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Yes(イエス)- プログレッシブ・ロック黄金期を彩った英国バンドの魅力

1970年代のプログレッシブ・ロック黄金期を代表する英国バンド、Yes(イエス)。複雑な楽曲構成、卓越した演奏技術、そして視覚的にも印象的なロジャー・ディーンによるジャケットアートワークで、音楽史に不朽の足跡を残しました。本記事では、レコードコレクターの視点からYesの魅力とおすすめアルバム、そして実際にレコードを購入する際のポイントを詳しく解説します。

アーティストの概要

Yesは1968年にロンドンで結成されました。ジョン・アンダーソン(ボーカル)、クリス・スクワイア(ベース)、ビル・ブラッフォード(ドラムス)、トニー・ケイ(キーボード)、ピーター・バンクス(ギター)という初期メンバーで活動を開始し、その後スティーヴ・ハウ(ギター)、リック・ウェイクマン(キーボード)が加入したことで、バンドは黄金期を迎えます。

プログレッシブ・ロックというジャンルの中でも、Yesは特に複雑な楽曲構成と高度な演奏技術で知られています。クラシック音楽やジャズの要素を取り入れながら、ロックの枠組みを大きく拡張した彼らのサウンドは、今なお多くのミュージシャンに影響を与え続けています。クリス・スクワイアの重厚かつメロディックなベースライン、スティーヴ・ハウの多彩なギターワーク、リック・ウェイクマンの壮大なキーボードサウンド、そしてジョン・アンダーソンの天使のようなハイトーンボーカルが織りなすハーモニーは、まさに芸術作品と呼ぶにふさわしいものです。

視覚的な側面でも、Yesは特筆すべき存在です。1970年代初頭から、英国のアーティスト、ロジャー・ディーンが手がけた幻想的なジャケットアートワークは、バンドのサウンドと完璧にマッチし、プログレッシブ・ロックのイメージそのものを形作りました。浮遊する島々、有機的な建築物、神秘的な風景──これらの視覚イメージは、音楽と一体となってリスナーを別世界へと誘います。

おすすめアルバム5選

1. The Yes Album(1971年)

バンドの商業的・芸術的成功の第一歩となった記念すべき作品です。スティーヴ・ハウが加入した最初のアルバムで、「Yours Is No Disgrace」「Starship Trooper」といった名曲が収録されています。Atlantic Recordsからリリースされたオリジナル盤は、音の分離が良く、各楽器の響きが鮮明に聴き取れます。

2. Fragile(1971年)

リック・ウェイクマンが加入し、Yesの黄金期ラインナップが完成した作品です。代表曲「Roundabout」を含む8曲構成で、各メンバーのソロパートも収録されています。ロジャー・ディーンが初めてジャケットを手がけた作品としても知られ、コレクター人気の高い一枚です。

3. Close to the Edge(1972年)

多くのファンが最高傑作に挙げる、プログレッシブ・ロックの金字塔です。タイトル曲は18分を超える大作で、緻密に構成された楽曲展開は圧巻の一言。Atlantic盤のオリジナルプレスは音質が素晴らしく、レコードで聴くことで楽曲の持つダイナミクスを存分に味わえます。

4. Tales from Topographic Oceans(1973年)

2枚組の大作アルバムで、4つの長大な組曲から構成されています。賛否両論を呼んだ野心作ですが、Yesの音楽的冒険心が最も発揮された作品とも言えます。ロジャー・ディーンの見開きジャケットも見事で、視覚と聴覚の両面で楽しめる作品です。

5. Going for the One(1977年)

リック・ウェイクマンが一度脱退した後、再加入して制作された復活作です。前作の複雑さから一転、よりコンパクトで親しみやすい楽曲が並びます。タイトル曲や「Wonderous Stories」など、名曲揃いの一枚で、初心者にもおすすめできます。

オリジナル盤の見分け方

Yesのレコードをコレクションする際、オリジナル盤とリイシュー盤を見分けることは重要です。特に1970年代初期のAtlantic Recordsからリリースされた作品は、音質の面でも価値の面でも優れています。

