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レコードを知るとサブスクに戻れない?アナログにハマる理由を徹底解説

レコードを聴き始めたらサブスクに戻れない -- そう感じる人が増えています。便利さではストリーミングが圧倒的なのに、なぜレコードにハマると元に戻れなくなるのでしょうか。その理由は、音質の違いだけではなく、「音楽との向き合い方」そのものが変わるからです。本記事では、レコードとサブスクの体験の違いを掘り下げ、アナログにハマる理由を徹底的に解説します。

サブスクからレコードへ -- 何が変わるのか?

サブスクリプション(以下サブスク)は月額料金で数千万曲にアクセスできる、非常に便利なサービスです。通勤中でもジムでも、スマートフォンひとつで好きな音楽が聴けます。それなのに、なぜレコードに手を伸ばす人がいるのでしょうか。

「聴く」から「体験する」への変化

サブスクでの音楽鑑賞は、基本的に受動的です。アルゴリズムがおすすめの曲を提示し、プレイリストが自動で流れ続けます。便利ではありますが、1曲1曲への意識は薄くなりがちです。

一方、レコードは能動的な行為の連続です。

  • 棚からレコードを選ぶ
  • 内袋から盤を取り出す
  • ターンテーブルに盤を置く
  • 針を落とす
  • A面が終わったら盤を裏返す

この一連の「儀式」が、音楽への集中力を自然と高めてくれます。レコードに針を落とした瞬間の緊張感と、最初の音が鳴り出したときの喜び -- これはサブスクの再生ボタンでは得られない体験です。

選択疲れからの解放

サブスクの弱点のひとつに選択疲れがあります。「何でも聴ける」状態は、裏を返せば「何を聴けばいいかわからない」状態でもあります。次から次へと曲をスキップし、結局何も心に残らなかった -- そんな経験はないでしょうか。

レコードは物理的なメディアなので、手持ちのコレクションの中から「今日はこれを聴こう」と選ぶことになります。この有限の選択肢が、かえって音楽との深い向き合い方を生み出すのです。

レコードの音はサブスクとどう違うのか?

「レコードの音が好きでサブスクに戻れない」という声は非常に多いです。では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

アナログならではの音の厚み

レコードの音は、連続的なアナログ波形として溝に刻まれています。デジタル音源がサンプリングによって音を「点の集合」として記録するのに対し、レコードは音を途切れのない連続した波として記録します。

さらに、再生過程でカートリッジやアンプが加える微細な偶数次倍音が、人間の耳に心地よい「温かさ」や「厚み」として感じられます。この音の特性について詳しくは、レコードはなぜ音が違う?で解説しています。

ストリーミングの圧縮と非圧縮の違い

多くのサブスクサービスは、データ通信量を抑えるために音声を圧縮して配信しています。ロスレス配信に対応するサービスも増えていますが、実際にロスレスで聴いている人はまだ少数です。

項目 レコード サブスク(標準) サブスク(ロスレス)
音声形式 アナログ連続波形 圧縮デジタル(AAC等) 非圧縮 / ロスレス
情報量 溝に刻まれた全情報 圧縮により一部欠落 CD相当以上
音の印象 温かく厚みがある クリアだがやや平面的 クリアで高解像度
再生環境の影響 機器で大きく変わる デバイス依存は小さい DAC等で変わる

ただし、音質の感じ方は個人差が大きく、「レコードの方が良い」と断言できるものではありません。大切なのは、自分が心地よいと感じる音で聴くことです。

なぜサブスクに「戻れない」と感じるのか

レコードにハマった人がサブスクに戻れないと感じる背景には、音質だけでなくさまざまな要因があります。

所有する喜びと愛着

サブスクの音楽は「アクセス権」です。月額料金を払っている間は聴けますが、サービスが終了したり、楽曲がカタログから消えたりすれば聴けなくなります。

レコードは物理的に自分のものです。ジャケットアートを眺め、ライナーノーツを読み、棚に並べる -- その一枚一枚に思い出や愛着が積み重なっていきます。初めてのレコードを買ったときの記憶は、サブスクのライブラリに曲を追加した記憶よりもずっと鮮明に残るものです。

