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レコードDJの始め方 — 必要な機材・レコード選び・練習方法を解説

レコードDJ(バイナルDJ)は、アナログレコードとターンテーブルを使って音楽をミックスするスタイルです。デジタルDJが主流の現在でも、レコードならではの温かみのある音質と、盤に触れてコントロールするフィジカルな操作感は、多くのDJを魅了し続けています。本記事では、レコードDJを始めるために必要な機材、レコードの選び方、基本テクニックの練習方法を、初心者にもわかりやすく解説します。

レコードDJに必要な機材

レコードDJを始めるには、最低限以下の機材が必要です。

基本機材一覧

機材 役割 予算の目安
ターンテーブル × 2台 レコードを再生・操作する 各30,000〜80,000円
DJミキサー 2台の音をミックスする 20,000〜80,000円
カートリッジ × 2個 レコードの溝を読み取る 各3,000〜15,000円
ヘッドフォン 次の曲をモニタリングする 5,000〜20,000円
スピーカー(モニター用) ミックスした音を確認する 10,000〜50,000円

初期投資は最低でも10万円程度。中古機材を活用すれば、より安く揃えることも可能です。

ターンテーブルの選び方

DJ用ターンテーブルには、大きく分けてダイレクトドライブ方式ベルトドライブ方式があります。DJにはダイレクトドライブが必須です。

定番モデル:

  • Technics SL-1200シリーズ — DJ用ターンテーブルの世界的定番。頑丈で安定したピッチコントロール。中古でも人気が高い
  • Audio-Technica AT-LP120X — Technicsの代替として人気。コストパフォーマンスに優れる
  • Pioneer DJ PLX-500 — エントリーモデルとして手頃な価格

選ぶポイント:

  • ピッチコントロール(速度調整): ±8%以上の調整幅があること
  • トルク: 盤を止めてもすぐに元の回転速度に戻る力が強いこと
  • ダイレクトドライブ: ベルトドライブはスクラッチやピッチ操作に不向き

DJミキサーの選び方

DJミキサーは2チャンネル以上のものを選びましょう。

初心者におすすめのポイント:

  • 2チャンネル: ターンテーブル2台を接続できる最低限のチャンネル数
  • クロスフェーダー: 2つのチャンネルをスムーズに切り替えるフェーダー
  • EQ(イコライザー): 各チャンネルの高音・中音・低音を調整
  • ヘッドフォンキュー: 次にかける曲をスピーカーに出さずにモニタリングする機能

フォノ入力(PHONO入力)が搭載されたミキサーなら、フォノイコライザーが内蔵されているため、別途用意する必要がありません。

DJ用カートリッジの選び方

DJ用のカートリッジは、リスニング用とは求められる性能が異なります。

  • 高い針圧に耐える: DJプレイでは通常より重い針圧(3〜5g程度)をかけるため、それに耐えるカートリッジが必要
  • トレース能力: スクラッチやバックスピンなど激しい操作でも針飛びしにくいこと
  • 丸針が基本: DJ用途では耐久性の高い丸針(コニカル)が適している

定番モデル:

  • Ortofon Concorde シリーズ(ヘッドシェル一体型で取り付けが簡単)
  • Audio-Technica AT-XP7

レコード針の選び方ガイドでは、リスニング用カートリッジとの違いも解説しています。

最初に揃えるべきレコード

機材が揃ったら、DJプレイに適したレコードを集めましょう。

レコード選びのポイント

  • BPM(テンポ)が近い曲を集める: ミックスしやすいように、まずは同じテンポ帯の曲を揃える
  • イントロ・アウトロが長い曲: ミックスポイントが取りやすい
  • 12インチシングル: DJ向けにロングミックスやインストゥルメンタルが収録されていることが多い
  • 好きなジャンルに絞る: 最初は1つのジャンルに集中した方が練習しやすい

