ザ・ストゥージズ『ファン・ハウス』レコード評 - プロトパンクの名盤¶
The Stooges の2作目『Fun House』(1970年)は、プロトパンクを代表する傑作として今なお語り継がれています。イギー・ポップの野性的なボーカルと、混沌としたサウンドが刻まれたアナログ盤は、レコードコレクターなら一度は手にしたい必聴の一枚です。
アルバムの概要¶
1970年にエレクトラ・レコード(Elektra Records)からリリースされた『Fun House』は、デビュー作から更に攻撃性を増した革新的なロックアルバムです。プロデューサーのドン・ガルーシ(Don Gallucci)の手腕により、バンドのライブ感をそのままスタジオに封じ込めることに成功しました。
ガレージロックの荒々しさと、フリージャズの即興性を融合させたサウンドは、後のパンクロックやオルタナティブロックに多大な影響を与えています。当時は商業的に成功しなかったものの、現在ではThe Stoogesの最高傑作として評価されています。
収録曲の聴きどころ¶
1. Down on the Street¶
アルバムを幕開けるこの曲は、ヘビーなリフと疾走感あふれるリズムが印象的です。イギーの挑発的なボーカルが、スピーカーから飛び出してくるような迫力があります。
2. Loose¶
7分を超える大作で、バンドの演奏力が存分に発揮されています。グルーヴ感のあるベースラインと、徐々にヒートアップしていく展開は、アナログ盤で聴くと更に臨場感が増します。
3. T.V. Eye¶
シンプルながら強烈なエネルギーを持つこの曲は、パンクロックの原型とも言えます。繰り返されるリフが頭から離れなくなる中毒性の高い一曲です。
4. Dirt¶
アルバム後半を飾る7分の実験的なナンバー。サックスの咆哮が加わり、混沌とした音の渦に引き込まれます。
5. L.A. Blues¶
アルバムを締めくくる9分半の即興演奏。フリージャズの影響が色濃く、ノイズと音楽の境界線を曖昧にする大胆な試みです。
オリジナル盤の特徴と見分け方¶
オリジナル・プレスは品番EKS-74071で、米国Elektra Recordsから1970年に発売されました。ラベルは茶色地に金文字の「バタフライ・ラベル」が使用されています。
マトリクス番号はA面が「EKS-74071-A」、B面が「EKS-74071-B」で始まります。インナースリーブには歌詞が印刷されており、ジャケットは厚手のゲートフォールド仕様です。
オリジナル盤は希少価値が高く、状態の良いものは高額で取引されています。レコード購入ガイドを参考に、信頼できるショップで探すことをおすすめします。
レコードで聴く魅力¶
『Fun House』は、アナログ盤で聴いてこそ真価を発揮するアルバムです。CDやデジタル音源では削ぎ落とされがちな、音の「荒さ」や「歪み」が、このアルバムの本質的な魅力だからです。
レコードの針が溝をトレースする際に生まれる、わずかなノイズや温かみが、バンドの生々しいエネルギーを更に増幅させます。特にイギーの絶叫やロン・アシュトンのフィードバックギターは、アナログならではの音圧で迫ってきます。
ターンテーブルに乗せ、A面からB面へとレコードを裏返す行為自体が、アルバムを「体験」する儀式となります。レコード用語集でアナログの基礎知識を深めながら、じっくりと向き合いたい一枚です。
まとめ¶
The Stooges『Fun House』は、ロックの歴史を塗り替えた革命的なアルバムです。1970年という時代に、これほど攻撃的で実験的な音楽を残したバンドの先見性には、今聴いても驚かされます。
プロトパンクやガレージロックが好きな方はもちろん、「音楽の原初的なエネルギー」を求める全てのリスナーにおすすめできる名盤です。オリジナル盤を手に入れるのは難しいかもしれませんが、リイシュー盤でも十分にその迫力を味わえます。
レコードコレクションに加えるべき必聴の一枚として、強く推薦します。
Digital & Analog in Harmony.
テクノロジーとカルチャーの交差点から、共鳴を生み出す。Harmonic Society は、アナログの温もりとデジタルの可能性を掛け合わせ、音楽と文化の新しい体験を届けています。姉妹サイト Harmonic Society Philosophy では古代から現代までの哲学を、Post Web3 ではWeb3・ブロックチェーンの専門分析を発信しています。