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The White Stripes(ホワイト・ストライプス)のレコードガイド|おすすめ盤と選び方

The White Stripes(ホワイト・ストライプス)は、ギターとドラムスだけという最小編成でロックの原始的な衝動を呼び覚まし、2000年代のガレージロック・リバイバルを牽引したデュオです。ジャック・ホワイトの激情的なギターとメグ・ホワイトのプリミティブなドラムが生み出すサウンドは、レコードで聴くことで一層その生々しさが際立ちます。この記事では、おすすめアルバムやオリジナル盤の見分け方、中古レコードの選び方まで詳しく解説します。

バンドの概要

The White Stripesは、1997年にアメリカ・ミシガン州デトロイトで結成された二人組のロックバンドです。メンバーはジャック・ホワイト(ギター、ヴォーカル、ピアノ)とメグ・ホワイト(ドラムス)。当初は元夫婦であることを隠し「姉弟」と公言していたことでも知られ、赤・白・黒の3色のみを使ったビジュアルコンセプトなど、音楽面だけでなくアートディレクションにおいても徹底したこだわりを見せました。

デトロイトのガレージロックシーンから頭角を現した彼らは、1999年にSympathy for the Record Industryレーベルからデビューアルバム『The White Stripes』をリリース。ブルース、パンク、カントリーを融合した荒削りなサウンドが注目を集めました。2001年の3rdアルバム『White Blood Cells』で一躍メインストリームに躍り出ると、続く2003年の『Elephant』は全世界で大ヒットを記録し、シングル「Seven Nation Army」のギターリフはスポーツスタジアムのチャントとして地球規模で浸透しました。

ジャック・ホワイトは、ブルースの伝統を深く敬愛しながらも、それを現代的なガレージロックとして再解釈する才能に秀でていました。一方、メグ・ホワイトのシンプルで力強いドラミングは、テクニカルなプレイとは対極にありながら、バンドの音楽に不可欠な「間」と「うねり」を生み出しました。この二人の化学反応こそがThe White Stripesの本質であり、ベースレスという制約がかえって音楽的な緊張感と独創性を高めていたのです。

2007年の6thアルバム『Icky Thump』を最後にバンドは活動を休止し、2011年に正式に解散を発表しました。わずか10年あまりの活動期間でしたが、6枚のスタジオアルバムはいずれも高い評価を受けており、ジャック・ホワイトが設立したThird Man Recordsは現在もアナログレコード文化の発信地として大きな存在感を放っています。

おすすめアルバム5選

1. Elephant(2003年)

4thアルバムにしてバンドの最高傑作との呼び声が高い一枚です。イギリス・ロンドンのToe Rag Studiosで、アナログ8トラックレコーダーを使用してレコーディングされました。デジタル機器を一切排除した制作手法により、まるで1960年代のスタジオに迷い込んだかのようなローファイかつ力強いサウンドが実現されています。

「Seven Nation Army」の象徴的なリフは、21世紀のロックを代表するフレーズとして世界中に浸透しました。ほかにも「The Hardest Button to Button」のミニマルなビート、「Ball and Biscuit」の7分に及ぶブルースジャムなど、アルバム全体がエネルギーに満ちています。レコードで聴くと、アナログ録音ならではの空気感と音の太さが存分に伝わってきます。

  • おすすめポイント: アナログ録音へのこだわりが詰まった作品であり、レコードで聴くべきアルバムの筆頭。「Seven Nation Army」の重低音リフの迫力は格別
  • 中古相場目安: US盤 3,000〜8,000円、UKオリジナル盤 5,000〜15,000円

2. White Blood Cells(2001年)

バンドがブレイクするきっかけとなった3rdアルバムです。前2作のブルース色を残しつつも、よりポップでメロディアスな楽曲が増え、幅広いリスナーにアピールする内容に仕上がっています。「Fell in Love with a Girl」はわずか1分40秒という短さながら、パンキッシュな疾走感でリスナーの心を鷲掴みにします。レゴを使ったミュージックビデオも話題になりました。