アルバム単位で聴く楽しさの再発見

サブスクの時代、音楽の聴き方は「曲単位」が主流になりました。プレイリスト文化の中で、アルバムを最初から最後まで通して聴く機会は減っています。

レコードは構造上、A面とB面に分かれており、アルバムを通して聴くことが前提のメディアです。アーティストが意図した曲順、A面からB面への「間」、ラストの余韻 -- アルバムという作品の流れを丸ごと味わう体験は、レコードだからこそ自然に生まれます。

「不便さ」が生む豊かさ

スキップできない、シャッフルできない、外に持ち出せない -- レコードにはサブスクにはない「不便さ」があります。しかし、この不便さこそがレコード体験の核心です。

スキップできないから、普段なら飛ばしていた曲の魅力に気づく。シャッフルできないから、アルバムの構成美を味わえる。外に持ち出せないから、自宅で音楽に集中する時間が生まれる。不便さが、音楽との向き合い方を深くしてくれるのです。

機器を選ぶ楽しさ

サブスクはスマートフォンとイヤホンがあれば聴けます。一方、レコードはレコードプレーヤー、カートリッジ、フォノイコライザー、アンプ、スピーカーと、複数の機器が必要です。

一見するとハードルが高く感じますが、この機器を選ぶプロセス自体が楽しみになります。カートリッジを変えれば音が変わり、スピーカーを変えればさらに表情が変わる。自分好みの音を追求する「沼」にハマるのも、レコード体験の醍醐味です。

レコードとサブスクは共存できる

ここまでレコードの魅力を語ってきましたが、「サブスクをやめるべき」と言いたいわけではありません。むしろ、レコードとサブスクは相性の良い組み合わせです。

サブスクで出会い、レコードで深める

サブスクの最大の強みは「発見」です。アルゴリズムのおすすめやプレイリストで新しいアーティストに出会い、気に入ったアルバムをレコードで手に入れる -- この流れは、多くのレコードファンが実践しているスタイルです。

使い分けのヒント

  • 通勤・移動中: サブスクで気軽に音楽を楽しむ
  • 自宅でじっくり聴くとき: レコードでアルバムを通して味わう
  • 新しい音楽の探索: サブスクで幅広くチェック
  • お気に入りの作品: レコードで所有し、繰り返し聴く

このようにシーンに応じた使い分けができれば、音楽生活はさらに豊かになります。

レコードを始めてみたい方へ

サブスクしか知らなかった方がレコードに興味を持ったら、以下のステップで始めてみてください。

最初の一歩

  1. 好きなアルバムを1枚選ぶ -- サブスクで何度も繰り返し聴いているアルバムがあれば、それが最初の1枚に最適です。初心者は何を買えばいい?も参考にしてみてください
  2. 再生環境を整える -- レコードプレーヤーの選び方を参考に、入門機から始めましょう。最近は1万円台から手に入るプレーヤーもあります
  3. レコードショップに足を運ぶ -- レコードの購入先で紹介しているお店を訪れてみましょう。実際に盤を手に取る体験がレコードの第一歩です
  4. 針を落として聴いてみる -- レコードの聴き方を参考に、最初の一枚を再生してみましょう

サブスクで聴き慣れた曲をレコードで聴いてみる

最初のおすすめは、サブスクで何度も聴いた曲をレコードで聴き直すことです。聴き慣れた曲だからこそ、レコードとの音の違いがはっきりとわかります。「あ、こんな音が入っていたんだ」「この曲、こんなに奥行きがあったんだ」 -- そんな発見があるかもしれません。

まとめ

  • レコードを聴き始めるとサブスクに戻れないと感じるのは、音質だけでなく「音楽との向き合い方」が根本的に変わるからです
  • 針を落とす儀式、A面B面の構成、スキップできない不便さが、音楽への集中力と愛着を深めてくれます
  • レコードの音のアナログ的な温かさや厚みは、ストリーミングでは再現しにくい独自の魅力です
  • レコードとサブスクは対立するものではなく、サブスクで出会いレコードで深めるという共存が理想的です
  • 最初の一歩は、サブスクで聴き慣れたお気に入りのアルバムをレコードで手に入れることから始めてみましょう

用語集では、本記事で登場した専門用語の詳しい解説もご覧いただけます。


Digital & Analog in Harmony.

テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。