レコードの保管は立てるが正解?横にすると危険な理由と正しい収納術¶
レコードの保管は立てるのが正解で、横に重ねるのは厳禁です。横置きは盤の反りや溝の損傷を引き起こし、大切なコレクションを台無しにしてしまいます。この記事では、なぜ縦置きが正しいのか、具体的にどう保管すればよいのかを詳しくご紹介します。
なぜレコードは立てて保管するべきなのか¶
レコードの素材である塩化ビニール(PVC)は、熱や圧力によって変形しやすい性質を持っています。レコードを横に積み重ねると、下の盤には上に載っているすべての盤の重量がかかり続けます。LP1枚の重さは一般的に120〜180gですが、10枚重ねれば1.2〜1.8kg、50枚なら6〜9kgもの荷重が最下部の盤にかかる計算です。
この持続的な圧力が、盤面のグルーヴ(溝)を押しつぶし、音質劣化や反りの直接的な原因になります。一方、立てて保管すれば盤面にかかる力は最小限に抑えられ、長期間にわたって良好なコンディションを維持できるのです。
横置き(水平積み重ね)が引き起こすトラブル¶
「場所がないから」「一時的だから」という理由でレコードを横に重ねてしまう方は少なくありません。しかし、横置き保管は想像以上に深刻なダメージを与えます。
- 盤の反り: 継続的な荷重により盤が波打つように変形し、再生時に針飛びや音揺れが発生します
- グルーヴの圧迫: 溝が物理的に押しつぶされ、本来の音の情報が失われます。一度つぶれた溝は元には戻りません
- リングウェア: 盤の重さでジャケットに丸い跡がつく現象です。特にコレクターズアイテムの場合、価値を大きく下げてしまいます
- 取り出しにくさ: 下の方にある盤を抜き出すとき、他の盤やジャケットを傷つけるリスクがあります
たとえ数枚の積み重ねでも、夏場の高温下では変形が加速します。「少しだけなら大丈夫」という油断が、取り返しのつかない結果を招くことがあるのです。
縦置きと横置きの比較¶
レコードの保管方法による違いを表にまとめました。
| 比較項目 | 縦置き(立てる) | 横置き(積み重ね) |
|---|---|---|
| 盤への荷重 | 最小限 | 枚数に比例して増加 |
| 反りのリスク | 低い | 非常に高い |
| 溝(グルーヴ)への影響 | ほぼなし | 圧迫による損傷の危険 |
| ジャケットへの影響 | 良好に保たれる | リングウェアが発生しやすい |
| 取り出しやすさ | 1枚ずつ容易に取り出せる | 下の盤ほど取り出しにくい |
| 省スペース性 | やや場所を取る | 一見コンパクトだが実用的でない |
| 長期保管の安全性 | 高い | 低い |
このように、横置きにメリットと呼べるものはほぼありません。レコードを大切にするなら、迷わず縦置き保管を選びましょう。
正しい縦置き保管のコツと注意点¶
縦置きが正しいとはいえ、やり方を間違えるとかえって盤にダメージを与えてしまいます。以下のポイントを押さえておきましょう。
きつく詰めすぎない¶
棚にレコードをぎっしり詰め込むと、盤同士が圧迫し合い、ジャケットやスリーブに摩擦が生じます。取り出す際にも無理な力がかかり、盤面やジャケットを傷つける原因になります。目安として、棚にレコードを入れた状態で1枚をスムーズに抜き差しできる程度の余裕を持たせてください。
斜めに傾けない¶
レコードが斜めに寄りかかった状態で長期間保管すると、盤自体の重みで反りが生じます。必ずまっすぐ垂直に立てた状態を維持しましょう。枚数が少ないときはブックエンドや仕切り板を使って、盤が傾かないようにすることが大切です。
棚板の平坦さを確認する¶
棚板がたわんでいると、レコードも一緒にたわんでしまいます。レコードは見た目以上に重量がありますので、十分な強度のある棚を選びましょう。
レコードに適した保管環境の整え方¶