「Dead Leaves and the Dirty Ground」の叙情的なメロディー、「We're Going to Be Friends」のアコースティックな温かさなど、ジャック・ホワイトのソングライターとしての幅広さが存分に発揮されています。

  • おすすめポイント: ガレージロックのエネルギーとポップなメロディーが絶妙に融合。コンパクトな楽曲が次々と展開し、レコード片面ごとのテンポ感が心地よい
  • 中古相場目安: US盤 3,000〜7,000円、UKオリジナル盤 5,000〜12,000円

3. De Stijl(2000年)

バンド名の由来ともなったオランダの芸術運動「デ・ステイル」にちなんだ2ndアルバムです。Sympathy for the Record Industryからリリースされた本作は、デルタ・ブルースへの深い愛情が滲み出る作品で、ブラインド・ウィリー・マクテルやサン・ハウスといったブルースマンへのオマージュが随所に散りばめられています。

「Hello Operator」のガレージロック的な勢い、「Truth Doesn't Make a Noise」の繊細なアコースティックギター、カントリーの影響が感じられる「Apple Blossom」など、楽曲のバリエーションも豊かです。初期の荒削りな魅力が最も色濃く残っており、ブルースロック好きには特におすすめの一枚です。

  • おすすめポイント: ブルースの伝統とガレージロックの衝動が最も自然に融合した作品。レコードのウォームな音質がブルースフィーリングを引き立てる
  • 中古相場目安: US盤 4,000〜10,000円(初回プレスは希少)、再発盤 2,000〜5,000円

4. Icky Thump(2007年)

バンドのラストアルバムとなった6thアルバムです。前作『Get Behind Me Satan』でのピアノ主体の実験的アプローチから一転、再びヘヴィなギターサウンドが全開となった痛快な一枚です。グラミー賞最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム賞を受賞しました。

タイトル曲「Icky Thump」のヘヴィなリフとスコティッシュバグパイプの融合は強烈なインパクトを残します。「Conquest」のマリアッチ風アレンジ、「300 M.P.H. Torrential Outpour Blues」の疾走するブルースなど、音楽的な冒険心にあふれた作品です。

  • おすすめポイント: バンドの集大成にして、最もサウンドが重厚。レコードの大きなダイナミックレンジで聴くと、ギターの歪みとメグのドラムの迫力が圧巻
  • 中古相場目安: US盤 3,000〜8,000円、UKオリジナル盤 4,000〜12,000円

5. The White Stripes(1999年)

すべての始まりとなったデビューアルバムです。Sympathy for the Record Industryからリリースされ、デトロイトのガレージロックシーンにおけるバンドの存在を確立しました。ロバート・ジョンソンのカバー「Stop Breaking Down」をはじめ、ブルースの影響が色濃い楽曲が並びます。

「Jimmy the Exploder」「The Big Three Killed My Baby」など、パンク的な衝動とブルースのフィーリングが入り混じった初期衝動が詰まっています。録音は粗いですが、それがかえってバンドの生々しいエネルギーを伝えており、レコードとの相性は抜群です。

  • おすすめポイント: 二人だけの最小編成が生み出す緊張感と荒々しさの原点。ローファイな録音がレコードのアナログ感と見事にマッチする
  • 中古相場目安: Sympathy for the Record Industry盤(初回プレス) 10,000〜30,000円、Third Man Records再発盤 3,000〜6,000円

