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New Order(ニュー・オーダー)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

New Order(ニュー・オーダー)は、ポストパンクとエレクトロニック・ダンスミュージックを融合させ、1980年代以降のポピュラー音楽に計り知れない影響を与えたイギリスのバンドです。シンセサイザーの冷たい輝きとギターの生々しさが共存するサウンドは、レコードの溝に刻まれたアナログならではの質感でこそ真価を発揮します。Factory Recordsという伝説的レーベルから生まれた彼らの作品群は、音楽的価値だけでなくコレクターズアイテムとしても高い人気を誇ります。本記事では、New Orderのおすすめアルバムからオリジナル盤の見分け方、中古市場での注意点まで、レコードコレクションに役立つ情報をお届けします。

New Orderとは?バンドの概要

メンバー

名前 担当 備考
Bernard Sumner(バーナード・サムナー) ボーカル、ギター、キーボード Joy Division ではギターを担当
Peter Hook(ピーター・フック) ベース 高音域を駆け上がる独自のベースラインで知られる
Stephen Morris(スティーヴン・モリス) ドラム、エレクトロニクス 正確無比なドラミングとプログラミングを両立
Gillian Gilbert(ジリアン・ギルバート) キーボード、ギター 1980年加入、Stephen Morrisのパートナーでもある

結成の経緯 ── Joy Divisionからの再出発

New Orderの物語は、Joy Divisionの終わりから始まります。1980年5月18日、Joy Divisionのボーカリストであったイアン・カーティスが23歳でこの世を去り、バンドは突然の終焉を迎えました。残されたBernard Sumner、Peter Hook、Stephen Morrisの3人は、Joy Divisionの名前を使い続けないことを決断し、新たにGillian Gilbertを迎えてNew Orderとして再出発します。

初期のNew Orderには、Joy Divisionの暗く内省的なサウンドの残響が色濃くありました。しかし、バンドは次第にシンセサイザーやドラムマシン、シーケンサーを取り入れ、ニューヨークのクラブシーンやイタリアン・ディスコ、クラウトロックの影響を吸収しながら、ロックとダンスミュージックの境界を溶かしていく独自の道を歩み始めます。

音楽的特徴

New Orderの音楽を特徴づけるのは、生楽器と電子楽器のシームレスな融合です。Peter Hookの高音域で歌うようなベースライン、Stephen Morrisのタイトでメカニカルなドラム、Bernard Sumnerのどこか淡白で感傷的なボーカルとギター、そしてGillian Gilbertのシンセサイザーが織りなすサウンドは、冷たさと温かさ、メランコリーとユーフォリアが同居する唯一無二のものです。

キャリアの流れ

1981年のデビューアルバム『Movement』を皮切りに、1983年には12インチシングル「Blue Monday」を発表。これは12インチシングルとして史上最も売れたレコードとなり、バンドの方向性を決定づけました。その後、Factory Recordsから『Power, Corruption & Lies』(1983年)、『Low-Life』(1985年)、『Brotherhood』(1986年)、『Technique』(1989年)と傑作を立て続けにリリース。1990年代にはFactory Recordsの倒産を経てLondon Recordsへ移籍し、活動休止と再結成を繰り返しながらも、2015年の『Music Complete』まで創作活動を続けています。

レコードで聴きたいおすすめアルバム 5選

1. Power, Corruption & Lies(1983年)

New Orderが独自のアイデンティティを確立した2ndアルバムにして最高傑作の一つです。冒頭の「Age of Consent」は、Peter Hookの駆け上がるベースラインとBernard Sumnerの感傷的なボーカルが絡み合う名曲中の名曲。「Your Silent Face」ではシンセサイザーの繊細な音色が美しく広がり、「5 8 6」ではダンスビートとギターが見事に融合します。ピーター・サヴィルがアンリ・ファンタン=ラトゥールの花の静物画を使用したジャケットも、12インチの大判サイズでこそ映えるアートワークです。

おすすめポイント: ポストパンクからエレクトロニック・ポップへの転換点を記録した歴史的作品。レコードで聴くと、シンセと生楽器の音色が溶け合う瞬間の美しさが際立ちます。

中古相場目安: UKオリジナル盤(FACT 75)は状態により5,000〜15,000円程度。リイシュー盤は2,000〜4,000円前後で入手可能です。

2. Technique(1989年)

イビサ島のクラブカルチャーに触発されて制作された5thアルバムで、New Orderの最高傑作との呼び声も高い一枚です。「Fine Time」のアシッドハウス的なビート、「Round & Round」のキラキラしたシンセポップ、「Vanishing Point」の疾走感、そして「Run」の壮大なメロディと、全曲がハイライトといえる充実ぶり。1980年代のダンスミュージック革命とバンドサウンドが完璧に結実した作品です。

おすすめポイント: バンドの演奏力とプログラミングの技術が頂点に達した一枚。レコードで聴くと低音の厚みとリズムのグルーヴ感が格別です。

中古相場目安: UKオリジナル盤(FACT 275)は3,000〜10,000円程度。比較的流通量が多いため、状態の良い盤も見つけやすい部類です。

3. Low-Life(1985年)

3rdアルバムで、バンドの音楽的成熟を示す重要作です。「The Perfect Kiss」は10分近い大曲で、繊細なシンセのイントロからダンサブルなビートへと展開する構成が圧巻。「Love Vigilantes」はフォーク調のメロディが意外性を生み、「Elegia」は17分に及ぶインストゥルメンタル(アルバム版は短縮)で、Joy Divisionの亡霊と向き合うような荘厳さがあります。