まず、レーベルを確認しましょう。初期のAtlantic盤は、緑と赤のラベルデザインが特徴です。「1841 Broadway」というニューヨークの住所が記載されているものが、オリジナルプレスの目印となります。マトリクス番号も重要な判断材料で、インナーグルーブ(盤の中心付近)に手彫りされた数字やアルファベットを確認することで、プレス時期や工場を特定できます。

ジャケットの印刷品質も見分けるポイントです。オリジナル盤は印刷が鮮明で、ロジャー・ディーンのアートワークの細部まで美しく再現されています。リイシュー盤では印刷がやや粗い場合があるため、注意深く観察しましょう。

レコードの購入ガイドでは、信頼できる購入先についても詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

買うときの注意点

Yesのレコードを購入する際は、盤質とジャケットのコンディションを必ず確認しましょう。プログレッシブ・ロックの特性上、静かなパートと激しいパートが交互に現れるため、ノイズやスクラッチが目立ちやすい傾向があります。特に「Close to the Edge」のような静寂から始まる楽曲では、わずかなノイズも気になるため、VG+以上のコンディションを選ぶことをおすすめします。

ジャケットについても、ロジャー・ディーンのアートワークが大きな魅力であるため、できるだけ状態の良いものを選びたいところです。見開きジャケットの場合、折り目や破れがないか、インサートやポスターが揃っているかを確認しましょう。

また、日本盤と海外盤では音質に違いがあります。日本盤は一般的に静かで丁寧なプレスが特徴ですが、Atlantic盤のオリジナルは独特のパンチのある音質を持っています。どちらを選ぶかは好みの問題ですが、両方聴き比べてみるのも面白いでしょう。

プログレッシブ・ロック関連の用語集では、コンディション表記やプレスに関する専門用語も解説していますので、初心者の方はぜひご活用ください。

レコードで聴く魅力

Yesの音楽は、レコードというフォーマットで聴くことで真価を発揮します。デジタル音源では失われがちなアナログの温かみや、楽器の質感、音場の広がりが、レコードでは豊かに再現されます。

特に、クリス・スクワイアの低音の響き、リック・ウェイクマンのキーボードの重層的な音色、スティーヴ・ハウのギターの繊細なニュアンスは、アナログレコードならではの再生能力によって、より立体的に感じられます。18分を超える「Close to the Edge」をレコードで聴く体験は、まさに音楽の旅そのもので、デジタル音源では味わえない没入感があります。

また、ロジャー・ディーンのアートワークを大判のジャケットで鑑賞できることも、レコードならではの楽しみです。12インチのキャンバスに広がる幻想世界は、音楽体験をさらに豊かにしてくれます。「Tales from Topographic Oceans」の見開きジャケットを開いたときの感動は、CDサイズでは決して得られないものです。

さらに、A面とB面を裏返すという行為自体が、音楽との向き合い方を変えてくれます。アルバムを通して聴くという体験は、曲単位で消費される現代の音楽シーンとは対照的で、アーティストが意図した楽曲の流れや構成を味わうことができます。

まとめ

Yes(イエス)は、プログレッシブ・ロックというジャンルを代表するバンドであり、その音楽的遺産は今なお色褪せることがありません。卓越した演奏技術、複雑な楽曲構成、そしてロジャー・ディーンの幻想的なアートワークが一体となった彼らの作品は、レコードで聴くことで最大限の魅力を発揮します。

「The Yes Album」「Fragile」「Close to the Edge」といった名盤は、プログレッシブ・ロックファンなら必ず押さえておきたい作品です。Atlantic Recordsのオリジナル盤は音質も素晴らしく、コレクションアイテムとしての価値も高いため、状態の良いものを見つけたら迷わず手に入れることをおすすめします。

レコードでYesを聴く体験は、単なる音楽鑑賞を超えた、芸術との対話とも言えるものです。ぜひ、お気に入りの一枚を手に取り、プログレッシブ・ロックの黄金時代へとタイムスリップしてみてください。きっと、音楽の新たな魅力を発見できるはずです。


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