Cream(クリーム)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方¶
Cream(クリーム)は、1966年から1968年というわずか2年半の活動期間で、ロック史に消えることのない足跡を刻んだ伝説のトリオです。エリック・クラプトンのギター、ジャック・ブルースのベースとボーカル、ジンジャー・ベイカーのドラムス――3人の超絶技巧が生み出すブルースロックは、レコードの太く温かいサウンドで聴いてこそ、スタジオやステージの空気感まで伝わってきます。ここでは、Creamのおすすめアルバムやオリジナル盤の見分け方、中古レコード購入時のポイントをまとめました。
Creamとは?バンドの概要¶
Creamは1966年、ロンドンで結成された「世界初のスーパーグループ」と呼ばれるバンドです。当時すでにそれぞれのフィールドで名を馳せていた3人の名手が集まり、ブルースロックとサイケデリアを融合させた革新的なサウンドを生み出しました。
メンバー紹介¶
| メンバー | 担当 | 経歴・特徴 |
|---|---|---|
| エリック・クラプトン(Eric Clapton) | ギター、ボーカル | ヤードバーズ、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズを経て参加。「クラプトン・イズ・ゴッド」と称された天才ギタリスト |
| ジャック・ブルース(Jack Bruce) | ベース、ボーカル、ハーモニカ | グレアム・ボンド・オーガニゼーション出身。クラシック音楽の素養も持ち、作曲と歌唱の中心的存在 |
| ジンジャー・ベイカー(Ginger Baker) | ドラムス | グレアム・ボンド・オーガニゼーション出身。アフリカンリズムとジャズを融合させた独自のドラミングスタイル |
結成から解散まで¶
Creamの結成は、ジンジャー・ベイカーがクラプトンのライブを観に行ったことがきっかけでした。ベイカーはクラプトンに新バンドの構想を持ちかけ、そこにジャック・ブルースが加わる形でトリオが誕生します。1966年7月にロンドンでデビューライブを行い、同年12月にファーストアルバム『Fresh Cream』をリリースしました。
1967年には名盤『Disraeli Gears』を発表し、「Sunshine of Your Love」が世界的な大ヒットを記録。1968年の『Wheels of Fire』ではスタジオ盤とライブ盤の2枚組という意欲的な構成で、全米アルバムチャート1位を獲得しました。
しかし、メンバー間の音楽的方向性の違いや人間関係の摩擦が深刻化し、1968年11月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでフェアウェル・コンサートを行い、わずか2年半で解散しました。短い活動期間ながら、スタジオアルバム3枚とライブ盤を含む充実した作品群を残しています。
音楽的特徴¶
Creamの音楽は、いくつかの際立った特徴を持っています。
- パワートリオの先駆者: ギター・ベース・ドラムスの3人だけで、それまでのバンドでは考えられなかった分厚く重厚なサウンドを生み出しました。後のジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスやラッシュなど、多くのパワートリオに影響を与えています
- ブルースロックの革新: シカゴブルースやデルタブルースをベースにしながらも、大音量のアンプとエフェクターで新しいサウンドに昇華しました。ロバート・ジョンソンやスキップ・ジェイムズの楽曲を独自のアレンジでカバーしたことでも知られます
- 即興演奏の極致: ライブでは1曲が20分を超えることも珍しくなく、3人が互いにぶつかり合い、高め合う即興演奏はCream最大の魅力でした。特にジャック・ブルースのリード的なベースプレイは、従来のロックにおけるベースの役割を大きく変えるものでした
- サイケデリアとの融合: 『Disraeli Gears』に顕著ですが、ブルースの骨格にサイケデリックロックの色彩感覚を重ねた独特のサウンドは、1960年代後半の時代の空気を凝縮しています
おすすめアルバム5選¶
Creamの作品の中から、レコードで聴くべきアルバムを5枚厳選しました。
1. Disraeli Gears(1967年)¶
Creamの2ndアルバムにして最高傑作と評されることの多い1枚です。「Sunshine of Your Love」「Strange Brew」「Tales of Brave Ulysses」「SWLABR」など、名曲がずらりと並びます。プロデューサーのフェリックス・パッパラルディの手腕により、各楽曲がコンパクトにまとめられ、ライブバンドとしての迫力とスタジオワークの緻密さが見事に両立しています。マーティン・シャープによるサイケデリックなジャケットアートも圧巻で、レコードの大きなジャケットで眺める価値があります。
