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The Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

1989年、マンチェスターから世界を変えたバンド、The Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)。ダンスビートとサイケデリックなギターを融合させた彼らのサウンドは、ブリットポップやオルタナティブロックの土台を築きました。スタジオアルバムはわずか2枚ながら、そのデビュー作は「史上最高のデビューアルバム」と称されることも少なくありません。本記事では、ストーン・ローゼズのレコードを集めるうえで押さえておきたいおすすめ盤、オリジナル盤の見分け方、中古購入時の注意点を詳しく解説します。

バンド概要

The Stone Rosesは1983年にイングランド・マンチェスターで結成されました。メンバー構成は以下のとおりです。

メンバー 担当 特徴
イアン・ブラウン ヴォーカル クールで気だるいヴォーカルスタイル。カリスマ的フロントマン
ジョン・スクワイア ギター ジミ・ヘンドリクスに影響を受けた流麗なギターワーク。ジャクソン・ポロック風のアートワークも手がける
マニ(ゲイリー・マウンフィールド) ベース ファンクの影響を感じさせるグルーヴィなベースライン
レニ(アラン・レン・ウレン) ドラムス ファンクとロックを自在に行き来する卓越したドラミング

彼らが活動の中心としたマンチェスターは、1980年代後半から1990年代初頭にかけて「マッドチェスター」と呼ばれるムーブメントの震源地でした。アシッドハウスのダンスビートとインディーロックを融合させたこのシーンには、Happy Mondaysやインスパイラル・カーペッツなども属していましたが、その頂点に君臨していたのがストーン・ローゼズです。

音楽的には、60年代のサイケデリックロックやバーズ風の12弦ギター、ファンクのグルーヴ、そしてアシッドハウスのリズム感覚を独自にブレンドしたサウンドが特徴です。ジョン・スクワイアのきらびやかなギターアルペジオと、レニのタイトかつ躍動感あふれるドラムが織りなすリズムセクションは、聴く者を自然と踊らせる力を持っています。このダンサブルなロックサウンドは、後のブリットポップ世代、とりわけOasisのギャラガー兄弟にも決定的な影響を与えました。

おすすめレコード 5選

ストーン・ローゼズのスタジオアルバムは2枚のみですが、シングルや12インチには独自のミックスやB面曲など、アルバム未収録の魅力的な楽曲が数多く存在します。ここではアルバム2枚に加え、レコードで手に入れたい重要なシングル・12インチを含めた5作品を厳選しました。

1. The Stone Roses(1989年)

デビューアルバムにして、UKロック史上に燦然と輝く大名盤。NMEやMelody Makerをはじめ数多くのメディアで「史上最高のデビューアルバム」に選出されてきました。「I Wanna Be Adored」の荘厳なイントロで幕を開け、「She Bangs the Drums」「Waterfall」「Made of Stone」「I Am the Resurrection」と、捨て曲なしの完璧な構成が展開されます。

サイケデリアとダンスミュージックを融合させたサウンドは、当時のインディーシーンに衝撃を与えました。特にレコードで聴くと、ジョン・スクワイアのギターの繊細なニュアンスと、レニのドラムの空気感が鮮やかに浮かび上がります。A面ラストの「Waterfall」からB面冒頭の「Don't Stop」(Waterfallの逆再生)へと移る瞬間は、レコードならではの「盤を裏返す」儀式と完璧にマッチする構成です。

  • おすすめポイント: UKロック史上屈指のデビュー作。1枚だけ選ぶなら迷わずこれ
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤(Silvertone ORE LP 502) 15,000〜40,000円、再発盤(180g重量盤) 3,000〜6,000円

2. Second Coming(1994年)

約5年の沈黙を破ってリリースされた2ndアルバム。デビュー作の浮遊感あるサイケデリアから一転、ジョン・スクワイアのブルージーでヘヴィなギターが前面に出たサウンドへと変化しています。「Love Spreads」「Ten Storey Love Song」「Begging You」など、楽曲のクオリティは非常に高いものの、デビュー作との方向性の違いから当時は賛否両論でした。

しかし時を経て再評価が進み、レッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリクスへのオマージュを感じさせるギターワークの素晴らしさが改めて認識されています。レコードではジョン・スクワイアのギタートーンの太さと、マニのファンキーなベースラインが際立ち、2枚組LPならではの聴き応えがあります。

  • おすすめポイント: ジョン・スクワイアのギターの真骨頂。再評価が進む隠れた名盤
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤(Geffen GEF 24503) 5,000〜15,000円、再発盤 3,000〜6,000円

3. She Bangs the Drums / Standing Here(1989年・7インチシングル)

1stアルバムからのシングルカットで、B面の「Standing Here」はアルバム未収録。このB面曲はライブでも定番の人気曲で、ジョン・スクワイアのワウペダルを効かせたギターソロが聴きどころです。7インチシングルならではのコンパクトなサウンドで、ダイレクトな音の力強さを体感できます。ストーン・ローゼズのシングルはジョン・スクワイアがデザインしたジャケットアートも魅力で、コレクションとしての価値も高い一枚です。

  • おすすめポイント: アルバム未収録のB面名曲とジャクソン・ポロック風アートワーク
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤(Silvertone ORE 6) 2,000〜5,000円

4. Fools Gold / What the World Is Waiting For(1989年・12インチシングル)

ストーン・ローゼズをマッドチェスターの象徴たらしめた決定的シングル。「Fools Gold」はファンクビートとアシッドハウスのグルーヴを大胆に取り入れた9分超の楽曲で、レニのドラムブレイクは今なおDJにサンプリングされるほどの名演です。12インチの溝の広さを活かしたカッティングにより、キックドラムの深い沈み込みとベースラインのうねりが圧倒的な迫力で再生されます。

