Jeff Beck(ジェフ・ベック)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方¶
ジェフ・ベック(Jeff Beck)は、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジとともに「世界三大ギタリスト」の一人に数えられるイギリスのギタリストです。ブルースロックからジャズ・フュージョン、エレクトロニカまで、常にジャンルの枠を超え続けたその音楽は、レコードの温かく繊細なアナログサウンドで聴くと一層の輝きを放ちます。ここでは、レコードで聴くべきおすすめ盤とその選び方を紹介します。
Jeff Beckとは?アーティストの概要¶
ジェフ・ベック(1944〜2023年)は、イギリス・サリー州ウォリントン出身のギタリストです。1965年にヤードバーズ(The Yardbirds)にエリック・クラプトンの後任として加入し、「Heart Full of Soul」「Shapes of Things」などのヒットを生み出しました。しかし、バンド内の方向性の違いから1966年に脱退。その後は自身の名を冠したジェフ・ベック・グループ(Jeff Beck Group)を結成し、ソロキャリアへと歩みを進めます。
音楽的特徴と変遷¶
| 時期 | 活動 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1965〜1966年 | ヤードバーズ | ファズトーンやフィードバックを導入し、サイケデリックな方向性を開拓 |
| 1967〜1969年 | 第1期ジェフ・ベック・グループ | ロッド・スチュワート(Vo)、ロン・ウッド(Ba)を擁したブルースロック/ハードロックの先駆 |
| 1971〜1972年 | 第2期ジェフ・ベック・グループ | ボビー・テンチ(Vo)参加。ソウル、ファンク色が強まる |
| 1973年 | ベック・ボガート&アピス | ティム・ボガート、カーマイン・アピスとのパワートリオ |
| 1975年〜 | インストゥルメンタル・ソロ期 | ボーカルを排しギターインストに特化。ジャズ・フュージョンの名盤を連発 |
| 1999年〜 | エレクトロニカ期 | デジタルサウンドとギターの融合に挑戦 |
ジェフ・ベックの最大の特徴は、指弾き(フィンガーピッキング)奏法です。1970年代半ばからピックを使わず指だけで弦を弾くスタイルを確立し、ボリュームノブやトレモロアームを駆使して「ギターが歌う」と評される唯一無二の表現力を獲得しました。ブルースロックに根ざしながらも、ジャズ・フュージョン、エレクトロニカ、さらにはオペラ歌手との共演まで、生涯にわたって新しい音楽に挑み続けた姿勢は、他のギタリストとは一線を画しています。
おすすめアルバム5選¶
ジェフ・ベックの長いキャリアから、レコードで聴くべき5枚を厳選しました。
1. Truth(1968年)¶
第1期ジェフ・ベック・グループの記念すべきデビューアルバム。ロッド・スチュワートの力強いボーカルとジェフ・ベックの攻撃的なギターが火花を散らすブルースロックの傑作です。レッド・ツェッペリン結成に影響を与えたとも言われるヘヴィなサウンドは、レコードの太い低音で聴くと迫力が段違いです。「Shapes of Things」「Beck's Bolero」など、ベックの革新的なギターワークが堪能できます。
- おすすめポイント: ハードロックの原点とも言えるヘヴィサウンド、若きロッド・スチュワートの熱唱
- 中古相場目安: 国内盤 3,000〜6,000円、UKオリジナル盤(Columbia) 15,000〜40,000円
2. Beck-Ola(1969年)¶
第1期ジェフ・ベック・グループの2ndアルバム。前作『Truth』の路線をさらに推し進めたブルースロック/ハードロック作品です。エルヴィス・プレスリーの「All Shook Up」やジェイルハウス・ロックをヘヴィにカバーするなど、ベックならではの大胆なアレンジが光ります。短命に終わったグループの有終の美を飾る一枚で、レコード特有のアナログの質感がロウでワイルドなサウンドを際立たせます。
- おすすめポイント: ロック・クラシックスの大胆なカバー、荒削りながら勢いのある演奏
- 中古相場目安: 国内盤 2,500〜5,000円、UKオリジナル盤(Columbia) 10,000〜30,000円
3. Blow by Blow(1975年)¶
ジェフ・ベックのキャリアを決定づけたインストゥルメンタル・アルバムの金字塔。ビートルズのプロデューサーとして知られるジョージ・マーティンがプロデュースを担当し、ジャズ・フュージョンとロックが見事に融合しています。「Cause We've Ended as Lovers(哀しみの恋人達)」はスティーヴィー・ワンダー提供の楽曲で、ベックの指弾きが奏でるメロディの美しさは圧巻です。LPの片面ずつじっくり聴くことで、アルバム全体の緻密な構成を味わえます。
- おすすめポイント: ギターインストの最高峰、ジョージ・マーティンの緻密なプロデュース
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤(Epic) 5,000〜15,000円
4. Wired(1976年)¶
『Blow by Blow』の成功を受けて制作された姉妹作。ヤン・ハマー(キーボード)との白熱のインタープレイが最大の聴きどころです。前作よりもアグレッシブでファンキーなサウンドが特徴で、「Led Boots」「Blue Wind」など、テクニカルかつグルーヴィーな楽曲が並びます。アナログレコードで聴くと、ヤン・ハマーのシンセサイザーとベックのギターの掛け合いが生々しい臨場感で迫ってきます。
