Suede - グラムロック復権の立役者、ブリットポップ黎明期のカリスマバンド¶
1990年代初頭、イギリスのロックシーンに衝撃をもたらしたSuede。ブレット・アンダーソンの退廃的なカリスマ性と、グラムロックを現代に蘇らせた革新的なサウンドで、ブリットポップムーブメントの先駆けとなったバンドです。本記事では、レコードコレクターの視点からSuedeの魅力と、オリジナル盤の見分け方、購入時のポイントを詳しく解説します。
アーティストの概要¶
Suedeは1989年にロンドンで結成され、ブレット・アンダーソン(ボーカル)、バーナード・バトラー(ギター)を中心に活動を開始しました。1993年にデビューアルバム『Suede』をリリースすると、イギリスのメディアから「The Best New Band in Britain」と称賛され、一躍スターダムにのし上がります。
彼らの音楽性は、David BowieやT.Rexといったグラムロックの系譜を受け継ぎながら、90年代のオルタナティブロックと融合させた独自のスタイルを確立しました。ブレット・アンダーソンの中性的で官能的なボーカル、バーナード・バトラーの叙情的なギターワークは、当時のアメリカ発グランジとは一線を画す、洗練されたイギリスらしさを体現していました。
メンバーチェンジを経ながらも、『Dog Man Star』(1994年)、『Coming Up』(1996年)、『Head Music』(1999年)と名盤を連発し、ブリットポップシーンの重要な一角を占めました。2003年に一度解散するも、2010年に再結成し、現在も精力的に活動を続けています。
おすすめアルバム5選¶
1. Suede (1993)¶
デビュー作にして最高傑作の呼び声も高い記念すべき1枚。「The Drowners」「Metal Mickey」「Animal Nitrate」など、シングルカットされた楽曲はどれも完成度が高く、アルバム全体を通して一切の無駄がありません。Nude Recordsからリリースされたこのアルバムは、UKチャート1位を獲得し、マーキュリー賞も受賞しました。レコードで聴くと、アナログ特有の温かみがブレットの声の艶やかさを一層引き立てます。
2. Dog Man Star (1994)¶
バーナード・バトラー在籍時の最後のアルバムであり、最も野心的で壮大な作品です。「The Wild Ones」「New Generation」など、ストリングスを大胆に取り入れたアレンジは圧巻で、グラムロックとプログレッシブロックの要素が見事に融合しています。制作中のバンド内の緊張感が音に反映されており、耽美的かつドラマティックなサウンドスケープが展開されます。コレクターの間では特に人気が高く、UKオリジナル盤は高値で取引されています。
3. Coming Up (1996)¶
バーナード脱退後、新ギタリストのリチャード・オークスを迎えて制作された3rdアルバム。前作までの重厚さから一転、ポップでキャッチーな楽曲が並びます。「Trash」「Beautiful Ones」「Lazy」「Filmstar」と、シングルヒット曲が目白押しで、商業的にも大成功を収めました。レコードでの再生は、90年代らしいクリアでダイナミックなプロダクションを存分に味わえます。
4. Head Music (1999)¶
エレクトロニックな要素を取り入れ、よりダンサブルでモダンなサウンドに進化した4thアルバム。タイトル曲「Head Music」や「Everything Will Flow」など、シンセサイザーを効果的に使用した楽曲が特徴的です。賛否両論を呼んだ作品ですが、バンドの音楽的幅の広さを示す重要な1枚といえます。
5. A New Morning (2002)¶
解散前最後のスタジオアルバム。前作のエレクトロニック路線から離れ、よりストレートなロックサウンドに回帰しています。商業的には苦戦しましたが、後年再評価が進んでおり、隠れた名盤として根強いファンを持つ作品です。
オリジナル盤の見分け方¶
Suedeのレコードを収集する際、最も価値が高いのはNude RecordsからリリースされたUKオリジナル盤です。見分け方のポイントを以下にまとめます。
レーベル表記の確認: UKオリジナル盤には「NUDE」のカタログナンバーが記載されています。例えば、1stアルバム『Suede』はNUDE 1LP、『Dog Man Star』はNUDE 3LPといった形式です。アメリカ盤やヨーロッパ盤は異なるカタログナンバーになっているため、必ず確認しましょう。
マトリクス番号のチェック: レコード盤面の中心部(ラベル周辺)に刻印されたマトリクス番号を確認します。UKオリジナル盤は特定のプレス工場で製造されており、マトリクス番号にその情報が含まれています。Discogsなどのデータベースで事前に調べておくと安心です。