オリジナル盤の見分け方

The White Stripesのレコードはリリース時期やレーベルによって仕様が異なります。オリジナル盤再発盤を見分けるポイントを整理しておきましょう。

レーベルの変遷を理解する

The White Stripesのディスコグラフィーは、リリース元のレーベルが作品ごとに異なるため、まずその変遷を把握することが重要です。

アルバム リリース年 オリジナルレーベル
The White Stripes 1999年 Sympathy for the Record Industry
De Stijl 2000年 Sympathy for the Record Industry
White Blood Cells 2001年 Sympathy for the Record Industry(US)/ XL Recordings(UK)
Elephant 2003年 V2 Records(US)/ XL Recordings(UK)
Get Behind Me Satan 2005年 V2 Records(US)/ XL Recordings(UK)
Icky Thump 2007年 Warner Bros. Records(US)/ XL Recordings(UK)

初期3作のSympathy for the Record Industry盤はプレス数が限られており、特にデビューアルバムの初回プレスは非常に希少です。

マトリクスナンバーの確認

レコードのデッドワックス(音溝の内側にある溝のない部分)に刻印されたマトリクスナンバーは、プレス時期を判別する重要な手がかりです。初回プレスは手書きの刻印が施されていることが多く、再発盤では機械刻印に変わっている場合があります。

ジャケットとカラーヴァイナル

The White Stripesは赤・白・黒のカラーコンセプトを徹底しており、限定盤としてカラーヴァイナル(赤盤や白盤)がリリースされることがありました。これらは通常の黒盤よりもコレクター価値が高く、特にThird Man Recordsからの限定プレスは入手困難なものが多いです。

Third Man Recordsの再発盤について

ジャック・ホワイトが設立したThird Man Recordsから、The White Stripesの全カタログが再発されています。これらはリマスターが施されており音質面では優れていますが、オリジナル盤とは異なるプレスです。Third Man Vault(会員限定パッケージ)で頒布された特別仕様盤もコレクターの間で人気があります。

中古レコードの選び方と注意点

The White Stripesのレコードは近年のアナログブームもあり、中古市場で活発に取引されています。購入の際に押さえておきたいポイントをまとめます。

  • 初回プレスと再発盤の価格差を理解する: 初期のSympathy for the Record Industry盤は流通量が少なく、状態の良いものは高額で取引されます。一方、Third Man Recordsの再発盤は比較的手頃な価格で入手でき、音質も良好です。初めてのコレクションには再発盤から始めるのも賢い選択です
  • 盤の状態を慎重に確認する: グレーディング基準に沿って盤質を確認しましょう。VG+以上であれば快適に再生を楽しめます。特にガレージロックはダイナミックレンジが広いため、傷やノイズが目立ちやすい点に注意が必要です
  • カラーヴァイナルの真贋に注意する: The White Stripesはカラー盤の限定リリースが多いバンドですが、それだけに偽物や非公式盤も存在します。信頼できるレコードショップやDiscogsなどの情報を照合し、正規品であることを確認してから購入しましょう
  • UK盤とUS盤の違いを把握する: 『Elephant』以降の作品は、US盤とUK盤(XL Recordings)でマスタリングが異なる場合があります。一般的にUK盤はよりタイトでクリアな音質、US盤はやや太めの音像と言われますが、好みに応じて選ぶとよいでしょう
  • ジャケットのコンディションも重視する: The White Stripesはアートワークにも強いこだわりを持つバンドです。赤・白・黒の鮮やかなジャケットデザインは12インチのレコードサイズで映えるため、リングウェアや色褪せの少ないものを選びたいところです

まとめ

  • The White Stripes(ホワイト・ストライプス)はギターとドラムスの二人編成で2000年代のガレージロック・リバイバルを牽引したバンド
  • 最初の1枚には、アナログ録音の魅力が最大限に発揮された『Elephant』がおすすめ
  • 初期3作のSympathy for the Record Industry盤はプレス数が限られており、オリジナル盤は希少価値が高い
  • Third Man Recordsからリマスター再発盤が出ており、入門用として音質・価格ともに優れている
  • ブルースの伝統を現代的に再解釈した彼らの音楽は、レコードのウォームなサウンドで聴くことで真価を発揮する

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