- おすすめポイント: Cream入門に最適の1枚。楽曲の完成度が高く、サイケデリックなアートワークもレコードサイズで映える
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤(Reaction)8,000〜25,000円
2. Wheels of Fire(1968年)¶
スタジオ盤とライブ盤の2枚組という大胆な構成の3rdアルバムです。スタジオ盤には「White Room」「Politician」「Sitting on Top of the World」などの名曲が収録され、プロデュースワークが冴え渡ります。一方のライブ盤には、ロバート・ジョンソンの「Crossroads」やジンジャー・ベイカーの超絶ドラムソロ「Toad」が収められ、Creamのライブパフォーマンスの凄まじさを追体験できます。2枚組LPならではの聴き応えは格別です。
- おすすめポイント: スタジオとライブの両面を堪能できる。「Crossroads」はクラプトンの即興ギターの真骨頂
- 中古相場目安: 国内盤 2,500〜5,000円、UKオリジナル盤(Polydor)10,000〜30,000円
3. Fresh Cream(1966年)¶
記念すべきデビューアルバム。マディ・ウォーターズの「Rollin' and Tumblin'」やスキップ・ジェイムズの「I'm So Glad」のカバーを含み、トラディショナルなブルースへの敬意とそれを超えていこうとする若き3人のエネルギーが詰まっています。「N.S.U.」「Spoonful」ではハードなトリオサウンドが炸裂し、後のハードロックの萌芽を感じ取ることができます。録音は比較的シンプルですが、だからこそ3人の演奏力がダイレクトに伝わる1枚です。
- おすすめポイント: ブルースロックの原点を体感できるデビュー作。飾りのないストレートなトリオサウンドが魅力
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤(Reaction)10,000〜35,000円
4. Goodbye(1969年)¶
Creamの事実上のラストアルバムです。スタジオ録音3曲とライブ録音3曲の計6曲で構成されています。スタジオ録音の「Badge」はジョージ・ハリスンが共作者として参加したことでも知られる名曲で、クラプトンの叙情的なギターが光ります。ライブ録音の「I'm So Glad」「Politician」「Sitting on Top of the World」は、解散間際とは思えないほどの緊張感と熱量に満ちています。
- おすすめポイント: 「Badge」は必聴。ジョージ・ハリスン共作による珠玉の名曲
- 中古相場目安: 国内盤 1,500〜3,500円、UKオリジナル盤(Polydor)5,000〜15,000円
5. Live Cream Volume II(1972年)¶
解散後にリリースされたライブアルバムの第2弾です。「Deserted Cities of the Heart」「White Room」「Sunshine of Your Love」のライブバージョンが収録されており、スタジオ版とはまったく異なるスケール感で展開される即興演奏の醍醐味を味わえます。特に「Sunshine of Your Love」のライブテイクは、原曲の構造を大胆に拡張した圧巻のパフォーマンスです。レコードのアナログサウンドで聴くと、会場の空気感まで伝わってくるようです。
- おすすめポイント: Creamの真骨頂であるライブ演奏を堪能できる。スタジオ盤と聴き比べる楽しみも大きい
- 中古相場目安: 国内盤 1,500〜3,000円、UKオリジナル盤(Polydor)4,000〜10,000円
オリジナル盤の見分け方¶
Creamのオリジナル盤を探す際に知っておきたいポイントをまとめます。特にUK盤は、リリース時期によってレーベルが異なるため注意が必要です。
UK Reactionレーベル(1966〜1967年)¶
『Fresh Cream』と『Disraeli Gears』の初回プレスは、Reactionレーベル(ロバート・スティグウッドが設立)からリリースされました。Reactionレーベルの盤は生産数が少なく、Creamのオリジナル盤の中でも特に希少性が高いです。
- レーベルの特徴: 白地に黒文字のシンプルなデザイン。「REACTION」のロゴが上部に配置されています
