My Bloody Valentine(マイブラ)のレコードガイド|おすすめ盤とアナログの真価¶
My Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、通称マイブラ)は、シューゲイザーというジャンルを定義した伝説的バンドです。ケヴィン・シールズが生み出す多層的なギターノイズは、レコードで聴くことでその真の凄まじさと美しさを体験できます。
My Bloody Valentineとは?バンドの概要¶
My Bloody Valentineは1983年にアイルランド・ダブリンで結成されました。中心メンバーは以下の4人です。
- ケヴィン・シールズ(ギター、ヴォーカル) — トレモロアームを多用した独自のギター奏法で「音の壁」を創造する天才
- ビリンダ・ブッチャー(ギター、ヴォーカル) — 夢見るようなウィスパーヴォイスでノイズの洪水に浮かぶ美しい歌声
- デビー・グッジ(ベース) — 分厚い低音でバンドのサウンドの土台を支える
- コルム・オキーサック(ドラムス) — パワフルかつ繊細なドラミング
My Bloody Valentineの音楽的特徴は、極端なまでに重ねられたギターレイヤーと、その中に溶け込むヴォーカルが生み出す「音の壁」です。ケヴィン・シールズはトレモロアームを常に揺らしながらコードを弾く「グライド・ギター」という独自の奏法を開発し、ギターとも電子音ともつかない浮遊感のあるサウンドを作り上げました。このサウンドは「シューゲイザー」と呼ばれるジャンルの原型となり、後続のバンドに計り知れない影響を与えています。
My Bloody Valentineのレコード おすすめアルバム・EP¶
My Bloody Valentineの作品数は決して多くありませんが、1枚1枚が音楽史に残る重要な作品です。
1. Loveless(1991年)¶
ロック史上最も影響力のあるアルバムの一つにして、シューゲイザーの金字塔。制作に2年の歳月と約25万ポンド(当時のレートで約5,000万円)の制作費を費やし、レーベルのCreation Recordsを財政危機に追い込んだことでも知られます。「Only Shallow」「To Here Knows When」「Sometimes」——すべての楽曲が圧倒的なギターノイズの洪水とメロディの美しさを両立させています。
このアルバムはレコードで聴くことが必須と言い切れる数少ない作品です。ケヴィン・シールズがこだわり抜いた音の質感は、アナログの連続した波形でこそ忠実に再現されます。
- おすすめポイント: シューゲイザーの最高傑作、レコードで聴くべきアルバムの筆頭
- 中古相場目安: UKオリジナル盤(Creation) 30,000〜80,000円、2021年再発盤 5,000〜8,000円
2. Isn't Anything(1988年)¶
1stアルバム。『Loveless』の完璧主義的なプロダクションとは対照的に、よりラフで生々しいサウンドが特徴です。「Soft as Snow (But Warm Inside)」「Feed Me with Your Kiss」「Nothing Much to Die For」など、ノイジーでありながらポップな楽曲が並びます。
- おすすめポイント: Lovelessより荒々しくダイレクトな衝撃、シューゲイザーの原点
- 中古相場目安: UKオリジナル盤(Creation) 15,000〜40,000円、再発盤 4,000〜7,000円
3. m b v(2013年)¶
22年ぶりのスタジオアルバム。事前告知なしにケヴィン・シールズの公式サイトから突如リリースされ、世界中を驚かせました。『Loveless』の延長線上にありながらも、エレクトロニックな要素やドラムンベース的なリズムが取り入れられた意欲作です。レコード盤は180g重量盤でプレスされ、音質も申し分ありません。
- おすすめポイント: 22年の沈黙を破った復活作、180g重量盤の高音質
4. EP's 1988-1991 and Rare Tracks(2012年)¶
初期EPと貴重音源を集めたコンピレーション。「You Made Me Realise」「Glider」「Tremolo」といったEP曲は、アルバムに劣らない重要な楽曲ばかりです。特に「You Made Me Realise」のライブでの爆音パフォーマンスは伝説的で、その原曲をレコードの太い音で聴く体験は格別です。
- おすすめポイント: EP曲はマイブラの重要なレパートリー、入門者にもファンにもおすすめ
