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Arctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

2000年代以降のUKロックを代表するバンド、Arctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)。インターネット時代に自らの力でスターダムにのし上がった彼らは、アルバムを重ねるごとにサウンドを変貌させ、常にシーンの最前線に立ち続けています。ガレージロックから始まり、サイケデリック、グラムロック、ラウンジポップまで飲み込んできたその音楽は、レコードで聴くことで作品ごとの音像の違いがより鮮明に浮かび上がります。本記事では、Arctic Monkeysのおすすめアルバムからオリジナル盤の見分け方、中古レコード購入の注意点まで詳しく解説します。

バンドの概要

Arctic Monkeysは2002年にイギリス・シェフィールドで結成された4人組ロックバンドです。

  • アレックス・ターナー(ボーカル、ギター) — 鋭い観察眼に基づく歌詞と、作品ごとに変化するボーカルスタイルが特徴のフロントマン
  • ジェイミー・クック(ギター) — 堅実でありながらもアルバムごとに新しいアプローチを見せるギタリスト
  • マット・ヘルダース(ドラムス) — タイトで手数の多いドラミングがバンドの推進力を担う
  • ニック・オマリー(ベース) — 2006年の加入以来、グルーヴの要としてバンドを支え続ける

Arctic Monkeysの最大の特徴は、インターネットを通じて爆発的な人気を獲得した「最初の世代」のバンドであることです。2005年頃、MySpaceでデモ音源が拡散され、ライブには発売前から数千人のファンが詰めかけるという異例の状況が生まれました。2006年にリリースされたデビューアルバム『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』は、UKチャート初登場1位を獲得し、イギリス史上最速で売れたデビューアルバムの記録を打ち立てました。

以後、7枚のスタジオアルバムをリリースし、そのすべてがUKアルバムチャート1位を記録するという偉業を達成しています。OasisBlurが牽引した90年代ブリットポップ以降のUKロックシーンにおいて、最も成功したバンドの一つと言えるでしょう。アレックス・ターナーの文学的な歌詞は、シェフィールドの労働者階級の若者のリアルな日常を描いた初期から、映画的でノワールな世界観へと変化し、その変遷自体がバンドの進化の証となっています。

おすすめアルバム5選

Arctic Monkeysの全7枚のスタジオアルバムから、レコードで聴くべきおすすめ5枚を紹介します。

1. Whatever People Say I Am, That's What I'm Not(2006年)

衝撃のデビューアルバム。「I Bet You Look Good on the Dancefloor」「When the Sun Goes Down」「Mardy Bum」など、スピード感あふれるガレージロックの名曲がずらりと並びます。アレックス・ターナーの早口でまくし立てるようなボーカルと、バンド全体の切れ味鋭い演奏は、若さゆえの衝動とエネルギーに満ちています。レコードで聴くと、ギターの粗い歪みとドラムの生々しいアタック感がダイレクトに伝わり、まるでライブハウスの最前列にいるかのような臨場感を味わえます。

  • おすすめポイント: 2000年代UKロック最大の衝撃作、ガレージロックの疾走感をアナログの迫力で体感できる
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤(Domino) 8,000〜20,000円、再発盤 3,000〜5,000円

2. AM(2013年)

5thアルバムにして世界的大ブレイクを果たした一枚。ブラック・サバスのようなヘヴィなリフとR&Bのグルーヴを融合させた独自のサウンドが特徴で、「Do I Wanna Know?」「R U Mine?」「Why'd You Only Call Me When You're High?」など、ダークでセクシーな楽曲が揃います。ジョシュ・オムのプロデュースによる重厚な低音は、レコードの太い中低域で聴くことで真価を発揮します。アナログならではの温かみが、ファルセットを多用したアレックスのボーカルに艶を与えてくれます。

  • おすすめポイント: ヘヴィリフとR&Bの融合、レコードの低音再生と抜群の相性
  • 中古相場目安: UK盤 3,000〜6,000円、180g重量盤 4,000〜7,000円

3. Favourite Worst Nightmare(2007年)

デビュー作のわずか1年後にリリースされた2ndアルバム。前作のエネルギーを維持しながらも、楽曲のバリエーションが格段に広がりました。「Brianstorm」のイントロの猛烈なギターリフから、「505」の物悲しいオルガンとストリングスまで、音楽的な振り幅の大きさに驚かされます。プロダクション面でもより緻密になっており、レコードで聴くと各楽器の分離が良く、ステレオの音像が立体的に広がります。

  • おすすめポイント: 攻撃的なロックから叙情的なバラードまで幅広い楽曲構成、音の分離が美しい
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤 5,000〜12,000円、再発盤 3,000〜5,000円

4. Tranquility Base Hotel & Casino(2018年)

バンドの歴史の中で最も大胆な方向転換を遂げた6thアルバム。ギターロックを封印し、ヴィンテージキーボードとピアノを中心にしたラウンジポップ/スペースエイジサウンドへと変貌しました。「Star Treatment」「Four Out of Five」「The Ultracheese」など、映画のサウンドトラックのような楽曲が続き、架空の月面ホテルを舞台にしたコンセプチュアルな世界観が展開されます。レトロなサウンドはレコードとの親和性が極めて高く、針を落とした瞬間から別世界に連れて行かれるような没入感があります。

  • おすすめポイント: レトロフューチャーな世界観がアナログ再生と完璧にマッチ、コンセプトアルバムとしての完成度
  • 中古相場目安: UK盤 3,000〜6,000円、シルバー盤(限定) 8,000〜15,000円