正しく縦置きにしていても、保管環境が悪ければ盤のコンディションは悪化します。日常のお手入れとあわせて、環境面にも気を配りましょう。
温度と湿度¶
- 適正温度: 18〜22度が理想です。30度を超える環境では塩化ビニールが軟化し始め、反りの危険が高まります
- 適正湿度: 40〜60%を目安に管理します。湿度が高すぎるとカビが発生し、低すぎると静電気が起きやすくなります
- エアコンの風が直接当たらない場所に置くことも重要です。急激な温度変化は結露の原因になります
直射日光を避ける¶
紫外線はレコードの素材を劣化させるだけでなく、ジャケットのアートワークを退色させます。窓際を避け、カーテンやブラインドで遮光できる部屋での保管が望ましいです。
暖房器具からの距離¶
冬場のヒーターやストーブの近くは、局所的に高温になりやすい危険ゾーンです。熱源からは最低でも1メートル以上離して保管してください。
おすすめの収納グッズとアクセサリー¶
適切なグッズを活用すれば、レコードの保管がより安全で快適になります。
レコード専用ラック・シェルフ¶
レコードの保管にはLP規格(約31.5cm四方)に合わせて設計された専用ラックが最適です。IKEAのKALLAXシリーズのようなユニットシェルフも、1マスあたり約50〜70枚のLPを収納でき、手軽な選択肢として人気があります。
仕切り板(ディバイダー)¶
ジャンルやアーティスト名でレコードを分類するためのディバイダーは、整理整頓だけでなく、盤が傾くのを防ぐ役割も果たします。インデックスタブ付きのものを使えば、目当ての1枚をすばやく見つけられます。
外袋(アウタースリーブ)¶
透明なポリプロピレン製の外袋は、ジャケットをスレや汚れから守ります。保管時にはすべてのレコードに外袋を装着することをおすすめします。中古レコードを入手した際にも、まず外袋をかけてあげましょう。
インナースリーブの見直し¶
古い紙製スリーブは紙粉が出やすく、静電気も起きやすいため、ポリエチレン製のインナースリーブへの交換がおすすめです。盤面への直接的な保護力が格段に向上します。針(スタイラス)への負担を減らすことにもつながります。
レコード保管についてよくある疑問¶
一時的な横置きも避けるべき?¶
数時間程度であれば大きな影響はありませんが、「一時的」のつもりがそのまま放置してしまうケースがよくあります。最初から縦置きを習慣にしておくのが安心です。
反ってしまったレコードは直せる?¶
軽度の反りであれば、ガラス板で挟んで重しを載せ、低温で長期間矯正する方法があります。ただし、完全に元に戻る保証はなく、溝を傷めるリスクもあるため、反りを予防することが何より大切です。
レコードが増えすぎて棚に入りきらない場合は?¶
無理に詰め込むのは禁物です。棚を追加するか、専用の収納ボックスを活用しましょう。段ボール箱での保管は湿気がこもりやすいため、定期的に状態を確認する必要があります。レコードがなぜ再び人気を集めているのかを考えると、コレクションが増えていくのは自然なこと。保管スペースの計画は早めに立てておきましょう。
まとめ¶
- レコードは必ず立てて(縦置きで)保管するのが鉄則です。横に重ねると盤の反り、溝の損傷、リングウェアの原因になります
- 縦置きの際はきつく詰めすぎず、斜めに傾けないことが大切です。仕切り板やブックエンドを活用しましょう
- 温度18〜22度、湿度40〜60%の環境を維持し、直射日光と熱源からは十分に距離を取りましょう
- 外袋・インナースリーブ・専用ラックなどの収納グッズを活用して、盤とジャケットの両方を守りましょう
- 正しい保管を続ければ、レコードは何十年先でも素晴らしい音を届けてくれます。大切な1枚1枚を、愛情を込めて守っていきましょう
用語集では、本記事で登場した専門用語の詳しい解説もご覧いただけます。
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