ジャケットの印刷品質: オリジナル盤はジャケットの印刷が非常に精緻で、色の発色も鮮やかです。リイシュー盤は印刷がやや粗い場合があるため、可能であれば実物を見て比較することをおすすめします。
インナースリーブの有無: オリジナル盤には専用のインナースリーブが付属していることが多く、歌詞カードやクレジット情報が印刷されています。これらの付属物が揃っているかも重要な判断材料です。
バーコードの位置: 初期プレス盤とリイシュー盤ではバーコードの位置や有無が異なる場合があります。1990年代初期のリリースでは、バーコードがジャケット背面に印刷されているか、シールで貼られているかで判別できることもあります。
買うときの注意点¶
Suedeのレコードを購入する際は、以下の点に注意しましょう。
コンディションの確認: 1990年代のレコードは、CDが主流だった時代のため流通量は多くありませんが、保存状態が良好なものとそうでないものの差が大きいです。特に『Dog Man Star』のような人気盤は中古市場で頻繁に取引されますが、盤面のスクラッチや反りがないか、ジャケットの傷み具合を入念にチェックしてください。
価格相場の把握: Discogsやレコード専門店で事前に相場を調べておくことが重要です。UKオリジナル盤は数千円から状態の良いものだと1万円以上することもあります。リイシュー盤であれば比較的手頃な価格で入手できるため、予算に応じて選択しましょう。
リイシュー盤も選択肢に: オリジナル盤にこだわらなければ、近年リリースされているリマスター盤やリイシュー盤も音質が非常に優れています。特に180gの重量盤はプレス品質が高く、音の再現性も良好です。コレクション目的でなければ、リイシュー盤も十分に満足できる選択肢です。
海賊盤に注意: 人気バンドのため、稀に海賊盤(非公式プレス)が市場に出回ることがあります。極端に安価なものや、販売元が不明確なものは避けるのが賢明です。信頼できる販売店から購入することをおすすめします。
付属物の確認: ポスター、歌詞カード、特典インサートなど、オリジナル盤に付属していたアイテムが揃っているかも価値を左右します。特にコレクション目的で購入する場合は、これらの有無を必ず確認しましょう。
レコードで聴く魅力¶
Suedeの音楽は、レコードで聴くことで真価を発揮します。その理由をいくつかご紹介します。
まず、ブレット・アンダーソンのボーカルの繊細なニュアンスが、アナログならではの温かみとともに再現されます。CDやデジタルでは聴き取りにくい息遣いや声の質感が、レコードでは生々しく伝わってきます。特に「The Wild Ones」のような叙情的なバラードでは、その差が顕著です。
次に、ギターサウンドの厚みと広がりです。バーナード・バトラーやリチャード・オークスのギターワークは、アナログ特有の温かみと自然な歪みによって、より立体的に感じられます。『Dog Man Star』のオーケストラアレンジも、レコードで聴くと音の層が豊かに聴こえ、壮大なスケール感が増します。
さらに、レコードをかける行為そのものが、Suedeの耽美的で儀式的な世界観とマッチします。ジャケットを手に取り、盤を取り出し、針を落とす。この一連の動作が、音楽を聴く体験をより特別なものにしてくれます。
また、90年代のレコードは制作段階でアナログマスターが使用されていることが多く、音源本来の意図した音質で楽しめるという利点もあります。デジタルリマスター盤も素晴らしいですが、当時のエンジニアが想定した音の鳴り方を体験できるのは、やはりオリジナルアナログ盤ならではの醍醐味です。
まとめ¶
Suedeは、グラムロックの復権とブリットポップの幕開けを象徴する、1990年代UKロックシーンの重要なバンドです。ブレット・アンダーソンのカリスマ性と、時代を超えた普遍的な音楽性は、今なお多くのリスナーを魅了し続けています。
レコードコレクションとしても、Nude RecordsのUKオリジナル盤は非常に価値が高く、音質面でも優れています。『Suede』『Dog Man Star』『Coming Up』といった名盤は、ぜひレコードで所有したい作品です。オリジナル盤の見分け方や購入時の注意点を押さえて、自分だけのSuedeコレクションを充実させてください。
レコードで聴くSuedeは、CDやストリーミングでは味わえない特別な体験をもたらしてくれます。針を落とした瞬間に広がる、あの独特の耽美的な世界観を、ぜひご自身の耳でお確かめください。Suedeの音楽は、アナログレコードという媒体と共鳴し、時代を超えた輝きを放ち続けています。
レコードコレクションについてさらに詳しく知りたい方は、用語集もあわせてご覧ください。
Digital & Analog in Harmony.
テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。