My Bloody Valentineのオリジナル盤——なぜ高額なのか¶
My Bloody Valentineのレコード、特に『Loveless』のオリジナル盤は、レコードコレクターの世界で最も人気の高いアイテムの一つです。
Creationオリジナル盤の特徴¶
| チェック項目 | オリジナル盤の特徴 |
|---|---|
| レーベル | Creation Records(CRELP / CRE) |
| プレス | UKプレスが最も評価が高い |
| ジャケット | マットコーティング仕上げ |
| インナースリーブ | Creation Recordsカタログ付き |
| 価格高騰の理由 | 初回プレス数が少ない、バンドの伝説的地位、再プレスまでの空白期間が長い |
再発盤の選択肢¶
2012年以降、ケヴィン・シールズ自身の監修による再発盤がリリースされています。
| 再発盤 | 年 | 特徴 |
|---|---|---|
| 2012年リマスター | 2012年 | ケヴィン・シールズ自身がアナログマスタリングを監修。音質面で高い評価 |
| 2021年「Deluxe」盤 | 2021年 | 完全リマスター、180g重量盤、ハーフスピードマスタリング |
再発盤はケヴィン・シールズが品質に妥協しないことで知られ、むしろ「再発盤のほうが音が良い」という声も少なくありません。オリジナル盤はコレクターズアイテムとしての価値が高く、純粋に音楽を楽しむなら再発盤で十分です。
My Bloody Valentineのレコードを買うときの注意点¶
- オリジナル盤は高額: 特に『Loveless』のCreationオリジナル盤は数万円単位。まずは再発盤から始めましょう
- ケヴィン・シールズ監修の再発盤を選ぶ: 再発盤にも複数のバージョンが存在します。2021年のハーフスピードマスタリング盤が現在入手できる最高品質のものです
- 盤の状態を確認する: 1980〜90年代のインディーレコードは保管状態にバラつきがあるため、グレーディングをしっかり確認しましょう
- EP盤も見逃さない: 「You Made Me Realise」「Glider」「Tremolo」の7インチ / 12インチEPはアルバム未収録曲を含む重要な作品です
- ブートレグに注意: 人気が高いため、非公式のブートレグ盤が出回っていることがあります。信頼できるショップで購入しましょう
レコードの購入場所については、レコードの購入場所ガイドも参考にしてみてください。
My Bloody Valentineをレコードで聴く魅力¶
My Bloody Valentineは、レコードで聴くことの意義が最も大きいアーティストの一つです。
- 「音の壁」の圧倒的な体感: ケヴィン・シールズが何十層にも重ねたギターレイヤーは、レコードのアナログ再生で聴くと、デジタルでは感じにくい音の厚みと空気の振動を体感できます。大きな音で聴くと、部屋全体がノイズの洪水に包まれる感覚は圧巻です
- ノイズの中に溶けるメロディ: ビリンダ・ブッチャーとケヴィン・シールズのヴォーカルは、意図的にギターノイズの中に埋もれるようにミックスされています。レコードの自然な音の溶け合いは、このミックスの意図を最も正確に再現します
- ケヴィン・シールズのこだわり: ケヴィン・シールズ自身がアナログマスタリングに強いこだわりを持ち、再発盤のカッティングにも立ち会っています。彼が「レコードで聴いてほしい」と考えていることは、再発盤の品質に対する姿勢から明らかです
- A面・B面の体験: 『Loveless』のA面最後の「When You Sleep」からB面冒頭の「I Only Said」への移行は、レコードを裏返す静寂の瞬間を挟むことで、音楽の流れに独特の「間」が生まれます
まとめ¶
- My Bloody Valentine(マイブラ)はシューゲイザーを定義した伝説的バンド。最初の1枚には『Loveless』が必須
- Creationオリジナル盤は高額だが、ケヴィン・シールズ監修の再発盤(特に2021年盤)は音質が極めて優秀
- EP曲にもアルバム未収録の重要な楽曲が多い
- 多層的なギターノイズの真の凄まじさは、レコードのアナログ再生でこそ体感できる
- ケヴィン・シールズ自身がアナログへのこだわりを持つアーティストであり、レコードで聴く意義が最も高いバンドの一つ
Digital & Analog in Harmony.
テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。