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Television(テレヴィジョン)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

Television(テレヴィジョン)は、1970年代ニューヨークのCBGBから登場し、ギターロックの可能性を根本から書き換えたバンドです。トム・ヴァーレインとリチャード・ロイドによる2本のギターが織りなす繊細で緊張感に満ちたインタープレイは、パンクの荒々しさとジャズの即興性、文学的な詩情を一つに溶かし合わせた唯一無二のサウンドを生み出しました。この記事では、Televisionの概要からおすすめ盤、オリジナル盤の見分け方、中古レコードの購入時に知っておきたいポイントまで詳しく解説します。

Televisionとは?バンドの概要

Televisionは1973年、ニューヨークで結成されました。中心人物はトム・ヴァーレイン(ボーカル・ギター)とリチャード・ヘル(ベース)。やがてリチャード・ヘルが脱退し、フレッド・スミスが後任として加入。トム・ヴァーレイン、リチャード・ロイド(ギター)、フレッド・スミス(ベース)、ビリー・フィッカ(ドラムス)という不動のラインナップが確立しました。

彼らはCBGBで初めてレギュラー出演を果たしたバンドの一つであり、ラモーンズ、パティ・スミス、ブロンディらとともにニューヨークパンクの黎明期を形作りました。しかし、Televisionの音楽はいわゆるパンクの3コード哲学とは対照的です。10分を超える長尺のギターソロ、クラシックやジャズを思わせる複雑な構成、フランス象徴派詩人にちなんだ芸名(トム・ヴァーレインはポール・ヴェルレーヌに由来)など、知性と衝動が高い次元で共存するスタイルを打ち立てました。

ポストパンクニューウェイヴの文脈で語られることが多いTelevisionですが、その影響はジャンルの枠を超えています。R.E.M.、Sonic Youth、Radioheadといった後続のギターバンドは、Televisionが示した「ギター2本の対話」というコンセプトに多大な影響を受けています。わずか3枚のスタジオアルバムしか残していないにもかかわらず、ロック史における存在感は計り知れません。

おすすめアルバム5選

1. Marquee Moon(1977年)

ロック史上最も偉大なデビューアルバムの一つ。タイトル曲「Marquee Moon」は約10分にわたるギターの対話劇で、トム・ヴァーレインとリチャード・ロイドの2本のギターが螺旋を描くように絡み合い、昇りつめ、解放されます。「See No Evil」の鋭い疾走感、「Venus」の幻想的な美しさ、「Friction」のタイトなグルーヴなど、全8曲に一切の無駄がありません。

レコードで聴くと、ギターのトーンの繊細なニュアンス——弦が震える空気感やアンプの倍音——が鮮やかに立ち上がります。A面ラストの「Marquee Moon」からB面へ針を落とし直す瞬間の静寂が、アルバム全体のドラマ性をいっそう高めてくれます。

  • おすすめポイント: 全ロックファン必聴、ギターインタープレイの最高峰
  • 中古相場目安: 国内盤 3,000〜8,000円、USオリジナル盤(Elektra)10,000〜40,000円

2. Adventure(1978年)

2ndアルバム。前作の緊張感あふれるサウンドから一転、よりメロディアスでコンパクトな楽曲が並びます。「Glory」「Days」「Foxhole」といった曲はポップな親しみやすさを持ちながら、Televisionならではの鋭利なギターワークは健在です。「Carried Away」のリリカルな美しさは、バンドのもう一つの魅力を教えてくれます。

発売当時は前作との落差から評価が分かれましたが、近年は再評価が進んでいます。レコードで聴くと、凝ったステレオの定位感がよく分かり、2本のギターが左右に広がる音像を楽しめます。

  • おすすめポイント: ポップで聴きやすい入門盤としても最適、再評価が進む隠れた名盤
  • 中古相場目安: 国内盤 2,000〜5,000円、USオリジナル盤 4,000〜15,000円

3. Television(1992年)

14年ぶりの復活作となった3rdアルバム。Capitol Recordsからリリースされました。オリジナルメンバー4人が再集結し、円熟したアンサンブルを聴かせます。「Call Mr. Lee」「1880 or So」など、落ち着いたトーンの中にもTelevisionらしいギターの対話が息づいています。

1990年代の録音技術による高品質なサウンドがレコードに刻まれており、音の輪郭がクリアで聴き応えがあります。流通量が比較的少なく、アナログ盤は希少価値が高まりつつあります。

  • おすすめポイント: 成熟したバンドの円熟味、希少盤としてのコレクター価値

4. Marquee Moon(UK盤 / ダブルシングル含む)

『Marquee Moon』はUS盤とUK盤で異なる体験ができることで知られています。UK盤では、タイトル曲「Marquee Moon」がパート1とパート2に分割され、シングルとしてもリリースされました。また、UK盤の12インチシングルに収録されたフルレングスのライブバージョンは、スタジオ盤を超える緊迫感を持つ名演として評価が高いです。

UK盤はElektraのUKプレスで、US盤とはマスタリングが異なるため音の質感も異なります。両者を聴き比べるのもレコードコレクションの醍醐味です。

  • おすすめポイント: US盤との聴き比べが楽しめる、シングル盤は希少

5. The Blow-Up(1982年)

1978年の解散前、CBGBやボトムラインでのライブを収録した2枚組ライブアルバムです。ROIR(Reachout International Records)からカセットテープでリリースされたのち、後年にレコードやCDで再発されました。「Little Johnny Jewel」「Knockin' on Heaven's Door」など、スタジオ盤に未収録の楽曲やカバーが含まれ、ライブバンドとしてのTelevisionの凄みを体感できます。