5. Humbug(2009年)

ジョシュ・オム(Queens of the Stone Age)のプロデュースのもと、砂漠のスタジオで録音された3rdアルバム。前2作のスピード感から一転、ヘヴィでサイケデリックなサウンドに舵を切りました。「Crying Lightning」「Cornerstone」「Secret Door」など、陰影に富んだ楽曲が並びます。発売当時は賛否が分かれましたが、現在では再評価が進み、バンドの転機となった重要作と位置づけられています。濃密でダークな音像は、レコードの深みのある再生で聴くと説得力が増します。

  • おすすめポイント: 砂漠録音ならではのドライで重厚なサウンド、再評価が進む隠れた名盤
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤 5,000〜10,000円、再発盤 3,000〜5,000円

オリジナル盤の見分け方

Arctic Monkeysのレコードをコレクションする上で、UKオリジナル盤の見極めは重要なポイントです。彼らの作品は一貫してDomino Recording Companyからリリースされており、レーベルの変更がないため、カタログナンバーとプレス情報が判別の鍵となります。

まず確認すべきはレーベル面のカタログナンバーです。デビューアルバム『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』のUKオリジナル盤は「WIGLP162」、『Favourite Worst Nightmare』は「WIGLP188」というナンバーが記載されています。Dominoレーベルの「WIG」で始まるカタログナンバーがUK盤の目印です。

次にマトリクス番号(盤面の内周に刻まれた文字列)を確認しましょう。初回プレス盤には特有の刻印があり、「A1/B1」のようにプレス回数を示す表記が入っています。数字が若いほど初期プレスの可能性が高くなります。

ジャケットの紙質も判断材料になります。UKオリジナル盤はしっかりとした厚みのある紙を使用しており、各国盤やリイシュー盤に比べて印刷の発色も鮮やかです。特にデビューアルバムのジャケットに写るたばこを手にした男性の写真は、初回盤では色合いが深く、質感にも違いがあります。

また、初期のアルバムにはDomino Recordsのインナースリーブが付属しています。オリジナル盤に付属するインナースリーブの有無やデザインも、真贋の判断に役立ちます。用語集でマトリクス番号やインナースリーブなどの関連用語もあわせて確認しておくと、より正確な判断ができるようになります。

アルバム カタログナンバー オリジナル盤の特徴
Whatever People Say I Am... WIGLP162 Domino UK初回プレス、厚紙ジャケット
Favourite Worst Nightmare WIGLP188 Domino UK盤、見開きジャケット
Humbug WIGLP220 Domino UK盤、180g重量盤
Suck It and See WIGLP258 Domino UK盤
AM WIGLP317 Domino UK盤、180g重量盤
Tranquility Base Hotel & Casino WIGLP339 Domino UK盤、シルバーヴァイナル限定盤あり
The Car WIGLP420 Domino UK盤、カスタムインナースリーブ付き

中古レコードの選び方と注意点

Arctic Monkeysのレコードは世界的な人気を反映して中古市場でも需要が高く、特にUKオリジナル盤は年々価格が上昇傾向にあります。購入時にはいくつかのポイントを押さえておきましょう。

盤面のコンディションを最優先する

レコードは何よりも音を楽しむためのものです。購入前に盤面のキズやスレの状態を必ず確認しましょう。中古レコード店であれば試聴をお願いし、オンラインで購入する場合はグレーディング(NM、VG+など)の表記と詳細な写真を確認してください。Arctic Monkeysの初期作品はCDが主流の時代にプレスされているため、中古盤の品質にばらつきがあることも覚えておきましょう。

リイシュー盤から始めるのも賢い選択

初めてArctic Monkeysのレコードを購入する場合、まずは聴くことを目的としてリイシュー盤や再プレス盤から始めるのがおすすめです。近年のリイシュー盤は180g重量盤でプレスされているものが多く、音質面でも十分に満足できる仕上がりです。慣れてきたらUKオリジナル盤を探す楽しみに進むのが良いでしょう。

限定カラー盤に注意

Arctic Monkeysのアルバムには、初回限定のカラーヴァイナル盤が存在するものがあります。『Tranquility Base Hotel & Casino』のシルバー盤や、『The Car』のカスタムカラー盤などが代表例です。これらは通常盤より高値で取引されますが、カラー盤は通常のブラック盤と比べて音質に差が出る場合もあるため、コレクション目的か音質重視かで選び方が変わります。

ジャケットの状態も確認する

ジャケットは作品のアートワークを楽しむ大切な要素です。特に『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』のアイコニックなジャケット写真は、12インチの大きなサイズで鑑賞する価値があります。角のダメージやリングウェアの有無を確認し、盤面だけでなくジャケットのコンディションも含めて総合的に判断しましょう。

価格相場を把握しておく

相場を知っておくことで、適正価格での購入ができます。デビューアルバムのUKオリジナル盤は状態によって8,000〜20,000円程度、『AM』は3,000〜7,000円程度が目安です。極端に安い場合は状態に問題がある可能性があり、逆に高すぎる場合はプレミアが上乗せされていることもあるため、複数のショップやオンラインストアで比較することをおすすめします。

まとめ

  • Arctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)はアルバムごとにサウンドを進化させ続ける、2000年代以降を代表するUKロックバンド
  • 最初の1枚にはデビュー作『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』か、世界的ヒット作『AM』がおすすめ
  • 全作品がDomino Recording Companyからリリースされており、「WIG」から始まるカタログナンバーがUKオリジナル盤の目印
  • リイシュー盤は180g重量盤で音質も良好なため、入門用として最適
  • 限定カラー盤はコレクション価値が高いが、音質重視ならブラック盤を選ぶのが無難
  • 中古購入時は盤面のグレーディングとジャケットの状態を必ず確認し、複数のショップで比較検討を

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