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Black Sabbath(ブラック・サバス)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

Black Sabbath(ブラック・サバス)は、1968年にイギリス・バーミンガムで結成され、ヘヴィメタルというジャンルそのものを創り上げたと言っても過言ではない伝説的なバンドです。オジー・オズボーン(ボーカル)、トニー・アイオミ(ギター)、ギーザー・バトラー(ベース)、ビル・ワード(ドラムス)の4人が生み出す重厚で暗黒的なサウンドは、ロック史に計り知れない影響を与えました。アナログレコードで聴くBlack Sabbathは、デジタル音源では再現しきれない低音の迫力と空間的な奥行きが際立ち、まさに「闇の音楽」の真髄を体感できます。本記事では、おすすめアルバムやオリジナル盤の見分け方、中古レコード購入時の注意点を詳しく解説します。

Black Sabbathとは?バンドの概要

Black Sabbathは、1968年にバーミンガムでブルースロックバンド「Earth」として活動を開始し、1969年にバンド名をBlack Sabbathに改名しました。当時のロックシーンにおいて、彼らは意図的にダウンチューニングやトライトーン(悪魔の音程)を多用し、恐怖映画やオカルトからインスピレーションを得た歌詞と組み合わせることで、それまでになかった重く暗いサウンドを確立しました。

ギタリストのトニー・アイオミは、工場での事故で右手の中指と薬指の先端を失うという大きなハンデを負いましたが、指先に自作のキャップを装着し、弦を軽いゲージに変え、さらにチューニングを下げるという独自の奏法を編み出しました。この工夫が結果的にBlack Sabbath特有の重厚なリフサウンドを生み出すことになったのは、音楽史における皮肉にして最も偉大な偶然のひとつです。

1970年にリリースされたデビューアルバム『Black Sabbath』は、発売日が13日の金曜日であったことでも話題を呼び、批評家からの酷評にもかかわらず商業的に大成功を収めました。以降、『Paranoid』『Master of Reality』『Vol. 4』『Sabbath Bloody Sabbath』と立て続けに傑作をリリースし、1970年代のハードロック/ヘヴィメタルシーンを牽引しました。

1979年にオジー・オズボーンが脱退した後も、ロニー・ジェイムス・ディオやイアン・ギランなど複数のボーカリストを迎えて活動を継続しましたが、オリジナルメンバーによる再結成も幾度となく行われ、2013年にはオリジナルメンバー3人(オジー、トニー、ギーザー)による新作『13』をリリースしています。2017年のバーミンガム公演をもってバンドとしての活動に幕を下ろしましたが、その音楽的遺産は永遠に色褪せることはありません。

おすすめアルバム5選

1. Paranoid(1970年)

Black Sabbathの最高傑作であり、ヘヴィメタルの教科書とも呼ばれる2ndアルバムです。「War Pigs」「Paranoid」「Iron Man」「Fairies Wear Boots」など、ロック史に永遠に刻まれる名曲が収録されています。トニー・アイオミのヘヴィなリフとオジー・オズボーンの個性的なボーカルが完璧に融合し、アルバム全体を通して圧倒的な緊張感が持続します。アナログレコードで聴くと、「Iron Man」の冒頭のギターリフが部屋全体を揺らすような重低音で迫ってくる体験は格別です。レコードコレクションの最初の1枚としても強くおすすめできます。

2. Black Sabbath(1970年)

すべてはここから始まりました。雷鳴と雨音、そして不吉な教会の鐘の音から始まるタイトル曲「Black Sabbath」は、ヘヴィメタルの誕生を告げる歴史的な瞬間です。トライトーン(減五度音程)を大胆に使用したリフは、当時の音楽シーンに衝撃を与えました。「N.I.B.」「The Wizard」「Behind the Wall of Sleep」など、ブルースロックの影響を色濃く残しながらも、後のヘヴィメタルの原型となるサウンドが詰まっています。用語集でも解説している通り、UKオリジナル盤は特に音質が素晴らしく、アナログならではの生々しさを堪能できます。

3. Master of Reality(1971年)

3rdアルバムは、さらにチューニングを下げ、より重く、よりスローなサウンドを追求した作品です。「Children of the Grave」「Sweet Leaf」「Into the Void」といった楽曲は、後のドゥームメタルやストーナーロックに多大な影響を与えました。アルバム全体を通して漂う重厚かつ瞑想的な雰囲気は、アナログレコードの温かみのある音質と相性が抜群です。A面からB面へとレコードをひっくり返す行為が、このアルバムの持つ儀式的な世界観をより深く味わわせてくれます。

4. Sabbath Bloody Sabbath(1973年)

5thアルバムは、Black Sabbathの音楽的成熟を示す作品です。プログレッシブ・ロック的なアプローチやシンセサイザーの導入など、より複雑で実験的なアレンジが施されています。タイトル曲「Sabbath Bloody Sabbath」の印象的なリフに加え、「A National Acrobat」「Killing Yourself to Live」など、メロディアスでありながらヘヴィな楽曲が揃っています。ロジャー・ディーンによるアートワークも美しく、ジャケットを眺めながらレコードに針を落とす喜びは格別です。

