コンテンツにスキップ

The Police(ポリス)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

レゲエ、ジャズ、パンクを融合させた唯一無二のサウンドで、1970年代末から80年代前半にかけて世界を席巻したThe Police(ポリス)。スティング、アンディ・サマーズ、スチュワート・コープランドの3人が生み出す研ぎ澄まされたアンサンブルは、わずか5枚のスタジオアルバムに凝縮されています。本記事では、The Policeのレコードコレクションを始めたい方に向けて、おすすめアルバムからオリジナル盤の見分け方、中古レコード購入時の注意点までを詳しくご紹介します。

The Policeとは?バンドの概要

The Policeは1977年にロンドンで結成された3人組バンドです。スティング(本名ゴードン・マシュー・サムナー、ボーカル・ベース)、アンディ・サマーズ(ギター)、スチュワート・コープランド(ドラムス)というラインナップで、メンバー全員が高度な演奏技術を備えたミュージシャンズ・バンドでした。

当時のロンドンはパンクロック全盛期でしたが、The Policeはパンクのエネルギーを吸収しつつも、レゲエやスカのリズム、ジャズの即興性を大胆に取り込んだ独自の音楽スタイルを確立しました。ニューウェイヴムーブメントの中心的存在として語られることが多いですが、彼らのサウンドはその枠に収まりきらない奥深さを持っています。

デビュー当初はインディーレーベルからシングルをリリースする無名バンドでしたが、「Roxanne」のヒットをきっかけにA&M Recordsと契約し、一気にスターダムへ駆け上がりました。1978年のデビューアルバムから1983年の『Synchronicity』まで、わずか5年余りの活動期間ながら、グラミー賞を6度受賞し、全世界で7,500万枚以上のレコードを売り上げています。

スティングの文学的な歌詞とメロディセンス、アンディ・サマーズのコーラスエフェクトを駆使した空間的なギターワーク、スチュワート・コープランドのレゲエとロックを行き来する変則的なドラミング。この3つの個性がぶつかり合い、時にテンションを生みながらも、他のどのバンドにも似ていない音楽を生み出していました。1986年に正式解散しましたが、2007〜2008年には再結成ワールドツアーを実施し、その人気が衰えていないことを証明しています。

おすすめアルバム5選

1. Synchronicity(1983年)

The Policeの最高傑作であり、最後のスタジオアルバム。全世界で1,300万枚以上を売り上げ、バンドの商業的頂点を示す作品です。「Every Breath You Take」はポップ史に残る名曲として知られていますが、アルバム全体を通して聴くと、その印象は大きく変わります。「Synchronicity I」「Synchronicity II」のプログレッシブで実験的なアプローチ、「Wrapped Around Your Finger」の荘厳なアレンジ、「King of Pain」の切迫した美しさなど、3人の卓越した演奏力が結集した楽曲が並びます。レコードで聴くと、ヒュー・パジャムのプロデュースによる緻密な音像が際立ち、各楽器の配置や空間表現の豊かさに驚かされます。A&M Records UKオリジナル盤はコレクター人気が非常に高く、状態の良いものは年々希少になっています。

2. Reggatta de Blanc(1979年)

セカンドアルバムにして、全英1位を獲得した出世作。タイトルはフランス語風に「白いレゲエ」を意味し、バンドの音楽的アイデンティティを端的に表現しています。「Message in a Bottle」のイントロのギターアルペジオはロック史に残る名リフの一つであり、「Walking on the Moon」のスペーシーなレゲエアレンジは、The Policeにしか到達しえない境地です。インストゥルメンタルのタイトル曲「Reggatta de Blanc」では、スチュワート・コープランドのポリリズミックなドラミングが炸裂し、3人のジャムセッション的な一体感を味わえます。レコードの溝に刻まれたアンディ・サマーズのギターの倍音やコーラスエフェクトの広がりは、アナログでこそ真価を発揮します。

3. Ghost in the Machine(1981年)

よりダークで複雑な方向へと舵を切った4作目。サックスやシンセサイザーを導入し、3ピースバンドの枠を超えたサウンドスケープを構築しています。「Every Little Thing She Does Is Magic」の軽やかなポップセンス、「Spirits in the Material World」のシリアスなテーマ、「Invisible Sun」の北アイルランド紛争を題材にした重厚な楽曲など、スティングのソングライティングが円熟を見せた作品です。LEDディスプレイ風のジャケットデザインも印象的で、レコード棚に並べると独特の存在感を放ちます。レコードで聴くと、フィリップ・グラスの影響を受けたとされるミニマルなアレンジの中に、繊細な音の層が幾重にも重なっていることに気づかされます。

4. Outlandos d'Amour(1978年)

すべてはここから始まりました。記念すべきデビューアルバムは、パンクのエッジとレゲエのグルーヴが生々しく融合した、荒削りながらもエネルギーに満ちた作品です。「Roxanne」の切ないメロディとレゲエビートの組み合わせ、「Can't Stand Losing You」のタイトなリズムワーク、「So Lonely」のボブ・マーリーへのオマージュとも言えるレゲエアレンジなど、後のThe Policeサウンドの原型がすべて詰まっています。当時のパンクシーン全盛の中で、これほど音楽的に成熟した作品をデビュー時点で提示していたことは驚きです。オリジナル盤の荒々しい音質が、この作品の持つ初期衝動を最もダイレクトに伝えてくれます。