両A面扱いの「What the World Is Waiting For」もロックンロールの衝動に溢れた名曲で、12インチならではの音圧を楽しめます。

  • おすすめポイント: マッドチェスターを象徴する1曲。12インチの低音は必聴
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤(Silvertone ORE T 13) 3,000〜8,000円

5. One Love / Something's Burning(1990年・12インチシングル)

「Fools Gold」路線をさらに推し進めたダンストラック。アシッドハウスの影響がより顕著で、反復するグルーヴの中にイアン・ブラウンの浮遊感あるヴォーカルが漂います。12インチには通常版よりも長いエクステンデッド・ミックスが収録されており、クラブでのプレイを想定したビルドアップとブレイクダウンが楽しめます。B面の「Something's Burning」もアルバム未収録の隠れた名曲です。

  • おすすめポイント: ダンスフロア対応のエクステンデッド・ミックス。アルバム未収録B面も秀逸
  • 中古相場目安: UKオリジナル盤(Silvertone ORE T 17) 2,000〜5,000円

オリジナル盤の見分け方

ストーン・ローゼズのレコードをコレクションするうえで最も重要なのが、Silvertone RecordsからリリースされたUKオリジナル盤の見極めです。特にデビューアルバムはプレスの違いによって音質や価値が大きく異なります。

レーベルとカタログナンバー

デビューアルバムのUKオリジナル盤は、Silvertone Recordsからカタログナンバー「ORE LP 502」としてリリースされました。レーベル面には銀と黒のSilvertoneロゴが印刷されています。このSilvertoneレーベル面のデザインが、オリジナル盤を識別する第一のチェックポイントです。

マトリクス番号の確認

マトリクス番号は、盤面のデッドワックス(ラベル付近の音溝がない部分)に刻印されたコードです。デビューアルバムのUK初回プレスでは、マトリクス番号に「ORE LP 502 A-1」「ORE LP 502 B-1」といった刻印が確認できます。末尾の数字が「1」であれば初回プレスである可能性が高く、数字が大きくなるほど後のプレスということになります。

また、デッドワックスにはカッティングエンジニアの手書き文字やスタンパー情報が刻まれていることもあり、これらも真贋やプレス時期を判定する手がかりになります。

ジャケットの確認ポイント

デビューアルバムのジャケットは、ジョン・スクワイアによるジャクソン・ポロック風のペイントが施された象徴的なデザインです。UKオリジナル盤は厚手のボード紙を使用しており、色の発色が鮮やかです。後年のリイシュー盤やUS盤では紙質が薄かったり、色味がやや異なる場合があります。

裏ジャケットの印刷情報、バーコードの有無なども確認しましょう。初期のUK盤にはバーコードが付いていないものが多く、バーコード付きは後期プレスの可能性があります。

Second ComingのオリジナL盤

2ndアルバム『Second Coming』は、バンドがSilvertoneからGeffenレーベルへ移籍した後の作品です。UKオリジナル盤のカタログナンバーは「GEF 24503」で、2枚組LPとしてリリースされました。こちらは初回プレスの流通数がデビュー作より多いため、比較的入手しやすい価格帯です。

中古レコードを買うときの注意点

ストーン・ローゼズの中古レコードを購入する際には、いくつかの点に注意が必要です。

盤面のコンディション

まず盤面のグレーディングをしっかり確認しましょう。デビューアルバムのオリジナル盤は発売から35年以上が経過しており、保管状態によってはノイズやスクラッチが目立つものもあります。特にA面1曲目の「I Wanna Be Adored」は静かなイントロから始まるため、盤面の傷やホコリによるノイズが気になりやすい楽曲です。

リイシュー盤とオリジナル盤の使い分け

初めてストーン・ローゼズのレコードを買う方は、まず180g重量盤などの高品質リイシューで音楽を楽しむことをおすすめします。近年の再発盤はリマスタリングの恩恵で音質が良好なものが多く、手頃な価格で入手可能です。オリジナル盤のコレクションは、レコードの扱いに慣れてから挑戦しても遅くはありません。

シングル盤のコンプリートは根気が必要

ストーン・ローゼズのシングルは種類が多く(7インチ、12インチ、限定カラー盤など)、すべてを揃えるにはかなりの根気と予算が必要です。まずはデビューアルバムとお気に入りのシングルを数枚手に入れるところから始めて、少しずつコレクションを広げていくのがよいでしょう。

ブートレグ盤に注意

人気の高いバンドだけに、非公式のブートレグ盤も出回っています。正規盤に比べてジャケットの印刷が粗かったり、音質が劣る場合は要注意です。購入は信頼できるレコードショップを利用し、不明な点はショップのスタッフに確認しましょう。

相場の変動に注意

ストーン・ローゼズのレコード相場は、再結成ツアー(2012年、2016〜2017年)の時期に大きく高騰した実績があります。今後もバンドに関するニュースが出れば相場が動く可能性があるため、欲しい盤を見つけたときが買い時と考えるのも一つの方法です。

まとめ

The Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)は、わずか2枚のスタジオアルバムで音楽史に消えない足跡を残したバンドです。特にデビューアルバム『The Stone Roses』は、サイケデリアとダンスミュージックが溶け合ったサウンドをアナログレコードの温かみで体感できる、レコードコレクター必携の1枚と言えます。

Silvertone RecordsのUKオリジナル盤はコレクターズアイテムとしての価値が高く、マトリクス番号やジャケットの細部を確認することで初回プレスを見極められます。ただし、まずは高品質なリイシュー盤で音楽そのものを楽しみ、コレクションはじっくりと育てていくのがおすすめです。シングルや12インチにはアルバム未収録の名曲や独自のミックスが数多く存在し、掘り下げるほどに新たな発見があるのもストーン・ローゼズのレコードの醍醐味です。

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