デヴィッド・ボウイのレコードガイド|おすすめ名盤と時代別の選び方¶
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)は、音楽・ファッション・アートの境界を超え続けた20世紀最大のカルチャーアイコンです。グラムロックからエレクトロニック、インダストリアルまで変貌を遂げた膨大なディスコグラフィーの中から、レコードで聴くべきおすすめ盤と選び方を紹介します。
デヴィッド・ボウイとは?アーティストの概要¶
デヴィッド・ボウイ(本名デヴィッド・ロバート・ジョーンズ)は1947年、イギリス・ロンドン生まれ。1969年の「Space Oddity」で注目を集め、2016年に亡くなるまで約50年にわたって音楽シーンの最前線で活躍し続けました。
キャリアの変遷——変貌し続けたカメレオン¶
ボウイの最大の特徴は、時代ごとにペルソナ(人格)とサウンドを劇的に変え続けたことです。
| 時期 | ペルソナ / スタイル | 代表作 |
|---|---|---|
| 1969〜1971年 | フォーク〜初期グラム | Space Oddity, The Man Who Sold the World, Hunky Dory |
| 1972〜1973年 | ジギー・スターダスト(グラムロック) | Ziggy Stardust, Aladdin Sane |
| 1974〜1976年 | シン・ホワイト・デューク(ソウル〜ファンク) | Diamond Dogs, Young Americans, Station to Station |
| 1977〜1979年 | ベルリン三部作(エレクトロニック) | Low, "Heroes", Lodger |
| 1980〜1984年 | ニューウェーブ〜ポップ | Scary Monsters, Let's Dance |
| 1990年代〜 | インダストリアル〜実験期 | Outside, Earthling |
| 2013〜2016年 | 復活〜遺作 | The Next Day, Blackstar |
これほど劇的にスタイルを変え続けながら、すべての時期に名盤を残しているアーティストはボウイをおいて他にいません。レコードで年代順に追いかけることで、その変貌の軌跡を追体験できるのは、コレクターならではの楽しみです。
デヴィッド・ボウイのレコード おすすめ名盤5選¶
膨大なディスコグラフィーの中から、レコードで聴くべき5枚を厳選しました。
1. The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(1972年)¶
ロック史上最も有名なコンセプトアルバムの一つ。架空のロックスター「ジギー・スターダスト」の栄光と破滅を描いた物語は、レコードのA面・B面という構成で聴くことで一層ドラマティックに響きます。「Starman」「Suffragette City」「Rock 'n' Roll Suicide」——名曲が途切れることなく続く完璧なアルバムです。
- おすすめポイント: ボウイ入門の決定盤、A面からB面への流れが完璧
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜5,000円、UKオリジナル盤(RCA) 10,000〜40,000円
2. Low(1977年)¶
「ベルリン三部作」の第1作。ブライアン・イーノとの共同作業で生まれた革新的なアルバムです。A面はニューウェーブ的な短い楽曲群、B面はアンビエント / インストゥルメンタルの楽曲群という大胆な構成で、レコードを裏返すと別世界が広がるという体験は、アナログでこそ味わえる醍醐味です。
- おすすめポイント: A面とB面でまったく異なる世界観、レコードの形式を最大限に活用した構成
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤 8,000〜25,000円
3. Hunky Dory(1971年)¶
ジギー・スターダスト直前の傑作。「Changes」「Life on Mars?」「Oh! You Pretty Things」など、ボウイのソングライティングの才能が最も純粋に発揮された作品です。アコースティックピアノとギターを中心としたアレンジは、レコードの温かい音で聴くと一層の深みを感じさせます。
- おすすめポイント: 美しいメロディの宝庫、ポップとアートの完璧な融合
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤 8,000〜30,000円
4. "Heroes"(1977年)¶
ベルリン三部作の第2作。タイトル曲「"Heroes"」は、ベルリンの壁の前で恋人たちが抱き合う情景を歌った感動的な楽曲で、ボウイの全キャリアを代表する名曲です。ロバート・フリップのギターフィードバックが空間を切り裂くサウンドは、レコードの太い音で聴くと鳥肌が立ちます。
- おすすめポイント: タイトル曲の圧倒的な名演、Lowとの聴き比べも楽しい
5. Blackstar(2016年)¶