ジャンル別おすすめ

ジャンル BPM帯 特徴
ハウス 120-130 4つ打ちでミックスしやすく、初心者に最適
テクノ 125-140 リズムが一定でBPM合わせの練習に最適
ヒップホップ 85-100 スクラッチの練習に最適
ディスコ / ファンク 100-130 グルーヴ感のあるミックスが楽しめる
ソウル / R&B 90-120 温かみのある選曲が可能

ファンクレコードの魅力テクノ / ハウスレコードガイドでは、各ジャンルの名盤も紹介しています。

レコードの入手方法

DJ用のレコードは、中古レコードショップや以下の場所で入手できます。

  • Discogsマーケットプレイス: 世界中のセラーから購入可能。12インチシングルも豊富
  • 中古レコード店のDJコーナー: ジャンル別に分類されていることが多い
  • レコードフェア: 大量のレコードから掘り出し物を探せる
  • 新譜レコードショップ: 最新のダンスミュージックのリリースを入手

基本テクニックの練習方法

ステップ1: キューイング(頭出し)

曲の始まりの位置を正確に見つける基本テクニックです。

  1. ヘッドフォンで次にかけたい曲をモニタリング
  2. レコードを手で前後に動かし、最初の音の頭を見つける
  3. その位置でレコードを止めておく
  4. タイミングが来たらレコードから手を離して再生開始

ステップ2: ビートマッチング(BPM合わせ)

2つの曲のテンポを合わせる、DJの最も基本的なテクニックです。

  1. 1曲目をスピーカーから流す
  2. 2曲目をヘッドフォンでモニタリングしながら再生
  3. ピッチコントロール(速度調整スライダー)を使い、2曲のテンポを一致させる
  4. テンポが合ったら、タイミングを見てクロスフェーダーで2曲目に移行

練習のコツ:

  • 最初は同じBPMの曲2枚で練習する
  • キックドラム(低音の「ドン」という音)に集中して聴く
  • 2曲のキックが完全に重なるようにピッチを微調整する
  • 焦らず、何度も繰り返し練習する

ステップ3: EQミックス

ビートマッチングができるようになったら、EQ(イコライザー)を使ったスムーズなミックスに挑戦しましょう。

  • 2曲目を入れる時に、2曲目の低音(BASS)を絞っておく
  • クロスフェーダーを中央にして2曲を同時に流す
  • 徐々に1曲目の低音を下げながら、2曲目の低音を上げる
  • 最終的に1曲目のボリュームを下げて完全に2曲目に移行

この方法なら、低音がぶつかって濁ることなく、スムーズなトランジションが実現できます。

レコードDJの注意点

レコードのケア

DJプレイはレコードへの負荷が大きいため、適切なお手入れが欠かせません。

  • 再生前のクリーニング: ホコリが溜まった状態でのDJプレイは針とレコード双方を傷めます
  • 針圧の確認: DJ用に重めに設定しても、カートリッジの推奨範囲を超えないこと
  • 保管: 縦置き保管を徹底し、プレイ後はスリーブに戻す

コレクション盤とプレイ用の使い分け

オリジナル盤や高価なレコードでDJをすると、摩耗や事故で価値が下がるリスクがあります。プレイ用にはリイシュー盤や安価なコピーを使い、コレクション盤は別に保管するのがおすすめです。

まとめ

  • 機材はターンテーブル2台・DJミキサー・カートリッジ・ヘッドフォンが最低限必要。中古機材なら10万円前後で揃えられます
  • 最初は1ジャンルに絞ってBPMの近いレコードを集めるのがミックス練習の近道です
  • ビートマッチングが基本中の基本 — ピッチコントロールでテンポを合わせる練習を繰り返しましょう
  • レコードのケアを怠らない — DJ用途はレコードへの負荷が大きいため、クリーニングと適切な保管が重要です
  • 楽しむことが一番大切 — 好きな音楽をレコードで繋ぐ喜びは、デジタルDJでは味わえない特別な体験です

用語集では、本記事で登場した専門用語の詳しい解説もご覧いただけます。


Digital & Analog in Harmony.

テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。