5. Vol. 4(1972年)

4thアルバムは、ロサンゼルスでレコーディングされ、バンドの新たな一面を見せた作品です。「Snowblind」「Supernaut」「Tomorrow's Dream」などのヘヴィな楽曲に加え、「Changes」ではピアノバラードに挑戦するなど、音楽的な幅の広がりが感じられます。特に「Supernaut」のグルーヴ感はアナログレコードで聴くとさらに際立ち、ビル・ワードのドラムとギーザー・バトラーのベースが生み出すリズムの塊が体に響いてきます。

オリジナル盤の見分け方

Black Sabbathのレコードを本格的にコレクションするなら、UKオリジナル盤の知識は欠かせません。特にVertigo Records(ヴァーティゴ・レコーズ)からリリースされた初期作品は、音質・希少性ともに最高峰とされています。

レーベルの種類: 最も重要な識別ポイントは、レーベル(ラベル)のデザインです。初期のVertigo盤は「スワール(渦巻き)」と呼ばれる白黒の螺旋模様が特徴的なラベルデザインで、通称「Vertigo Swirl」と呼ばれています。このスワールラベルは1stアルバム『Black Sabbath』から『Vol. 4』まで使用されており、コレクター市場で最も高い価値を持ちます。『Sabbath Bloody Sabbath』以降は「宇宙船(Spaceship)」ラベルに変更されています。

カタログ番号の確認: UKオリジナル盤のカタログ番号は重要な手がかりです。例えば、デビューアルバム『Black Sabbath』は「VO 6」、『Paranoid』は「6360 011」というカタログ番号が付いています。これらの番号がジャケットやラベルに記載されていることを確認しましょう。

マトリクス番号: レコード盤の内周部分(デッドワックス)に刻印されたマトリクス番号を確認することで、プレスの時期や工場を特定できます。UKオリジナルの初回プレスは、マトリクス番号の末尾が「1」や「A」であることが多く、数字が若いほど初期のプレスである可能性が高くなります。用語集でマトリクス番号の読み方を詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

ジャケットとインサート: オリジナル盤は、ジャケットの印刷品質や紙質も再発盤と異なります。特にデビューアルバムのUKオリジナル盤は、ジャケット裏面に「Phillips」のクレジットが入った初回版と、入っていない後期版があります。また、Vertigo盤特有のインナースリーブ(白と黒のスワール模様)が付属しているかどうかも、オリジナル盤を見分ける重要なポイントです。

中古レコードの選び方と注意点

Black Sabbathのレコードは世界的に根強い人気があり、特にVertigo Swirlラベルのオリジナル盤は高額で取引されています。中古レコードを購入する際には、以下の点に注意しましょう。

盤質のチェック: 中古レコードで最も重要なのは盤面の状態です。目視でスクラッチ(傷)やスカッフ(擦り傷)がないか確認し、可能であれば試聴させてもらいましょう。Black Sabbathのような低音が豊かな音楽は、盤面の状態が音質に大きく影響します。特にスワールラベルのオリジナル盤は50年以上前のものですので、盤質のグレーディング(NM、VG+など)を必ず確認してください。グレーディングの詳細は用語集をご参照ください。

再発盤という選択肢: オリジナル盤は高額なため、まずは高品質な再発盤から入るのも賢い選択です。近年のリマスター盤(特に180g重量盤)は、オリジナルのマスターテープから丁寧にリマスタリングされており、音質面では非常に優れています。Rhino RecordsやSanctuary Recordsからリリースされた再発盤は、品質が安定しておりおすすめです。

価格相場の確認: 購入前にDiscogsなどのデータベースで相場を調べることは必須です。例えば、Vertigo Swirlラベルの『Paranoid』UKオリジナル盤は、状態が良ければ数万円から十数万円で取引されることもあります。あまりに安い価格で出品されている場合は、偽物や状態表記の詐称を疑いましょう。

プレス国による違い: Black Sabbathのレコードは世界各国でプレスされており、音質やジャケットデザインが異なります。UKオリジナル盤が最も評価されていますが、USプレス(Warner Bros.盤)や日本盤(日本フォノグラム盤)にもそれぞれの魅力があります。特に日本盤は帯付きの状態であればコレクター価値が高く、音質も良好なものが多いです。

ブートレグへの注意: Black Sabbathは人気バンドであるため、非公式のブートレグ盤も数多く存在します。ライブ音源やアウトテイク集などは、一部のコレクターには需要がありますが、音質が劣悪なものや権利上問題のあるものも含まれます。公式リリースかどうかを慎重に確認してから購入するようにしましょう。

まとめ

Black Sabbathは、ヘヴィメタルの創始者として音楽史に不朽の足跡を残したバンドです。トニー・アイオミの重厚なリフ、オジー・オズボーンの唯一無二のボーカル、ギーザー・バトラーのうねるベースライン、ビル・ワードのジャズに影響を受けたドラミングが融合した彼らの音楽は、アナログレコードでこそ真価を発揮します。

『Paranoid』『Black Sabbath』『Master of Reality』をはじめとする名盤は、Vertigo Swirlラベルのオリジナル盤が最も高い評価を受けていますが、高品質な再発盤でも十分にその魅力を味わうことができます。中古レコードを購入する際は、ラベルデザインやマトリクス番号、盤質を丁寧に確認し、信頼できる販売店を利用することが大切です。

レコードに針を落とした瞬間に広がる、あの重く暗い音の壁。Black Sabbathの音楽をアナログレコードで体感すれば、半世紀以上の時を超えて、ヘヴィメタル誕生の瞬間に立ち会うことができるはずです。


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