おすすめポイント: 実験性とポップセンスのバランスが絶妙。A面とB面のコントラストがアナログ盤ならではの聴き方で楽しめます。

中古相場目安: UKオリジナル盤(FACT 100)は4,000〜12,000円程度。キリのよいカタログ番号もコレクター心をくすぐります。

4. Brotherhood(1986年)

4thアルバムは、A面にロック色の強い楽曲、B面にエレクトロニックな楽曲を配した二面性が特徴的です。A面の「Weirdo」「Paradise」ではギターを前面に出したタフなサウンドを、B面の「Bizarre Love Triangle」「Every Little Counts」ではきらびやかなシンセポップを展開。特に「Bizarre Love Triangle」は、New Orderを代表する名曲として今なお愛され続けています。

おすすめポイント: レコードのA面/B面という構造を活かした作品設計が秀逸。1枚で2つの顔を持つバンドの魅力を堪能できます。

中古相場目安: UKオリジナル盤(FACT 150)は3,000〜8,000円程度。流通量が多く、初心者にもおすすめしやすいタイトルです。

5. Movement(1981年)

New Orderとしてのデビューアルバムです。Joy Divisionの喪失感が全編を覆い、サウンド面でもポストパンクの延長線上にありますが、「Dreams Never End」のメロディアスなベースライン、「Chosen Time」の実験的なドラムマシンの使用など、後のNew Orderへと続く萌芽が随所に見られます。マーティン・ハネットがプロデュースを手がけた最後の作品であり、Joy DivisionからNew Orderへの過渡期の緊張感が生々しく記録されています。

おすすめポイント: バンドの原点にして出発点。Joy Divisionファンにとっても必聴の一枚で、マーティン・ハネットの冷徹なプロダクションがレコードの質感と見事にマッチします。

中古相場目安: UKオリジナル盤(FACT 50)は5,000〜15,000円程度。初期プレスは流通量が少なく、状態の良いものは高値で取引されます。

オリジナル盤の見分け方

New Orderのオリジナル盤を見分けるうえで、Factory Recordsというレーベルの特徴を理解することが不可欠です。

Factory Recordsのカタログ番号(FACTナンバー)

Factory Recordsでは、すべてのリリースに固有のカタログ番号が付与されています。アルバムには「FACT」、シングルには「FAC」というプレフィックスが使われます。New Orderの主要アルバムのカタログ番号は以下の通りです。

アルバム カタログ番号 リリース年
Movement FACT 50 1981
Power, Corruption & Lies FACT 75 1983
Low-Life FACT 100 1985
Brotherhood FACT 150 1986
Technique FACT 275 1989

オリジナル盤にはレーベル面やスリーブ内側にこのFACTナンバーが正しく記載されています。リイシュー盤や他国盤では異なるカタログ番号が使われていたり、配給会社の番号が付加されていることがあるため、まずはこの番号を確認しましょう。

マトリクス番号の確認

レコードのランアウトグルーブ(音溝の最内周部分)に刻印されたマトリクス番号は、プレスの同定に欠かせません。UKオリジナル盤の多くはStrawberry Studiosでカッティングされており、マトリクスに「STRAW」の文字が含まれることがあります。また、初期プレスには手書き風のエッチングが見られる場合もあり、これはファーストプレスの証拠となります。

レーベル面とジャケットの特徴

Factory Recordsのオリジナル盤には、レーベル面に「Factory Records」のロゴとマンチェスターの住所が記載されています。再発盤ではロンドンの住所や配給会社(Warner Bros.など)の情報が加わることがあるため、見分けるポイントになります。また、ピーター・サヴィルによるジャケットデザインは初版と再発盤で印刷品質や紙質に差が出ることがあります。特に『Power, Corruption & Lies』のエンボス加工や『Blue Monday』12インチのダイカットスリーブ(フロッピーディスク型の型抜き)は、オリジナル盤ならではの仕様です。

中古レコードを買うときの注意点

盤質の確認は最優先

New Orderのオリジナル盤は1980年代のプレスが中心であり、40年以上が経過しています。購入前には必ず盤面のスクラッチ、スレ、反りの有無を確認してください。特にダンスミュージック寄りの作品は、クラブやDJプレイで使用された個体が中古市場に流れることもあるため、盤面の摩耗に注意が必要です。可能であれば、試聴してから購入することをおすすめします。

グレーディングを理解する

中古レコードの取引では、盤質を示すグレーディングが重要な指標となります。NM(Near Mint)は新品同様、VG+(Very Good Plus)は軽微なスレがある程度、VG(Very Good)は再生に影響しない範囲のキズあり、という基準が一般的です。オンラインで購入する場合は、販売者が示すグレードと実際の状態に差がないか、レビューや評価を確認しましょう。

リイシュー盤との比較

New Orderのアルバムは近年、公式リマスターの180g重量盤として再発されています。これらのリイシュー盤は音質面で優れている場合も多く、盤質も新品なので安心して購入できます。一方、コレクターズアイテムとしての価値はオリジナル盤に軍配が上がります。「音楽を楽しむ」目的であればリイシュー盤、「コレクションとして所有する」目的であればオリジナル盤と、自分のスタイルに合わせて選ぶのがよいでしょう。リイシュー盤は2,000〜4,000円程度で入手できるものが多く、最初の一枚として手に取りやすい価格帯です。

まとめ

New Orderは、Joy Divisionの悲劇から生まれ変わり、ポストパンクとエレクトロニック・ダンスミュージックを融合させた音楽史上きわめて重要なバンドです。Factory Recordsのオリジナル盤はFACTナンバーやマトリクス番号で見分けることができ、コレクターズアイテムとしても高い人気を誇ります。まずはリイシュー盤で音楽に触れ、気に入ったアルバムのオリジナル盤を探すという流れで、New Orderのレコードコレクションを始めてみてはいかがでしょうか。

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