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レコードショップでの掘り方のコツ|ディグの基本テクニック

レコードショップでの掘り方のコツは、事前リサーチ・店内での効率的な動き方・盤の見極めの3つに集約されます。この記事では、レコード屋でのディグ(掘る行為)を楽しみながら、掘り出し物を見つけるための実践的なテクニックを初心者にもわかりやすく解説します。

そもそも「ディグ」とは?レコードを掘る楽しさ

「ディグ(dig)」とは英語で「掘る」を意味する言葉で、レコードショップの棚を1枚1枚めくりながらお目当ての盤や思わぬ掘り出し物を探す行為を指します。ヒップホップのDJ文化から広まった言葉ですが、現在ではジャンルを問わずレコード好き全般に使われています。

ディグの醍醐味は、まだ知らない音楽との偶然の出会いにあります。ストリーミングのアルゴリズムでは出会えない1枚を、自分の直感と知識で見つけ出す――その体験こそが、レコードショップに足を運ぶ最大の理由です。

ディグ前の準備|事前リサーチで効率を上げる

レコードショップに向かう前の準備が、ディグの質を大きく左右します。何も考えずにふらっと立ち寄るのも楽しいですが、少しの下調べで掘り出し物に出会える確率がぐっと上がります。

ウォントリストを作っておく

欲しいレコードのリストを事前に作っておきましょう。スマートフォンのメモアプリやDiscogsのウォントリスト機能を使うと便利です。

  • アーティスト名とアルバムタイトルを正確にメモする
  • レーベル名やカタログ番号まで控えておくと、素早く見つけられる
  • 優先度をつけておく — 「絶対に欲しい」「あれば買う」「安ければ検討」の3段階がおすすめ
  • リストは20〜30枚程度に絞ると現実的な範囲で探しやすい

行きたい店の特徴を調べる

レコードショップにはそれぞれ得意なジャンルやスタイルがあります。事前にSNSやウェブサイトで情報を集めておきましょう。

  • ジャンルの得意分野: ジャズ専門店にロックを探しに行っても成果は薄い
  • 入荷情報: SNSで新入荷をチェックしている店は多い。入荷直後が狙い目
  • セール情報: 周年セールや年末セールなど、割引のタイミングを狙う
  • 営業時間と定休日: 遠方の店舗は事前確認が必須

レコードをどこで買うかによって出会える盤はまったく変わってきます。複数の店舗を巡る計画を立てるのも有効です。

相場感を身につけておく

探しているレコードの中古市場での相場を事前に調べておくことで、お得な1枚を瞬時に判断できるようになります。Discogsの販売履歴は相場確認の定番ツールです。

店内での掘り方|効率的なディグの手順

実際にレコードショップに入ったら、闇雲に棚を見るのではなく、戦略を持って動くことが大切です。

ステップ1:まず店内全体を把握する

入店したら、いきなり棚に飛びつかず、まず店全体のレイアウトを確認しましょう。

  • ジャンルごとの棚の配置を頭に入れる
  • 新入荷コーナーや特設コーナーの場所を確認する
  • セールワゴンやバーゲンコーナーの有無をチェックする
  • 壁にディスプレイされている推薦盤にも目を通す

ステップ2:新入荷コーナーから攻める

多くのレコードショップには「新入荷」「New Arrival」と表示されたコーナーがあります。ここには直近で買い取られた盤や新しく仕入れた盤が並んでいるため、掘り出し物が見つかる可能性が最も高いエリアです。

  • 新入荷コーナーは来店のたびに必ずチェックする
  • 回転の早い店では週に1〜2回は入荷がある
  • 人気の盤はすぐに売れるため、入荷情報を見たらなるべく早く訪問する

ステップ3:目当てのジャンル棚を丁寧にめくる

新入荷コーナーの次は、自分の探しているジャンルの棚に向かいます。

  • 1枚ずつ丁寧にめくる — 飛ばし読みをすると見逃す
  • ジャケットのデザインにも注目する — 知らないアーティストでもジャケットに惹かれたら手に取ってみる
  • レーベルで選ぶ — Blue Note、Prestige、Stax、ECMなど、好みのレーベルを覚えておくと知らない作品でも品質の目安になる
  • 「コンピレーション」や「V.A.(Various Artists)」のセクションも意外な発見がある

ステップ4:セール・バーゲンコーナーを見逃さない

1枚100〜500円程度のバーゲンコーナーは、宝の山になることがあります。

  • 有名アーティストの不人気アルバムが紛れていることがある
  • ジャケットの状態が悪くても盤面は良好な場合がある
  • 知らないアーティストを「ジャケ買い」で冒険するにはぴったりの価格帯
  • まとめ買いでさらに割引になる店もある

