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レコードの回し方の正解|初心者でも失敗しない再生手順

レコードの回し方の正解は、正しい回転数を選び、ターンテーブルの操作手順を守り、針を丁寧に落とすことです。この記事では、初めてレコードを再生する方でも迷わない具体的な手順を解説します。

レコードの回転数(RPM)を正しく選ぶ方法

レコードを再生するうえで最初に確認すべきなのが、盤に合った回転数(RPM: Revolutions Per Minute)の設定です。回転数を間違えると、音程やテンポが本来のものとまったく違ってしまいます。レコードの種類ごとに規格が決まっているため、再生前に必ず確認しましょう。

33 ⅓・45・78回転の違いと見分け方

レコードの回転数には主に3種類があります。盤のサイズやレーベル面の表記から判断できます。

項目 33 ⅓ RPM(LP) 45 RPM(EP/シングル) 78 RPM(SP)
盤のサイズ 12インチ(30cm) 7インチ(17cm) 10インチ(25cm)
収録時間(片面) 約20〜25分 約5〜8分 約3〜5分
主な用途 アルバム シングル・EP 戦前〜1960年代の録音
溝の細かさ マイクログルーヴ マイクログルーヴ 粗い溝
再生針 通常のスタイラス 通常のスタイラス 専用の太い針が必要
現在の流通量 非常に多い 多い 少ない(コレクター向け)

現行のレコードのほとんどは33 ⅓回転のLPか45回転のシングル盤です。盤のレーベル面(中央の紙ラベル)に回転数が記載されていることが多いので、再生前に確認する癖をつけましょう。78回転のSP盤は素材や溝の幅が異なるため、通常のカートリッジでは再生できません。専用針についての詳細はスタイラスの選び方ガイドをご参照ください。

ターンテーブルの正しい操作手順

回転数を確認したら、いよいよ再生です。ここでは、ターンテーブルの電源を入れてから音が鳴るまでの一連の流れを順を追って説明します。

再生前の準備

  1. ターンテーブルが水平に設置されているか確認する — 傾いていると針が正しくトレースできず、音質の低下や盤の損傷につながります
  2. レコード盤の表面をクリーニングする — 専用のクリーニングブラシやクロスでホコリを除去します。日頃のお手入れについてはレコードのお手入れガイドが参考になります
  3. ターンテーブルのプラッターにレコードを載せる — レーベル面を持ち、盤面の溝には指を触れないように注意します
  4. 回転数を盤に合わせて切り替える — ターンテーブル本体のスイッチまたはベルトの掛け替えで設定します

再生の手順

  1. プラッターの回転を開始する — 回転が安定するまで数秒待ちます
  2. トーンアームのロックを解除する — アームレストのクランプを外します
  3. キューイングレバーを上げる — レバーを上げた状態でトーンアームをレコードの導入溝(リードイン)の上まで移動させます
  4. キューイングレバーをゆっくり下ろす — 針がレコードに静かに着地し、音楽が始まります

この「キューイングレバーを使った針の上げ下ろし」が、レコード再生で最も大切な操作です。レバーを使うことで針の落下速度が一定に保たれ、盤面への衝撃を最小限に抑えられます。

針の落とし方とアンチスケーティングの調整

針を落とす技術は、レコードとスタイラスの両方を長持ちさせるために欠かせないポイントです。

キューイングレバーを使った正しい針の落とし方

慣れてくると手動で直接トーンアームを持って針を落としたくなるかもしれません。しかし、手動での操作は手の震えや力加減のブレによって針先や溝を傷めるリスクがあります。特に初心者の方は、必ずキューイングレバーを活用してください。

レコードの途中から再生したい場合は、曲間の無音部分(溝の間隔が広い箇所)を目視で確認し、その上にトーンアームを移動させてからレバーを下ろします。

アンチスケーティングの役割と設定方法

ターンテーブルのトーンアームには「アンチスケーティング」という調整機構が備わっています。レコードが回転すると、針は盤の中心方向へ引き寄せられる力(スケーティングフォース)を受けます。アンチスケーティングは、この力を打ち消すために逆方向の力をかける仕組みです。

設定値は一般的に針圧と同じ数値に合わせるのが基本です。たとえば針圧が2.0gであれば、アンチスケーティングも2.0に設定します。適切に調整されていないと左右の音のバランスが崩れたり、片側の溝だけが過度に摩耗したりします。詳しい針圧の設定についてはスタイラスの選び方ガイドで解説しています。

レコード再生でやってはいけないNG行為

レコードはデリケートなメディアです。何気ない行為が盤や針を取り返しのつかない状態にしてしまうことがあります。以下のNG行為は必ず避けてください。

溝を素手で触る

レコードの溝に指の皮脂や汗が付着すると、ノイズの原因になるだけでなく、カビの発生を招くこともあります。レコードを持つときは必ず盤の端(エッジ)とレーベル面だけを持つようにしましょう。

間違った回転数で再生する

33 ⅓回転のLPを45回転で再生すると音が高く速くなり、逆に45回転の盤を33 ⅓で再生すると低く遅くなります。音楽として楽しめないだけでなく、針と溝の接触状態が設計と異なるため、余計な摩耗を生むことがあります。

トーンアームを無理に動かす

再生中にトーンアームを手で強引に持ち上げたり、移動させたりするのは厳禁です。針先が溝をまたいで横滑りし、深いキズの原因になります。曲をスキップしたいときも、必ずキューイングレバーで針を持ち上げてからアームを移動させてください。

再生後に針を盤の上に放置する

再生が終わったら速やかにキューイングレバーで針を上げ、トーンアームをアームレストに戻しましょう。針を盤の上に放置したままにすると、振動や衝撃で針先が溝を傷つけるリスクがあります。

レコード再生の音質をさらに高めるコツ

基本操作をマスターしたら、次は音質の向上に目を向けてみましょう。フォノイコライザーの導入は、レコード再生の音質を大きく改善する第一歩です。レコードの信号はそのままでは非常に小さく、RIAA補正と呼ばれる周波数特性の補正が必要になります。フォノイコライザーはこの補正を行い、レコード本来の豊かな音を引き出してくれる機器です。

また、レコードならではの温かみや空気感がなぜ生まれるのか気になった方は、なぜレコードの音は違って聴こえるのかというコラムもぜひ読んでみてください。デジタル音源とアナログ音源の違いを知ると、レコードを聴く時間がもっと豊かになるはずです。

まとめ

  • レコードの回し方の正解は、盤に合った回転数(33 ⅓・45・78 RPM)を確認し、正しい手順でターンテーブルを操作することである
  • 針の上げ下ろしには必ずキューイングレバーを使い、盤と針の両方を守る
  • アンチスケーティングは針圧と同じ値に設定するのが基本であり、左右の音バランスと溝の摩耗防止に直結する
  • 溝を素手で触る、間違った回転数で再生する、トーンアームを無理に動かすといったNG行為はレコードの寿命を縮める
  • 基本操作に慣れたら、フォノイコライザーの導入やクリーニングの徹底で音質をさらに高めていこう

用語集では、本記事で登場した専門用語の詳しい解説もご覧いただけます。


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