10分を超えるインプロヴィゼーションの応酬は、まさにTelevisionの真骨頂。レコードの温かい音で聴くと、CBGBの熱気と観客の息遣いまで伝わってくるような臨場感があります。

  • おすすめポイント: ライブバンドとしての本領を発揮、スタジオ盤未収録曲も多数

オリジナル盤の見分け方

Televisionのレコードは主にElektra Recordsからリリースされており、オリジナル盤再発盤では市場価値が大きく異なります。以下のポイントを押さえておきましょう。

レーベルデザイン

USオリジナル盤は、Elektra Recordsの「バタフライ・レーベル」と呼ばれるデザインが特徴です。赤い蝶のロゴが中央に配置された当時のレーベルデザインは、1970年代後半のElektra盤に共通するもの。後年の再発盤ではレーベルデザインが変更されているため、まずここを確認するのが基本です。

マトリクス番号の確認

レコードのラン・オフ・グルーヴ(内溝)に刻まれたマトリクス番号は、プレス時期を特定する重要な手がかりです。『Marquee Moon』のUSオリジナル盤のカタログ番号は「7E-1098」で、初回プレスにはSterling Soundでのカッティングを示す刻印が含まれています。手書きの文字やエンジニアのイニシャルがあれば、初期プレスの可能性が高まります。

ジャケットと付属品

オリジナル盤のジャケットは、当時の印刷技術による独特の色味と紙質を持っています。『Marquee Moon』のジャケットに使われたロバート・メイプルソープによるバンド写真は、オリジナル盤ではコントラストが深く、モノクロのグラデーションが美しく再現されています。インナースリーブにElektraの他タイトルの広告が印刷されているものは、初期プレスの証拠になります。

US盤とUK盤の違い

チェック項目 USオリジナル盤 UKオリジナル盤
レーベル Elektra(バタフライ・レーベル) Elektra UK
カタログ番号 7E-1098(Marquee Moon) K 52046(Marquee Moon)
マスタリング Sterling Sound系 UK独自カッティング
音質傾向 クリアで分離感が良い やや温かみのある質感

中古レコードの選び方と注意点

Televisionのレコードを中古で購入する際に、知っておくと役立つポイントをまとめます。

まず手に入れるべき1枚

迷ったら『Marquee Moon』一択です。ロック史に残る傑作であるだけでなく、Televisionというバンドの本質がすべて詰まっています。最初からオリジナル盤にこだわる必要はありません。近年のリイシュー盤にも良質なものがあり、Rhino RecordsやElektra再発盤は比較的手頃な価格で入手できます。

盤の状態を見極める

1970年代のレコードは、保管環境によって状態に大きな差があります。特にTelevisionのレコードは、パンク/ニューウェイヴのファンが愛聴してきたものが多く、頻繁に再生された痕跡がある場合も少なくありません。購入前にはグレーディングを必ず確認し、可能であれば試聴させてもらいましょう。『Marquee Moon』のような繊細なギタートーンが魅力の作品は、盤面のコンディションが音質に直結します。

価格の傾向

『Marquee Moon』のUSオリジナル盤は、状態の良いもので10,000〜40,000円程度が相場です。UK盤はUS盤よりやや高値になる傾向があります。『Adventure』はオリジナル盤でも比較的手頃で、4,000〜15,000円程度。3rdアルバム『Television』のアナログ盤は流通量が少なく、見つけたら入手しておく価値があります。

付きの日本盤もコレクター市場では人気があります。日本語のライナーノーツが付属する国内盤は、楽曲の背景を理解する助けにもなるため、実用面でもおすすめです。

リイシュー盤の活用

必ずしもオリジナル盤にこだわる必要はありません。4 Men with Beardsや近年のElektra/Rhinoによるリイシューは、オリジナル・マスターから丁寧にカッティングされており、音質的に満足度の高い仕上がりです。まずはリイシュー盤でTelevisionのサウンドを味わい、気に入ったらオリジナル盤を探す——そんな段階的なアプローチも良いでしょう。

購入場所の選び方

TelevisionのレコードはDiscogsなどの海外マーケットプレイスで見つかることが多いですが、国内の中古レコード店でも入荷することがあります。信頼できるショップの見つけ方やオンライン購入の注意点については、レコードの購入場所ガイドも参考にしてみてください。

まとめ

  • Televisionは、1970年代ニューヨークCBGBから登場した伝説的バンド。トム・ヴァーレインとリチャード・ロイドによるギターインタープレイは、ロック史における最高の発明の一つです
  • 最初の1枚には『Marquee Moon』が必須。全ロックファンが一度は聴くべき不朽の名作です
  • USオリジナル盤はElektraのバタフライ・レーベルが目印。マトリクス番号やジャケットの紙質でプレス時期を判別できます
  • US盤とUK盤ではマスタリングが異なり、聴き比べもレコードコレクションの楽しみの一つです
  • リイシュー盤も良質なものが多く、予算に合わせた選択が可能。まずはレコードに針を落として、あの鋭く美しいギターサウンドを体感してみてください

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