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Roxy Music(ロキシー・ミュージック)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

Roxy Music(ロキシー・ミュージック)は、グラムロックの華やかさとアートロックの実験精神を融合させ、1970年代のイギリス音楽シーンに鮮烈な衝撃を与えたバンドです。ブライアン・フェリーの退廃的なボーカルと、初期にはブライアン・イーノのエレクトロニクスが絡み合う唯一無二のサウンドは、レコードの温かく奥行きのある音で聴くことで、その魅力が一層引き立ちます。アナログ盤のジャケットアートも含めて、レコードコレクターにとって最も魅力的なバンドの一つといえるでしょう。

Roxy Musicとは?バンドの概要

Roxy Music は1970年、シンガー/ソングライターのブライアン・フェリー(ボーカル、キーボード)を中心にイギリスで結成されました。オリジナルメンバーには、後にアンビエントミュージックの開拓者として知られることになるブライアン・イーノ(シンセサイザー、テープエフェクト)、フィル・マンザネラ(ギター)、アンディ・マッケイ(サクソフォン、オーボエ)、ポール・トンプソン(ドラムス)が名を連ねていました。

前衛とポップの融合——唯一無二のサウンド

Roxy Music の音楽的特徴は、クラシックなロックンロールやポップスの骨格に、アヴァンギャルドなエレクトロニクスや実験的なアレンジを大胆に組み合わせた点にあります。デビュー当時はグラムロックのムーブメントの中に位置づけられましたが、デヴィッド・ボウイや T. Rex とは明らかに異なる知的でアートスクール的なアプローチが際立っていました。フェリーのクルーナー的でありながらも不安定さを漂わせるボーカル、マッケイのサックスとオーボエによるクラシカルな彩り、そしてマンザネラの鋭いギターワークが三位一体となって、Roxy Music 独自のサウンドを形成しています。

バンドの歴史——3つの時代

時期 特徴 代表作
1971〜1973年(イーノ在籍期) 実験的・アヴァンギャルド、グラムロックの華やかさ Roxy Music, For Your Pleasure
1973〜1976年(中期) 洗練と成熟、ヨーロッパ的な耽美性 Stranded, Country Life, Siren
1978〜1982年(後期) AOR的な洗練、ソフィスティ・ポップの先駆け Manifesto, Flesh + Blood, Avalon

1973年にブライアン・イーノがフェリーとの音楽的方向性の違いから脱退したことは、バンドのサウンドに大きな転換をもたらしました。イーノ在籍期の実験性は後退しましたが、代わりにフェリーの美意識が全面に打ち出された洗練されたサウンドへと進化していきます。1976年に一度解散した後、1978年に再結成。そして1982年の『Avalon』で、究極ともいえる洗練を達成した後に活動を休止しました。2001年には再結成ツアーを行いましたが、新たなスタジオアルバムは制作されていません。

ブライアン・フェリーはソロ活動でも多くの名盤を残しており、Roxy Music とソロ作品を合わせて聴くことで、このアーティストの全体像がより深く理解できます。

おすすめアルバム5選

Roxy Music のディスコグラフィーの中から、レコードで聴くべき5枚を厳選しました。

1. For Your Pleasure(1973年)

ブライアン・イーノ在籍期の最高傑作にして、バンドの最も大胆な実験が結実したセカンドアルバムです。冒頭の「Do the Strand」のスリリングなエネルギーから、アルバム後半のタイトル曲「For Your Pleasure」やラストの「The Bogus Man」の不穏なサウンドスケープまで、A面とB面で異なる表情を見せる構成は、まさにレコードで聴くために設計されたかのようです。イーノのエレクトロニクスがバンドサウンドと有機的に溶け合う瞬間は、アナログの空気感の中でこそ真価を発揮します。

  • おすすめポイント: イーノ在籍期の到達点、A面のポップさとB面の実験性の鮮やかな対比
  • 中古相場目安: 国内盤 2,000〜5,000円、UKオリジナル盤(Island Records) 8,000〜30,000円

2. Avalon(1982年)

Roxy Music の最終スタジオアルバムにして、バンドの集大成ともいえる作品です。「More Than This」「Avalon」といった楽曲に代表される、シルクのように滑らかなサウンドプロダクションは、1980年代のソフィスティ・ポップやAORに多大な影響を与えました。レコードで聴くと、ボブ・クリアマウンテンによるミックスの空間的な奥行きが見事に再現され、フェリーの囁くようなボーカルが部屋全体を包み込みます。

  • おすすめポイント: 究極の洗練、夜に静かに針を落としたい至高の1枚
  • 中古相場目安: 国内盤 1,500〜3,500円、UKオリジナル盤 4,000〜15,000円

3. Roxy Music(1972年)

記念すべきデビューアルバム。「Re-Make/Re-Model」の衝撃的な冒頭から、グラムロック、ドゥーワップ、アヴァンギャルドが渾然一体となった唯一無二のサウンドが展開されます。当時の音楽シーンのどこにも属さない、まったく新しい音楽の誕生を刻んだ歴史的な1枚です。レコードで聴くと、イーノのシンセサイザーとテープ操作による音響実験が生々しく迫ってきます。

  • おすすめポイント: ロック史に刻まれた衝撃のデビュー、あらゆる要素が新鮮
  • 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤(Island Records) 6,000〜25,000円

4. Country Life(1974年)

イーノ脱退後、バンドが新たな方向性を確立した4thアルバムです。「The Thrill of It All」のドラマティックな展開や「All I Want Is You」のキャッチーなメロディなど、ロックバンドとしての演奏力とソングライティングの充実ぶりが際立ちます。セクシーなジャケット写真でも知られ、一部の国ではジャケットが差し替えられたことも話題になりました。12インチサイズでこのジャケットを鑑賞できるのもレコードならではの楽しみです。

