aerosmithとは?バンドの概要

Aerosmithは、スティーヴン・タイラー(ボーカル)、ジョー・ペリー(ギター)、ブラッド・ウィットフォード(ギター)、トム・ハミルトン(ベース)、ジョーイ・クレイマー(ドラムス)の5人で1970年にボストンで結成されました。ブルースロックとハードロックを軸に、ファンク、ポップ、バラードまで幅広いスタイルを取り込み、「アメリカ版ローリング・ストーンズ」とも称されるサウンドを確立しました。

1973年にColumbia Recordsからセルフタイトルのデビューアルバム『Aerosmith』をリリースし、続く『Get Your Wings』(1974年)、『Toys in the Attic』(1975年)、『Rocks』(1976年)と立て続けに傑作を発表。この時期は「黄金期」として知られ、「Walk This Way」「Dream On」「Sweet Emotion」など、ロック史に残る名曲が数多く生まれました。

1970年代末にはメンバー間の対立や薬物問題で低迷期を迎え、ジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードが一時脱退しますが、1984年にオリジナルメンバーが再集結。1987年の『Permanent Vacation』以降、「Dude (Looks Like a Lady)」「Cryin'」「I Don't Want to Miss a Thing」などのヒットを連発し、見事な復活を遂げました。グラミー賞を4度受賞し、2001年にはロックの殿堂入りを果たしています。2023年にスティーヴン・タイラーの声帯の問題によりフェアウェルツアーが中止となり、2024年に正式に活動終了を発表しましたが、彼らが残した音楽遺産は色褪せることがありません。

おすすめアルバム5選

1. Toys in the Attic(1975年)

エアロスミスの代表作にして、1970年代ハードロックの金字塔です。「Walk This Way」はラップとロックの融合という点でも音楽史に大きな影響を与えた楽曲であり、ファンクのグルーヴとハードロックのパワーが見事に共存しています。タイトル曲「Toys in the Attic」の切れ味鋭いリフ、ブルージーな「Sweet Emotion」のうねるベースラインなど、A面・B面を通じて捨て曲がありません。アナログレコードで聴くと、ジャック・ダグラスのプロデュースによる厚みのあるサウンドが一層際立ちます。

おすすめポイント: エアロスミス入門に最適な1枚。ハードロックの痛快さとブルースの深みを同時に味わえます。

中古相場目安: USオリジナル盤(Columbia PC 33479)は状態により3,000〜8,000円程度。初回プレスの良盤はさらに高値がつくこともあります。

2. Rocks(1976年)

『Toys in the Attic』の勢いをそのまま引き継いだ4thアルバムで、バンド史上最もヘヴィでアグレッシブな作品です。オープニングの「Back in the Saddle」から凄まじいエネルギーが炸裂し、「Last Child」「Rats in the Cellar」「Nobody's Fault」と、ラフでありながらタイトな楽曲が続きます。ジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードのツインギターが生み出す分厚いサウンドウォールは、レコードの豊かな中低域再生で真価を発揮します。スラッシュ(Guns N' Roses)をはじめ、後続の多くのハードロック・ヘヴィメタルバンドが本作を「最も影響を受けたアルバム」として挙げています。

おすすめポイント: エアロスミスの最もワイルドな一面が凝縮された必聴盤。ヘヴィロック好きなら外せません。

中古相場目安: USオリジナル盤(Columbia PC 34165)は2,500〜7,000円程度。盤質の良いものは希少になりつつあります。

3. Aerosmith(1973年)

記念すべきデビューアルバムです。「Dream On」はエアロスミスの代名詞ともいえるパワーバラードで、スティーヴン・タイラーの感情豊かなボーカルが胸に迫ります。「Mama Kin」「Make It」などのストレートなロックナンバーも収録されており、若きバンドの荒削りながらも圧倒的なポテンシャルを感じ取ることができます。サウンド全体にブルースとR&Bの影響が色濃く、後の洗練されたプロダクションとは異なるガレージ感がレコードで聴くと生々しく伝わってきます。

