The Who『Who's Next』- 革新的シンセサイザーと完璧なロックアンセム
リード文¶
1971年にリリースされた『Who's Next』は、ザ・フーの代表作であり、ロック史上最も重要なアルバムの一つです。このアルバムは、当時としては革新的なシンセサイザーの使用法を含みながら、同時にバンドの根底にあるロックンロールのパワーと生命力を完璧に表現しています。特に「Baba O'Riley」と「Won't Get Fooled Again」という2つの傑作は、今もなお無数のリスナーに愛され続けており、ロック音楽の歴史に永遠に刻み込まれています。Track Records UK盤のビニールで聴くこのアルバムは、スタジオでの完成度とアナログメディアの温かみが融合した、至福の音響体験をもたらします。
アルバム概要¶
『Who's Next』はザ・フーの5番目のスタジオアルバムであり、1971年8月3日にイギリスでリリースされました。ピート・タウンシェンドの楽曲制作能力がピークに達したこのアルバムは、元々は映画『Lifehouse』のサウンドトラックとして企画されていました。その映画化は実現しなかったものの、アルバム制作の過程で生まれた楽曲たちは、映画を必要としないほどの完成度と一貫性を備えていました。
ザ・フーが創立以来追求してきたロックンロールの本質と、1970年代初頭の先進的な音響技術が融合した本作は、当時の洋楽チャートで高い評価を得ただけでなく、後年のプログレッシブロック(→プログレッシブロック)ムーブメントに大きな影響を与えました。バンドメンバーはピート・タウンシェンド(ボーカル・ギター)、ロジャー・ダルトリー(ボーカル)、ジョン・エントウィッスル(ベース)、キース・ムーン(ドラムス)という、ザ・フーの黄金期のメンバーで構成されています。
収録曲の聴きどころ¶
「Baba O'Riley」¶
アルバムのオープニングを飾る「Baba O'Riley」は、間違いなくこのアルバム最大の傑作です。シンセサイザーによって生成された独特のリフが曲全体を支配し、ロジャー・ダルトリーの伸びやかなボーカルが絡み合います。歌詞は宗教的な覚醒と青年文化についての瞑想的な内容で、深い精神的メッセージを内包しています。この曲は時代を超越した普遍性を持ち、スポーツイベントのテーマソングとしても使用され続けています。
「Bargain」¶
続く「Bargain」は、より従来的なロックナンバーながら、ギターワークの美しさと楽曲の構成における完璧さで聴き手を魅了します。この曲では、ジョン・エントウィッスルのベースプレイが際立ち、バンドの音の厚みとパワーが存分に表現されています。
「Won't Get Fooled Again」¶
アルバムの終盤に収録される「Won't Get Fooled Again」は、9分を超える長さを持つロックエピックです。政治的メッセージと社会批評を内包するこの曲の魅力は、なんといってもキース・ムーンの圧倒的なドラムプレイと、曲の終盤で炸裂するシンセサイザーソロにあります。このシンセソロは、1970年代のロック音楽における最も素晴らしいシンセサイザー使用例の一つとして、現在でも語り継がれています。
その他の収録曲¶
「Pinball Wizard」や「Behind Blue Eyes」といった他の収録曲も、それぞれが独自の魅力と完成度を備えています。特に「Behind Blue Eyes」は、シンプルながら深い感情的な表現力を持つバラードで、ザ・フーが単なるロックバンドではなく、楽曲制作能力における真のアーティストであることを証明しています。
オリジナル盤の特徴¶
Track Records UK盤『Who's Next』は、1970年代のビニール盤製造技術における最良の実践例です。このプレスは音圧が素晴らしく、各楽器の分離が明確で、同時に統一感のある音場を形成しています。ジャケットデザイン(ピート・タウンシェンドと他のバンドメンバーが裸足で歩く有名な写真)も、当時のロックアルバムジャケット設計における革新的な試みでした。
原盤の音響特性は、後続の多くのアルバムの範となり、特にシンセサイザーを含むロック楽曲の音響バランスに関しては、今日でも参考にされるべき価値を持っています。Track Records盤は、このオリジナルマスターテープから丁寧にカッティングされ、1970年代の高品質なビニール素材を使用して製造されました。
レコードで聴く魅力¶
『Who's Next』をビニールで聴くことの最大の利点は、スタジオで意図された音響の完全性を、最も直接的に体験できることです。デジタル圧縮の無い、アナログ信号の純粋な流れが、各楽曲の細部を浮かび上がらせます。
特に「Baba O'Riley」のシンセサイザーリフは、ビニール盤で聴くと、その有機的な音響的質感がより明確に知覚できます。デジタルフォーマットでは失われてしまう、真空管アンプを経由したウォーム感が、ビニールの物理的な溝を通じて伝わってくるのです。
「Won't Get Fooled Again」のような長尺曲でも、ビニール盤の持つ時間的な連続性と、リスナーのレコード交換という行為を伴う聴取体験が、深い没入感を生み出します。このアルバムは、レコード再生の優位性を主張するために使用されるべき典型的な例です。
まとめ¶
『Who's Next』は、シンプルに言えば、ロック音楽史上最高峰の傑作の一つです。ザ・フーが創設者の一人として参画したロックジャンルにおいて、このアルバムほど完璧に、革新性と伝統的なロックンロールのパワーを融合させた作品は稀です。
ビニール盤で聴く『Who's Next』は、単なる音楽鑑賞ではなく、1970年代のロック音楽がいかなる高みに到達できたのかを、身体と心で理解する経験となるでしょう。特にTrack Records UK盤は、プレス品質と音響的な完成度において、本作の真価を最も忠実に伝える媒体です。
レコード(→レコードの選び方)を集める際に、このアルバムは必ず揃えるべき一枚です。ザ・フーの代表作として、またロック史上の重要な一ページとして、この傑作は永遠の価値を保ち続けるでしょう。
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