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トーキング・ヘッズ『Remain in Light』レビュー

『Remain in Light』は、トーキング・ヘッズが1980年にリリースした革新的な第4作アルバムです。アフロビートとポストパンクを融合させた本作は、音楽史に残る傑作として今なお高く評価されています。

アルバムの概要

ブライアン・イーノとの共同プロデュースにより制作された本作は、トーキング・ヘッズのキャリアにおいて最も実験的かつ成功した作品です。フェラ・クティのアフロビートに影響を受けたポリリズムと、ファンクの要素を取り入れたサウンドは、ニューウェーブというジャンルの可能性を大きく広げました。

デヴィッド・バーンの独特なボーカルスタイルと、ティナ・ウェイマス、クリス・フランツ、ジェリー・ハリソンによる緻密なアンサンブルが生み出すグルーヴは、40年以上経った今でも新鮮に響きます。プロデューサーとしてのブライアン・イーノの貢献も大きく、彼の実験的なアプローチが作品全体に深みを与えています。

収録曲の聴きどころ

Born Under Punches (The Heat Goes On)

アルバムのオープニングを飾るこの曲は、複雑なリズムパターンと反復的なギターリフが特徴です。アフリカ音楽のポリリズムを取り入れたドラムワークと、シンセサイザーの層が重なり合い、催眠的なグルーヴを生み出しています。

Once in a Lifetime

本作の代表曲であり、トーキング・ヘッズの最も有名な楽曲の一つです。「same as it ever was」というフレーズの繰り返しが印象的で、ゴスペル風のコーラスとファンクビートの融合が見事です。ミュージックビデオも革新的で、MTV時代の象徴的作品となりました。

Crosseyed and Painless

ファンクとアフロビートが最も濃密に融合した楽曲です。ベースラインの複雑なグルーヴと、重層的なパーカッションが生み出すダンサブルなリズムは圧巻です。レコードで聴くと、その低音の迫力が特に際立ちます。

The Great Curve

ティナ・ウェイマスの強烈なベースラインが曲を牽引する、アルバムの中でも特にダイナミックな一曲です。ナイル・ロジャースの影響を感じさせるファンクギターと、複数のパーカッショニストによる多層的なリズムが特徴的です。

Listening Wind

アルバムの中では比較的静かな楽曲ですが、緊張感のある雰囲気と政治的なメッセージ性が印象的です。アンビエント的なサウンドスケープと、物語性のある歌詞が融合した実験的な作品です。

オリジナル盤の特徴と見分け方

本作のオリジナル盤は、アメリカのSire Recordsから1980年にリリースされました。カタログナンバーはSRK 6095です。オリジナル盤の見分け方としては、以下の点に注目してください。

ジャケットは、MITのグラフィックデザイナーであるTibor Kalmanによるデザインで、アフリカ的なモチーフを現代的に解釈した赤を基調とした複雑なコラージュが特徴です。初回プレス盤は重量のあるカードボードスリーブで、印刷の質が高く、色彩が鮮やかです。

レーベルはSire Recordsの茶色と白のデザインで、「Manufactured by Warner Bros. Records Inc.」の記載があります。マトリックス番号は手書きで刻印されており、盤質の良い初期プレスを見つけることがレコード収集の醍醐味です。

ヨーロッパ盤やイギリス盤も存在しますが、アメリカのオリジナル盤が最も音質が良いとされています。中古市場でも比較的入手しやすい作品ですが、状態の良いものは価格が高騰する傾向にあります。

レコードで聴く魅力

『Remain in Light』は、アナログレコードで聴くことで真価を発揮する作品です。複雑に絡み合う多層的なリズムトラックと、ブライアン・イーノによる繊細なプロデュースワークは、レコードの温かみのあるサウンドで聴くことで、より豊かな質感を楽しめます。

特に低音域の表現力が素晴らしく、ティナ・ウェイマスのベースラインやパーカッションの細かいニュアンスが、デジタルでは得られない臨場感で迫ってきます。針が溝をトレースする瞬間に生まれるアナログ独特の空気感が、アフロビートの有機的なグルーヴと完璧にマッチしています。

ターンテーブルで回しながら、ジャケットのアートワークを眺める体験も格別です。アフリカの部族的なイメージと現代的なデザインが融合したビジュアルは、音楽の内容を視覚的に補完してくれます。

まとめ

トーキング・ヘッズの『Remain in Light』は、1980年代のポストパンク/ニューウェーブシーンにおける最重要作品の一つです。アフロビート、ファンク、アンビエントを融合させた革新的なサウンドは、現代のエレクトロニックミュージックやインディーロックにも多大な影響を与え続けています。

レコードで聴くことで、その複雑なサウンドの構造と有機的なグルーヴをより深く味わうことができます。レコードコレクションに必ず加えたい不朽の名盤です。音楽の可能性を広げたこの傑作を、ぜひアナログで体験してみてください。

デヴィッド・バーンとブライアン・イーノが生み出したこのマスターピースは、何度聴いても新しい発見がある奥深い作品です。トーキング・ヘッズの他の作品に興味を持たれた方は、アーティストページもご覧ください。


Digital & Analog in Harmony.

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