- カタログ番号: 『Fresh Cream』は「593 001」、『Disraeli Gears』は「593 003」
- モノラル盤とステレオ盤: 初期プレスにはモノラルミックスとステレオミックスの両方が存在します。モノラル盤は特に希少で、コレクターの間で高値がつきます
UK Polydorレーベル(1968年以降)¶
『Wheels of Fire』以降はPolydorレーベルからリリースされました。また、『Fresh Cream』『Disraeli Gears』もPolydorから再発されています。
- レーベルの特徴: 赤地のレーベルに白文字で「polydor」と表記。初期プレスはラベル外周にリムテキスト(小さな文字の帯)があります
- カタログ番号: 『Wheels of Fire』は「583 031/2」(2枚組)、『Goodbye』は「583 053」
マトリクス番号の読み方¶
オリジナル盤を特定するうえで、レコード盤の内周部分(デッドワックス)に刻まれたマトリクス番号の確認は欠かせません。
- 基本形式: Reactionレーベル期は「593 001 A」のようにカタログ番号+面表示のシンプルな形式です
- スタンパー番号: マトリクス番号の末尾に「-1」「-2」のようなスタンパー番号がついている場合、数字が小さいほど初期のプレスであることを示します
- エンジニアの刻印: 手書きのイニシャルやマークが見られる場合があります。これはカッティングエンジニアのサインで、プレスの特定に役立ちます
マトリクス番号やグレーディングの詳細は、用語集も参照してください。
中古レコードを買うときの注意点¶
Creamのレコードは発売から50年以上が経過しているものが多いため、中古で購入する際にはいくつかのポイントを押さえておきましょう。
盤質の確認¶
中古レコードの品質は、グレーディングで表されます。Creamのレコードを快適に楽しむには、VG+以上のグレードを目安にするとよいでしょう。特に以下の点をチェックしてください。
- 表面のキズ・スレ: 蛍光灯や自然光の下で盤面を傾けて確認しましょう。浅いスレは再生に影響しないことも多いですが、深いキズは音飛びの原因になります
- 反り(ウォープ): 盤を水平な場所に置いて反りがないか確認します。軽い反りなら再生に問題ないこともありますが、ひどい反りは針飛びや音の揺れにつながります
- 盤面の汚れ: カビやホコリが付着していても、適切にクリーニングすれば音質が改善することがあります。見た目だけで判断せず、クリーニング後の状態を考慮しましょう
ジャケットと付属品¶
Creamのレコードは、ジャケットのコンディションもコレクション価値に大きく影響します。
- 帯の有無(日本盤): 日本盤は帯付きかどうかで価格が大きく変わります。Cream時代の帯付き日本盤は特に人気があります
- ジャケットの状態: 角の潰れ、リングウェア(盤の形が浮き出る跡)、水シミなどがないか確認しましょう
- インナースリーブ: オリジナルのインナースリーブが付属しているかどうかもチェックポイントです
再発盤という選択肢¶
オリジナル盤にこだわらなければ、近年の再発盤も十分に優れた選択肢です。リマスタリング技術の向上により、オリジナルの録音が持つ魅力を忠実に再現した高品質な再発盤が入手できます。まずは再発盤で作品に親しみ、気に入った作品のオリジナル盤を探していくというアプローチもおすすめです。
まとめ¶
Creamは、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーという3人の天才が結集した世界初のスーパーグループです。わずか2年半の活動期間ながら、ブルースロックとサイケデリアを融合させた革新的なサウンドで、後のロック史に計り知れない影響を与えました。レコードで聴くCreamは、パワートリオの生々しいエネルギーと即興演奏のスリルがダイレクトに伝わり、デジタルでは味わえない臨場感を体験できます。
最初の1枚には楽曲の完成度とサウンドのバランスに優れた『Disraeli Gears』をおすすめします。そこからライブ演奏の凄みを体感できる『Wheels of Fire』、原点回帰の『Fresh Cream』と聴き進めれば、Creamの魅力をより深く味わえるはずです。
関連ページ
- レコード用語集 — グレーディング、マトリクス番号など、レコード収集に役立つ用語をまとめています
- エリック・クラプトンのレコードガイド — クラプトンのソロ活動を含む全キャリアのレコードガイド
Digital & Analog in Harmony.
テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。