- おすすめポイント: ヤン・ハマーとのスリリングな共演、フュージョン・ロックの頂点
- 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤(Epic) 5,000〜12,000円
5. There and Back(1980年)¶
ヤン・ハマーとの共演を続けたインストゥルメンタル作品。「Star Cycle」「The Pump」など、1980年代のテクノロジーを取り入れつつもベックらしいギターの歌心を失わない楽曲が揃っています。前2作と比べてややエレクトロニックな要素が増しており、後のエレクトロニカ路線への布石も感じられます。レコードならではのダイナミックレンジの広さが、シンセサイザーとギターの音色の対比を鮮やかに描き出します。
- おすすめポイント: エレクトロニック要素との融合、ベックの進化を体感できる
- 中古相場目安: 国内盤 1,500〜3,000円、UKオリジナル盤(Epic) 3,000〜8,000円
オリジナル盤の見分け方¶
ジェフ・ベックのレコードは時期によってレーベルが異なるため、オリジナル盤を見分けるにはレーベルごとの特徴を押さえておく必要があります。
UK Columbia盤(初期作品)¶
『Truth』『Beck-Ola』はイギリスではColumbia(EMI傘下)からリリースされました。
- レーベルデザイン: 青/黒の「Columbia」ロゴ入りラベルが初期プレス
- カタログ番号: Truth(SCX 6293)、Beck-Ola(SCX 6351)
- マトリクス番号の読み方: デッドワックス(盤面のレーベル周辺)に手書きまたはスタンプで刻印されています。末尾が「-1」のものが初回プレスの可能性が高いです
- 注意点: アメリカではEpicレーベルからのリリースとなり、ジャケットデザインも異なります
Epic盤(フュージョン期以降)¶
『Blow by Blow』以降の作品はEpic Records(CBS傘下)からリリースされました。
- レーベルデザイン: オレンジ地の「Epic」ロゴが初期プレスの特徴。1970年代後半からはダークブルーのラベルに変更
- カタログ番号例: Blow by Blow(UK: EPC 69117 / US: PE 33409)、Wired(UK: EPC 86012 / US: PE 33849)
- マトリクス番号: CBSプレスの場合、末尾のアルファベットでプレス工場を判別できます
- 日本盤について: 日本ではCBS/ソニーからリリースされ、帯付きの状態が良いものはコレクターに人気があります。特に『Blow by Blow』の日本初回盤は丁寧なプレスで知られています
マトリクス番号の基本的な読み方¶
オリジナル盤かどうかを判別する最も確実な方法は、マトリクス番号の確認です。
- デッドワックス部分にルーペを当てて刻印を確認しましょう
- 手書き刻印は初期プレスの可能性が高く、機械刻印は後期プレスに多い傾向があります
- 同じカタログ番号でもプレス時期によって音質が異なることがあるため、マトリクス番号まで確認するのがコレクターの基本です
中古レコードを買うときの注意点¶
ジェフ・ベックの中古レコードを購入する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
盤質のグレーディングを確認する¶
中古レコードの状態はグレーディングで表記されます。快適に音楽を楽しむならVG+以上を目安にしましょう。
- NM(Near Mint): ほぼ新品同様。安心して購入できます
- VG+(Very Good Plus): 軽微なスレはあるものの、再生時のノイズはほとんど気になりません
- VG(Very Good): 目に見えるキズやスレがありますが、音楽鑑賞には支障ありません
- G+以下: キズやノイズが多く、鑑賞目的には向きません。コレクション用として割り切る場合に
ジャケットとインナースリーブの状態¶
ベックの作品はジャケットアートも魅力的です。特に『Truth』のモノクロ写真や『Blow by Blow』の幾何学的デザインは、LPの大判サイズで映えます。ジャケットの角の潰れ、リングウェア(盤の跡が表面に出る現象)、水シミなどがないかを確認しましょう。
バンド名義とソロ名義の違い¶
ジェフ・ベックのディスコグラフィーは、Jeff Beck Group名義、Beck, Bogert & Appice名義、Jeff Beckソロ名義と複数の名義にまたがっています。中古ショップやオンラインで探す際は、それぞれの名義で検索するのがポイントです。
再発盤という選択肢¶
オリジナル盤が高価で手が出ない場合は、再発盤も十分な選択肢です。特に近年の180g重量盤リイシューは音質が良好なものが多く、気軽にベックのサウンドを楽しめます。まずは再発盤で作品に親しみ、気に入ったアルバムのオリジナル盤を探すというステップがおすすめです。
まとめ¶
ジェフ・ベックは、ブルースロックからジャズ・フュージョン、エレクトロニカまでジャンルの壁を軽々と越え続けた唯一無二のギタリストです。指弾き奏法から生まれる繊細かつダイナミックなギターサウンドは、アナログレコードの温かみのある再生環境でこそ真価を発揮します。最初の1枚には、インストゥルメンタルの金字塔『Blow by Blow』がおすすめです。ブルースロック期の『Truth』、フュージョン期の『Wired』と聴き進めることで、ベックの底知れない音楽的探究心を体感できるでしょう。
関連リンク
- レコード用語集 — グレーディングやオリジナル盤など、本記事に登場する用語の解説はこちら
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