おすすめポイント: すべての原点がここに。「Dream On」をレコードの針で聴く感動は格別です。

中古相場目安: USオリジナル盤(Columbia KC 32005)は3,000〜10,000円程度。初回プレスは特に希少で、状態によっては高額になります。

4. Get Your Wings(1974年)

2ndアルバムは、デビュー作の荒々しさを残しつつ、プロデューサーのジャック・ダグラスを迎えてサウンドの完成度が格段に向上した作品です。「Same Old Song and Dance」の切れ味鋭いリフ、「Train Kept A-Rollin'」のスリリングなカバー、「Seasons of Wither」の壮大なバラードなど、バンドの多彩な魅力が開花しています。アナログレコードでは、ジャック・ダグラスが作り込んだ奥行きのあるミックスが立体的に広がり、ヘッドフォンで聴いても楽しめる音像の豊かさがあります。

おすすめポイント: デビュー作と黄金期の橋渡しとなる重要作。通好みの隠れた名盤です。

中古相場目安: USオリジナル盤(Columbia KC 32847)は2,000〜5,000円程度。比較的手頃な価格で入手しやすい1枚です。

5. Permanent Vacation(1987年)

約10年の低迷期を経て、オリジナルメンバーで復活を遂げた記念碑的アルバムです。外部ソングライターの起用やブルース・フェアバーンのモダンなプロダクションにより、それまでのブルースロック路線に80年代のポップセンスが加わりました。「Dude (Looks Like a Lady)」「Rag Doll」「Angel」など、キャッチーなヒット曲が満載で、新旧両方のファン層を獲得しました。Geffen Recordsからのリリースとなり、Columbia時代とは異なる洗練された音作りが特徴です。

おすすめポイント: 復活劇のドラマと共に楽しめる、80年代ロックの名盤。ポップで聴きやすい入門盤としても最適です。

中古相場目安: USオリジナル盤(Geffen GHS 24162)は1,500〜4,000円程度。流通量が多く、状態の良いものも比較的見つかりやすいです。

オリジナル盤の見分け方

エアロスミスのオリジナル盤を見分けるには、リリース時期に応じたレーベルとカタログ番号の確認が重要です。特にColumbia Records時代(1973〜1982年)の作品がコレクターの間で人気があります。

レーベルデザインの変遷: Columbia Recordsの初期プレスは、オレンジ色のレーベルに黒い文字で「COLUMBIA」と記載されたデザインが特徴です。1970年代後半になると、レーベルの色がオレンジからダークオレンジに変化し、さらに後期になるとアイ・マーク(目のロゴ)を伴うデザインへと移行します。デビューアルバム『Aerosmith』の初回プレスであれば、オレンジレーベルで「KC 32005」というカタログ番号が刻まれていることを確認しましょう。

マトリクス番号の確認: レコード盤のラン・アウト・グルーヴ(音溝の終わり部分)に刻印されたマトリクス番号は、プレス時期を特定する重要な手がかりです。Columbia盤の場合、マトリクス番号の末尾に「1A」「1B」などのスタンパー情報が含まれており、数字が小さいほど初期のプレスを意味します。また、「AL」(Art Lundahl)や「RL」(Robert Ludwig)などのカッティングエンジニアのイニシャルが刻まれている場合は、特定のエンジニアによる高品質カッティングの証とされています。

ジャケットの仕様: オリジナル盤のジャケットは、紙質やインナースリーブの種類が再発盤と異なります。Columbia時代のオリジナル盤は、厚手のジャケットにColumbia Recordsのインナースリーブが付属しています。また、初回盤にはバーコードが印刷されていないことも見分けるポイントのひとつです。再発盤やリイシュー盤にはバーコードが追加されていることが多いため、ジャケット裏面を確認してみてください。