ボウイの遺作にして最後の傑作。死の2日前にリリースされたこのアルバムは、ジャズ、エレクトロニカ、アートロックが融合した前衛的な作品です。自らの死をテーマに据えた歌詞は、レコードの静寂の中で聴くと深い余韻を残します。180g重量盤でリリースされ、音質も申し分ありません。
- おすすめポイント: 音楽家としての最後のメッセージ、180g盤の音質が優秀
デヴィッド・ボウイのオリジナル盤の見分け方¶
ボウイは長いキャリアの中で複数のレーベルからリリースしているため、時期ごとにオリジナル盤の特徴が異なります。
レーベル別ガイド¶
| 時期 | レーベル | 主なアルバム | オリジナル盤の特徴 |
|---|---|---|---|
| 初期(1967〜1971年) | Deram / Mercury(UK)/ Philips | Space Oddity, Hunky Dory | Deramレーベルの1stは特に希少 |
| グラムロック期(1972〜1976年) | RCA | Ziggy Stardust〜Station to Station | RCA オレンジレーベルが初期プレス |
| ベルリン三部作(1977〜1979年) | RCA | Low, "Heroes", Lodger | RCA 黄レーベル(国による違いあり) |
| 1980年代〜 | EMI America / Virgin | Let's Dance〜 | EMI Americaが初期、後にVirgin |
| 遺作期(2013〜2016年) | ISO / Columbia | The Next Day, Blackstar | 新品で入手可能 |
UKオリジナル盤のポイント¶
ボウイのUKオリジナル盤で特に人気が高いのは、1972〜1976年のRCA期の作品です。
- オレンジレーベル: RCA初期プレスの証。のちに黄色や黒レーベルに変わる
- ラミネートジャケット: 初期プレスは光沢のあるラミネート加工が施されている
- マトリクスナンバー: 末尾の数字が「1E」「1L」など若い番号が初期プレス
日本盤の魅力¶
ボウイの国内盤は、日本独自の帯デザインが美しく、海外コレクターからも高い人気を集めています。特にRCA時代の帯付きは、帯の有無で価格が2〜3倍変わることも珍しくありません。
デヴィッド・ボウイのレコードを買うときの注意点¶
- 時代ごとに音楽性がまったく異なる: グラムロックを期待して「Low」を買うと面食らうかもしれません。まずは興味のある時期のアルバムから始め、徐々に他の時期に広げていくのがおすすめです
- リマスター再発盤も優秀: 2015〜2021年にリリースされたParlophoneの再発盤シリーズは、リマスタリングの質が高く、ボーナストラック入りの充実した内容です。入門用には最適な選択肢です
- 盤の状態を確認する: 1970年代のレコードは年代相応の劣化があるため、グレーディングをしっかり確認しましょう
- ピクチャーディスクに注意: ボウイはピクチャーディスク(盤面に絵が印刷されたレコード)が多数リリースされていますが、通常盤と比べて音質が劣ることが一般的です。コレクション用と割り切りましょう
レコードの購入場所については、レコードの購入場所ガイドも参考にしてみてください。
デヴィッド・ボウイをレコードで聴く魅力¶
ボウイの音楽は、レコードという形式と深い親和性があります。
- コンセプトアルバムの真価: 『Ziggy Stardust』や『Diamond Dogs』のようなコンセプト作品は、A面・B面の構成がストーリーの展開に直結しています。レコードで聴くことで、ボウイが意図した物語の流れを忠実に体験できます
- ベルリン三部作のA面 / B面構成: 『Low』と『"Heroes"』は、A面(歌もの)とB面(インストゥルメンタル / アンビエント)がまったく異なる世界観を持っています。レコードを裏返す瞬間が、まさに別世界への扉を開く体験になります
- ジャケットアートの存在感: ボウイのアルバムジャケットは音楽と同等に重要なアートワークです。『Aladdin Sane』の稲妻メイク、『"Heroes"』のイギー・ポップ風ポーズ——12インチサイズで手に取る喜びは格別です
- プロデューサーごとの音の違い: トニー・ヴィスコンティ、ブライアン・イーノ、ナイル・ロジャースなど、プロデューサーごとに録音のアプローチが大きく異なります。レコードで聴き比べることで、その音作りの違いを繊細に感じ取れます
まとめ¶
- デヴィッド・ボウイは時代ごとにスタイルを変え続けた音楽のカメレオン。最初の1枚には『Ziggy Stardust』がおすすめ
- UKオリジナル盤はRCAオレンジレーベルが人気。日本盤は帯付きが海外でも高く評価されている
- ベルリン三部作(Low, "Heroes", Lodger)はレコードのA面・B面構成を最大限に活かした作品
- Parlophoneのリマスター再発盤は音質が優秀で入門用に最適
- コンセプトアルバムやA/B面の対比構成など、レコードの形式と深く結びついた音楽を多く残したアーティスト
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