盤の状態を素早くチェックするコツ

気になる1枚を見つけたら、購入前に盤の状態をその場で確認しましょう。慣れれば1枚あたり30秒ほどでチェックできるようになります。

盤面の確認ポイント

  • 照明にかざして傷を確認する — 店内の蛍光灯を利用して盤面を光に当てる
  • 深い傷や放射状の傷は避ける — 円周方向の細いヘアラインスクラッチは影響が少ないが、放射状の傷は針飛びの原因になる
  • 盤面の汚れ — 指紋やホコリはクリーニングで対応できるが、カビや固着した汚れは要注意
  • 盤の反り — 横から見て波打っていないか確認する

盤を手に取るときは、正しい持ち方を心がけましょう。盤面に指紋をつけないよう、レーベル面とエッジ(縁)だけに触れるのが基本です。

ジャケットの確認ポイント

  • リングウェアの有無 — ジャケットに盤の丸い跡がついていないか
  • シームスプリット — ジャケットの接合部が開いていないか
  • 付属品の確認、ライナーノーツ、インナースリーブが揃っているか

スタッフとのコミュニケーションを活かす

レコードショップのスタッフは音楽に詳しい方がほとんどです。積極的にコミュニケーションを取ることで、ディグの幅が大きく広がります。

  • 「このアーティストが好きなんですが、似た雰囲気のレコードはありますか?」と聞いてみる
  • 探しているレコードが棚にないときは在庫確認を頼むと、バックヤードから出てくることもある
  • 常連になる — 通い続けることで入荷情報を優先的に教えてもらえることもある
  • 試聴をお願いする — 試聴可能な店では、迷った盤を聴かせてもらうのが最も確実な判断方法

初心者が陥りやすいディグの失敗と対策

よくある失敗パターン

失敗パターン 原因 対策
予算オーバーで買いすぎる 目の前の盤に興奮して冷静さを失う 1回の訪問で使う上限金額を決めておく
状態の悪い盤を掴んでしまう チェックを怠る・照明が暗い場所で判断する 必ず明るい場所で盤面を確認する習慣をつける
同じ盤を二重に買ってしまう コレクションの管理ができていない Discogsやスプレッドシートで所有盤を管理する
知らない盤を避けてしまう 安全志向で冒険しない 毎回1枚は「知らないアーティスト」を買うルールを作る

予算の目安

ディグに慣れるまでは、1回の訪問予算を3,000〜5,000円程度に設定するのがおすすめです。初めてのレコード選びでもご紹介していますが、リイシュー盤や手頃な中古盤であれば、この予算内で2〜3枚は購入できます。

ディグがもっと楽しくなる上級テクニック

基本をマスターしたら、以下のテクニックでさらにディグの精度と楽しさを高めましょう。

レーベル買いを覚える

音楽レーベルには、それぞれ独自のカラーやサウンドの傾向があります。気に入ったレコードのレーベルを覚えておくと、同じレーベルの他の作品にも良い出会いがあります。

  • ジャズなら: Blue Note、Prestige、Riverside、Impulse!、ECM
  • ソウル・ファンクなら: Motown、Stax、Philadelphia International
  • ロックなら: Island、Virgin、4AD、Creation
  • 日本のレーベル: キングレコード、ビクター、CBS/Sony

クレジットを読む

レコードのクレジット(参加ミュージシャンやプロデューサーの情報)を読む習慣をつけましょう。気に入ったレコードに参加しているミュージシャンのソロ作品や、同じプロデューサーが手がけた別のアルバムに芋づる式で出会えます。

定期的に巡回するルートを作る

お気に入りの店舗を3〜5軒ほど決めて、定期的に巡回するルートを作りましょう。月に2〜3回のペースで同じ店を訪れることで、新入荷のタイミングを掴みやすくなります。

まとめ

  • 事前にウォントリストと店舗情報を準備することで、限られた時間でも効率的にディグできます
  • 新入荷コーナーを最優先でチェックし、その後に目当てのジャンル棚とセールコーナーを回るのが基本動線です
  • 盤面の状態確認は必ず照明の下で行い、傷・汚れ・反りを30秒でチェックする習慣をつけましょう
  • スタッフとの会話やレーベル買いが、知らない音楽との出会いの幅を広げてくれます
  • 予算を決めて無理なく楽しむことが、ディグを長く続けるための一番のコツです

ディグは回数を重ねるほどに目利きの力が上がり、楽しさも深まっていきます。用語集で専門用語を覚えながら、あなただけの1枚を掘り当てる喜びをぜひ味わってください。


Digital & Analog in Harmony.

テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。