  • おすすめポイント: 演奏力と楽曲の質が高い次元で融合、話題のジャケットアート
  • 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤 5,000〜18,000円

5. Stranded(1973年)

イーノ脱退後の最初の作品であり、フェリーのビジョンがバンドの方向性を完全に主導するようになった転換点のアルバムです。冒頭の「Street Life」は、バンド最大のヒット曲の一つで、フェリーのダンディズムが凝縮されたナンバー。エディ・ジョブソンがイーノに代わって加入し、バイオリンとシンセサイザーで新たな色彩を加えています。A面のポップな楽曲群とB面の叙情的な展開のバランスが見事です。

  • おすすめポイント: イーノ脱退後の新たな出発点、「Street Life」は必聴
  • 中古相場目安: 国内盤 2,000〜4,000円、UKオリジナル盤 5,000〜20,000円

オリジナル盤の見分け方

Roxy Music のレコードは、初期作品がすべて UK の Island Records からリリースされています。オリジナル盤を見分ける際のポイントを整理します。

UK Island Records オリジナル盤の特徴

レーベルデザイン(ピンクリム・アイランド)

1970年代前半の Island Records のオリジナル盤は、通称「ピンクリム」と呼ばれるレーベルデザインが特徴です。レーベルの外周がピンク色で縁取られ、中央に「i」のロゴマークとヤシの木のイラストが配置されています。1stアルバム『Roxy Music』(ILPS 9200)から『Siren』(ILPS 9344)まで、このピンクリム・レーベルが初期プレスの証となります。後年の再発盤ではレーベルデザインが変更されているため、この点は確実にチェックしましょう。

マトリクス番号の確認

レコード盤面の内溝(デッドワックス)に刻印されたマトリクス番号を確認することで、プレスの時期を特定できます。Island Records の初期プレスでは、マトリクス番号の末尾に「A-1」「B-1」のような若い数字が刻まれています。また、手書きの刻印やマスタリングエンジニアのイニシャルが確認できる場合もあります。例えば、1stアルバムのUKオリジナル盤のカタログ番号は「ILPS 9200」で、初期プレスのマトリクスには若い枝番が入ります。

ジャケットの仕様

UKオリジナル盤のジャケットは、光沢のあるラミネート加工が施されていることが多いです。後年のリプレス盤や再発盤ではマット仕上げに変わっていることがあるため、ジャケットの質感も重要な判断材料です。また、初期プレスのインナースリーブには Island Records の他のカタログが印刷された専用スリーブが付属しています。

後期作品について

1979年の『Manifesto』以降は、Polydor Records / EG Records からのリリースとなります。こちらもUK盤がオリジナル盤となりますが、Island期ほどプレスによる音質差は大きくないとされています。『Avalon』のUKオリジナル盤(Polydor、カタログ番号 EGLP 50)は、ハーフスピード・マスタリング盤も存在し、オーディオファイルからの評価が高い盤です。

中古レコードを買うときの注意点

Roxy Music のレコードを中古で探す際には、以下のポイントに気をつけましょう。

盤の状態をしっかり確認する

1970年代のレコードは50年以上前のプレスとなるため、経年劣化は避けられません。特に注意したいのは以下の点です。

  • 表面のスクラッチ: 目視で確認できるキズがある場合、再生時のノイズに直結します。光にかざして盤面をチェックしましょう
  • 反り: レコードを水平な場所に置き、反りがないか確認します。軽度の反りでも音質に影響を与えることがあります
  • グレーディングの確認: 中古レコード店やオンラインショップでは、VG+、EX、NM などのグレードが表記されています。初めてのコレクションなら VG+ 以上を目安にするとよいでしょう

ジャケットの状態も重要

Roxy Music のアルバムは、ジャケットアートが非常に重要な要素です。フェリーのパートナーや著名なモデルをフィーチャーしたグラマラスなジャケット写真は、バンドの美学を象徴しています。特に『Country Life』のオリジナルジャケットは、一部の国では別デザインに差し替えられたため、オリジナルデザインのジャケットは希少価値があります。

  • リングウェア: レコード盤の形が外側から浮き出る「リングウェア」は、ジャケットの価値を下げる要因です
  • シーム・スプリット: ジャケットの角や辺の接着が剥がれていないか確認しましょう
  • の有無(国内盤の場合): 日本盤は帯付きかどうかで価格が大きく変わります。Roxy Music の国内盤は帯のデザインも美しく、コレクターに人気があります

再発盤やリマスター盤の活用

必ずしもオリジナル盤にこだわる必要はありません。近年の再発盤の中には、高品質なリマスタリングが施されたものもあります。特に、2022年にリリースされたハーフスピード・マスタリングによるリイシューシリーズは音質の評価が高く、入門用として最適です。予算と入手しやすさを考慮しながら、まずは音楽そのものを楽しむことを優先しましょう。

まとめ

Roxy Music は、アートロックとグラムロックの枠を超え、洗練と実験を両立させた稀有なバンドです。初期のブライアン・イーノとの前衛的なコラボレーションから、後期の極上のソフィスティケーションまで、どの時代の作品もレコードで聴く価値に満ちています。UK Island Records のピンクリム・レーベルによるオリジナル盤はコレクターズアイテムとして人気がありますが、再発盤やリマスター盤でもその魅力は十分に味わえます。ぜひ、レコードの針を落として、Roxy Music が描いた音と美の世界を体験してみてください。


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