5. Zenyatta Mondatta(1980年)

ワールドツアーの合間を縫って短期間でレコーディングされた3作目。その制約が逆に功を奏し、ライブバンドとしてのThe Policeの魅力が凝縮された作品です。「Don't Stand So Close to Me」のナボコフを引用した文学的歌詞とニューウェイヴ的アレンジ、インストゥルメンタル曲「Behind My Camel」のアヴァンギャルドな実験性など、多彩な楽曲が収められています。レコードで聴くと、3人の演奏の一体感とライブ感が際立ち、スタジオ録音でありながらスリリングな臨場感を味わえます。比較的入手しやすい価格帯で流通しているため、The Policeのレコードコレクション入門にも適した1枚です。

オリジナル盤の見分け方

The PoliceのレコードはA&M Recordsからリリースされており、オリジナル盤再発盤(リイシュー)では音質やコレクター価値が大きく異なります。以下のポイントを押さえておきましょう。

レーベルデザイン

A&M Records UKの初期プレスは、茶色とゴールドを基調としたレーベルデザインが特徴的です。中央にA&Mのロゴが配置され、「Made in England」の表記があります。1980年代中盤以降のリイシューでは、シルバーやグレーを基調としたデザインに変更されているため、レーベル面の色味で大まかな年代を判別できます。US盤のA&M Recordsも同じロゴを使用していますが、「Made in U.S.A.」と表記されています。

マトリクス番号の確認

レコード盤の内溝(ラン・オフ・グルーヴ)に刻まれたマトリクス番号は、プレス時期を特定する最も確実な方法です。UK初回プレスには「AMLH」で始まるカタログ番号が使われており、マトリクスには「A-1」「B-1」など初期プレスを示すコードが確認できます。例えば『Synchronicity』のUKオリジナル盤のカタログ番号は「AMLX 63735」です。手書きの刻印やマスタリング・エンジニアのイニシャルが含まれている場合もあるため、Discogsなどのデータベースで照合すると確実です。

ジャケットの仕上げ

オリジナル盤のジャケットは印刷品質が高く、当時の印刷技術による独特の質感があります。特に『Synchronicity』はジャケットのバリエーションが多数存在し、メンバーの写真の配置が異なるパターンがいくつもあります。初回プレスのジャケットは色彩が鮮明で、紙質もしっかりしています。後年のリイシューではデジタル印刷に切り替わっており、写真の質感やテキストの鮮明さに違いが見られます。

インナースリーブ

オリジナル盤には、A&M Recordsのカタログ広告が印刷された時代特有のインナースリーブが付属していることが多いです。この広告の内容からもプレス時期を推測できるため、インナースリーブの有無や状態も購入時にチェックしておきたいポイントです。

中古レコードの選び方と注意点

The Policeは世界的に大ヒットしたバンドであるため、中古レコード市場での流通量は比較的多く、入手しやすいアーティストの一人です。ただし、以下のポイントを意識しておくと、より満足度の高い買い物ができます。

盤の状態を最優先で確認する

1980年代前半のレコードは40年以上が経過しており、保存環境によって状態にばらつきがあります。グレーディングVG+以上の盤であれば、再生時のノイズも最小限で十分に楽しめます。特にThe Policeの楽曲は静かなパートと激しいパートのダイナミクスが大きいため、スクラッチやノイズが目立ちやすい傾向があります。購入前に試聴できる環境であれば、ぜひ音を確認しましょう。

ジャケットのコンディション

The Policeのジャケットアートはどれも象徴的で、コレクション価値の重要な要素です。特に『Outlandos d'Amour』の白黒写真や『Ghost in the Machine』のLEDデザインなど、ビジュアル面でも魅力的な作品が多いため、リングウェアや破れ、色褪せがないかを確認しましょう。ゲイトフォールド仕様の場合は、折り目部分のダメージにも注意が必要です。

UK盤・US盤・日本盤の違い

The Policeのレコードはプレス国によってマスタリングが異なり、音の印象が変わります。

  • UK盤: A&M Records UKプレス。オリジナルとして最も評価が高く、コレクター人気も高い
  • US盤: A&M Records USプレス。UK盤とはマスタリングが若干異なり、やや明るめの音質傾向
  • 日本盤: A&M/キング、後にポリドールからリリース。付きは海外コレクターにも人気があり、プレス品質の安定感に定評がある

リマスター再発盤も選択肢に

必ずしもオリジナル盤にこだわる必要はありません。近年リリースされたリマスター盤やハーフスピードマスタリング盤は、音質面で優れたものも多くあります。オリジナル盤の相場が予算を超える場合は、再発盤(リイシュー)から入門するのも賢明な選択です。特に初めてThe Policeのレコードを手に取る方には、状態の安定した再発盤がおすすめです。

信頼できる購入先を選ぶ

レコード専門店であれば、盤の状態やプレスの違いについて詳しく教えてもらえます。オンラインで購入する場合は、出品者の評価やグレーディング表記を必ず確認しましょう。海外からの輸入盤を検討する際は、送料や到着までの日数も考慮に入れてください。

まとめ

  • The Police(ポリス)はわずか5枚のスタジオアルバムで、レゲエとロックを融合した唯一無二のサウンドを確立したバンド
  • 最初の1枚には最高傑作『Synchronicity』か、バンドの原点『Outlandos d'Amour』がおすすめ
  • UKオリジナル盤はA&M Recordsの茶色とゴールドのレーベルが目印。マトリクス番号やジャケットの仕上げで初期プレスを判別できる
  • 日本盤は帯付きが海外コレクターにも人気。安定したプレス品質も魅力
  • 中古盤は流通量が多く入手しやすいが、盤とジャケットの状態確認は必須。リマスター再発盤も入門用に最適
  • 3人の卓越した演奏技術が生み出す緊張感あふれるアンサンブルは、レコードで聴くことでその真価を発揮する

Harmonic Society Records — アナログレコードの知識ベース。ホームに戻る


Digital & Analog in Harmony.

テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。