The Smiths『The Queen Is Dead』レビュー - 1986年の最高傑作アルバム¶
ザ・スミスの最高傑作として名高い3rdアルバム『The Queen Is Dead』。モリッシーの鋭い言葉とジョニー・マーの美しいギターが織りなす、80年代UKロック最重要作品です。
アルバムの概要¶
1986年6月16日にRough Tradeからリリースされた本作は、ザ・スミスのキャリアにおいて最も完成度の高いアルバムとして評価されています。プロデューサーにモリッシーとジョニー・マー自身を迎え、バンドの創造性が最大限に発揮された作品です。
イギリス王室への痛烈な批判を込めたタイトル曲から、切ないラブソング、社会風刺まで、多様な楽曲が詰まった全10曲。ジョニー・マーのジャングリーなギターサウンドとモリッシーの独特な歌声が完璧に調和し、インディーロックの金字塔として今も輝き続けています。
収録曲の聴きどころ¶
1. The Queen Is Dead¶
6分23秒に及ぶ壮大なオープニング曲。サイクリングのベル音から始まり、激しいギターリフへと展開する構成は圧巻です。モリッシーが王室制度に対する反抗心を露わにした歌詞は、当時のイギリス社会に大きな波紋を呼びました。
2. Bigmouth Strikes Again¶
アップテンポなギターロックの傑作。ジョニー・マーのアルペジオが美しく響き渡り、バンドの演奏力の高さを実感できる一曲です。モリッシーの「口は災いの元」というテーマを軽快に歌い上げています。
3. There Is a Light That Never Goes Out¶
アルバム最大のハイライト。切なくロマンティックなラブソングでありながら、死への憧憬も感じさせる独特の世界観が魅力です。ストリングスアレンジも秀逸で、レコードで聴くとその豊かな音像に心を奪われます。
4. I Know It's Over¶
モリッシーのボーカルが際立つバラード。孤独と絶望を歌った歌詞は胸に迫り、スミスファンの中でも特に愛される名曲です。静と動のコントラストが美しく、アナログ盤の温かみがこの曲の魅力をさらに引き立てます。
5. Cemetry Gates¶
文学的な歌詞とアコースティックギターが印象的な楽曲。墓地を舞台にした会話形式の歌詞は、モリッシーの詩人としての才能を存分に発揮しています。
オリジナル盤の特徴と見分け方¶
オリジナルUK盤はROUGH 96という品番で、Rough Tradeレーベルからリリースされました。ジャケットはフランスの俳優アラン・ドロンの映画『太陽がいっぱい』のワンシーンを使用した印象的なデザインです。
オリジナル盤を見分けるポイントは以下の通りです。
- レーベル: Rough Tradeのロゴが入ったブルーのラベル
- マトリクス: 盤面の内周に手書きのマトリクス番号が刻印されている
- インナースリーブ: 歌詞が印刷された専用の紙製スリーブが付属
- 重量: しっかりとした厚みのある180g前後のビニール
初期プレスは音質が特に優れており、コレクターの間で高値で取引されています。レコードの買い方ガイドを参考に、信頼できるショップで探すことをおすすめします。
レコードで聴く魅力¶
『The Queen Is Dead』は、アナログレコードで聴いてこそ真価を発揮するアルバムです。CDやデジタル音源では再現できない、温かみのある音質と空気感が魅力です。
特にジョニー・マーのギターの煌めき、アンディ・ルークのベースラインの深み、マイク・ジョイスのドラムのアタック感は、レコードで聴くと格別です。モリッシーの声の繊細なニュアンスも、アナログの方がより生々しく伝わってきます。
針を落とす瞬間の期待感、A面からB面への流れ、そしてジャケットを眺めながら音楽に浸る体験は、音楽を「所有する喜び」を思い出させてくれます。
まとめ¶
『The Queen Is Dead』は、80年代UKロックの最高峰であり、時代を超えて愛され続ける普遍的な名盤です。社会批判、恋愛、孤独、文学性、そして美しいメロディ。すべてが完璧に調和したこのアルバムは、レコードコレクションに欠かせない一枚と言えるでしょう。
オリジナルRough Trade盤は価格が高騰していますが、80年代の再発盤や各国盤も十分に素晴らしい音質です。まずは手に入れやすい盤から始めて、レコードで聴く音楽の魅力を体感してみてください。
ザ・スミスの世界に足を踏み入れたら、もう後戻りはできません。このアルバムは、あなたの音楽人生を変える一枚になるはずです。
Digital & Analog in Harmony.
テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。