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ターンテーブルの水平が取れていないとどうなる?影響と調整方法

ターンテーブルの水平を取らないと、針圧バランスが偏り、音質の劣化やレコード盤・針の偏摩耗といった深刻なトラブルを招きます。

レコードプレーヤーを手に入れて、好きな場所にポンと置いてすぐ再生――実はこの「なんとなく設置」が、せっかくの音質を損なう大きな原因になっていることがあります。ターンテーブルは精密な機器であり、水平がわずかでも傾いていると、レコードの溝をなぞるスタイラスにかかる力のバランスが崩れてしまいます。本記事では、水平が取れていない状態で再生を続けるとどんな問題が起きるのか、そして正しく水平を出すための具体的な方法をわかりやすくご紹介します。

水平でない状態がレコード再生に与える影響

ターンテーブルが傾いていると、トーンアームの自重やカウンターウェイトによる針圧のかかり方が左右で均等ではなくなります。本来は溝の左右の壁に等しく接触すべき針先が、片側に偏った力で押しつけられることになり、さまざまな問題が連鎖的に発生します。

針圧バランスの崩れと偏摩耗

水平が取れていない場合、トーンアームは重力の影響で低い側へ引っ張られます。これにより片側のチャンネルに過剰な針圧がかかり、もう片側は針圧不足の状態になります。

  • スタイラスの偏摩耗: 片側だけ強く溝に押しつけられるため、針先が左右非対称にすり減っていきます。針の寿命が大幅に短くなるだけでなく、いびつに摩耗した針先がさらに溝を傷つける悪循環に陥ります。摩耗の確認方法についてはレコード針の摩耗チェックで詳しく解説しています
  • レコード盤の溝の片減り: 針先と同様に、溝の壁も片側だけが削られていきます。大切なレコードに取り返しのつかないダメージを与えてしまうおそれがあります

音質への悪影響

針圧バランスが崩れた状態での再生は、音質面にもはっきりと悪影響を及ぼします。

  • 左右の音量差(チャンネルバランスの乱れ): ステレオレコードでは溝の左右の壁がそれぞれ左チャンネル・右チャンネルの信号を担っています。片側に針圧が偏ると、左右の音量や音質に差が出て、正しいステレオイメージが得られません
  • 歪みの増加: 針圧が過剰にかかっている側では音が潰れたように歪み、不足している側ではトレース能力が低下して高音域にシャリつきや割れが生じます
  • 低域のぼやけ: 溝との接触が不安定になることで、ベースラインやキックドラムの輪郭が曖昧になり、全体として締まりのない音になります

針飛び(スキップ)のリスク

傾きがひどい場合、針先が溝を正しくトレースできずに針飛びを起こすことがあります。針圧が不足している側で針が溝から浮き上がり、別の溝に飛び移ってしまうのです。針飛びはレコードの溝を物理的に傷つける原因にもなり、繰り返されるとレコードの傷と音への影響で解説しているような修復困難なダメージにつながります。

ターンテーブルの水平を正しく出す方法

水平出しは特別な工具や技術がなくても、手順さえ知っていれば誰でもかんたんに行えます。設置時だけでなく、定期的に確認する習慣をつけるのがおすすめです。

水準器(水平器)を使った確認手順

もっとも確実な方法は、小型の気泡式水準器(バブルレベル)を使うことです。ホームセンターや100円ショップでも手に入る手頃な道具です。

  1. ターンテーブルのプラッターの上に水準器を置きます。プラッターの中心付近に載せると正確に測定できます
  2. 気泡が中央の円内に収まっているかを確認します
  3. 気泡がずれている場合は、ターンテーブル本体の高さを調整します
  4. 調整後にもう一度水準器で確認し、気泡が中央に来ていれば完了です

スマートフォンの水準器アプリでも代用できますが、精度の面では気泡式の水準器のほうが安定した結果が得られます。

調整方法のポイント

  • 調整脚(インシュレーター)の活用: 多くのレコードプレーヤーには、底面にネジ式の調整脚が付いています。回して高さを変えることで傾きを微調整できます
  • 設置面の見直し: ぐらつきのある棚やたわみやすいラックの上にプレーヤーを置いていませんか。設置する台そのものが水平でなければ、いくらプレーヤーを調整しても意味がありません。頑丈で安定した台を選びましょう
  • 薄板やシムによる微調整: 調整脚がないモデルの場合は、厚紙や薄いゴムシートをプレーヤーの脚の下に挟んで高さを合わせる方法もあります

正しく設置したプレーヤーで聴くと、音の定位やクリアさが明らかに変わることに気づくはずです。プレーヤーの選び方や基本的なセットアップについてはレコードプレーヤーの選び方もあわせてご覧ください。

まとめ

  • ターンテーブルの水平が取れていないと、針圧バランスが崩れて音質の劣化・針とレコード盤の偏摩耗・針飛びなど深刻なトラブルの原因になります
  • 気泡式の水準器をプラッターに載せるだけで、水平の確認はかんたんに行えます。設置時だけでなく定期的にチェックしましょう
  • 調整脚やインシュレーターを使って傾きを微調整し、設置する台そのものの安定性にも気を配ることが大切です
  • 正しい水平出しは、特別な費用をかけずにできるもっとも基本的かつ効果的な音質改善策です。大切なレコードと針を守るためにも、ぜひ一度確認してみてください

用語集では、本記事で登場した専門用語の詳しい解説もご覧いただけます。


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