プロモ盤の存在: Columbia時代のプロモーション盤(白レーベル)は、ラジオ局向けに少数プレスされたもので、コレクターズアイテムとして高い価値があります。レーベルに「DEMONSTRATION - NOT FOR SALE」などの表記があれば、プロモ盤の可能性が高いです。

中古レコードの選び方と注意点

エアロスミスのレコードは世界中で大量にプレスされているため、中古市場での流通量は比較的多いのが特徴です。しかし、状態や版の違いによって価値が大きく異なるため、購入時には注意が必要です。

盤質(グレーディング)を必ず確認する: エアロスミスのようなハードロック作品は、ダイナミックレンジが広く、スクラッチやノイズが音楽体験に直結します。購入前に盤面をしっかり確認し、グレーディングがVG+以上のものを選ぶことをおすすめします。特に「Rocks」や「Toys in the Attic」のような音圧の高いアルバムは、盤質の違いが顕著に表れます。可能であれば、店頭で試聴させてもらいましょう。

US盤と日本盤の違いを理解する: エアロスミスの作品は日本でも非常に人気があり、CBS/Sonyから多くの国内盤がリリースされています。日本盤は帯(Obi)付きであれば海外のコレクターからの需要も高く、保存状態の良いものは価値があります。音質面ではUSオリジナル盤に比べてやや高域が明るめに仕上がっていることが多いですが、プレスの品質は総じて高く、入門用としては十分おすすめできます。

リイシュー盤も選択肢に入れる: 近年では、Vinyl Me, PleaseやMobile Fidelity Sound Lab(MFSL)などから高品質なリイシュー盤がリリースされています。特にMFSLの「Rocks」や「Toys in the Attic」は、オリジナルマスターテープからハーフスピードマスタリングで製作されており、オリジナル盤に匹敵する、あるいはそれ以上の音質を楽しめると評判です。オリジナル盤にこだわらない方や、音質を最優先にしたい方にはこうしたリイシュー盤がおすすめです。

相場を事前に調べる: Discogsなどのデータベースで、該当するカタログ番号の取引相場を確認しておくことが大切です。あまりにも安すぎる場合は盤質やジャケットに問題がある可能性があり、逆に高すぎる場合は他の販売店と比較することで適正価格を見極められます。Columbia時代のUSオリジナル盤は、状態次第で数千円から1万円程度が一般的な相場ですが、プロモ盤や初回プレスの美品はそれ以上になることもあります。

ジャケットの状態も重要: レコードは盤だけでなくジャケットの状態もコレクション価値に影響します。リングウェア(盤の跡がジャケットに付いた状態)やシーム・スプリット(ジャケットの継ぎ目の裂け)がないかを確認しましょう。エアロスミスのアルバムジャケットは独特のアートワークが魅力的ですので、ジャケットの美しさも含めて楽しみたいところです。

まとめ

Aerosmith(エアロスミス)は、アメリカン・ハードロックの頂点に立つ偉大なバンドです。ブルースに根ざしたワイルドなギターリフ、スティーヴン・タイラーの唯一無二のボーカル、そしてバンド全体のグルーヴ感は、アナログレコードでこそ真価を発揮します。

まずは『Toys in the Attic』と『Rocks』の2枚から始めてみてください。この2枚でエアロスミスの黄金期のサウンドを堪能できます。そこから『Aerosmith』でルーツを辿り、『Get Your Wings』で通好みの魅力に触れ、『Permanent Vacation』で復活の輝きを体験するという流れがおすすめです。

Columbia時代のUSオリジナル盤はコレクション的な価値も高いですが、日本盤やリイシュー盤でも十分にエアロスミスの魅力を楽しむことができます。大切なのは、レコードに針を落として、スティーヴン・タイラーの叫びとジョー・ペリーのギターが生み出す熱いロックンロールを全身で浴びることです。ぜひお気に入りの1枚を見つけて、エアロスミスのレコードコレクションを始めてみてください。


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